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ゲイであるがゆえに強制送還の憂き目に遭うアメリカの移民たち

2010年11月04日

 ジョシュア・ヴァンディバーさんとヘンリー・ヴェランディアさんは、コネチカット州で結婚した「夫夫」です。
 ジョシュア・ヴァンディバーさんはコロラド州出身で、現在、プリンストン大学で政治学の博士号を取得中です。ヘンリー・ヴェランディアさんはベネズエラ出身のサルサ・ダンサーで、2002年に雇用スポンサービザによって渡米して以来、ダンススクールを設立し、テレビにも出演するなどの活躍を見せています。
 二人はとても幸せ…だったはずですが、ジョシュアさんは今、ヘンリーさんを強制送還から救おうと闘っています。

  もしジョシュアさんとヘンリーさんがゲイではなく男女のカップルであれば、グリーンカードの申請をすることもでき、後に市民権を取得することもできます。しかし、彼らの結婚は、1996年に設けられた結婚防衛法(Defence Of Marriage Act=DOMA)によって無効とされます。この悪名高き連邦法は「結婚は男性と女性の間のものである」としており、移民法に関してもこれが適用されると定義されているのです。
 11月17日、二人は結婚防衛法が法的措置または議会によって廃止されるまで強制送還を待ってもらえるよう、連邦裁判官のもとへ請願しにいきます。
 この申請は間違いなく却下されるでしょう。そしてその却下の手紙が到着しだい、「これは差別的行為だ」として裁判に持ち込む予定だといいます。
 ヘンリーさんは「私は夫なしでは生きていけません。とても怖い…けど、できるだけのことをして、あとは信じるだけです」と語ります。

 アメリカで2008年に行われた世論調査によると、同性カップルのうち一人がアメリカ国籍で相手は他国籍というカップルは24000組も存在しています。そのうち25%が子どもを持っているそうです。そのうちの何組のカップルがこのような移民法にまつわるトラブルの影響を受けているのかは、誰もわかりません。
 中には、仕事を通して合法のグリーンカードを取得したり、亡命を申請する人、もっと移民に優しい国へ行く人たちもいるといいます。
 ロサンゼルスの弁護士、ラビ・ソロウェイ氏は「合法的に結婚した配偶者が国外退去となることの不条理がどのくらい急を要することなのか、政治家たちにも理解してもらえるよう、この問題にもっと光を当てていかなくては」と語ります。
「結婚防衛法が可決された年には、アメリカではゲイカップルに結婚する権利が与えられている州はありませんでした。しかし、現在はマサチューセッツなど5つの州とワシントンD.C.で、この結婚防衛法の影響を受ける同性カップルが多数存在するのです」

 ジョシュアさんとヘンリーさんは、2006年からニュージャージー州で暮らしています。州知事2007年に二人をドメスティックパートナーであると認め(ニュージャージー州では2003年からシビルユニオン法が施行されています)、今年の夏、二人は同性婚が合法であるコネチカットで結婚しました。
「私はこの国でゼロから始めました。新しい言葉、文化…アメリカンドリームのようでした」とヘンリーさんは語ります。
 しかし、彼のビザの期限が切れたとき、永住権の申請は却下されました。2009年、彼は強制送還の知らせを受け取りました。もし強制送還されれば、以後10年間、アメリカに戻ることを禁止されます。
 ニューヨークにある移民平等法の支持団体によると、毎年、何千ものカップルが、彼らを受け入れてくれる国へ向けて移民しているそうです。
 二人はアメリカを離れる気はありません。
 ジョシュアさんは「私はアメリカの政治理論を教える教授になるために精進してきた。アメリカで研究を続け、仕事を得ることが本当に必要なのです」と語ります。ヘンリーさんは「ゲイであることを隠してきたベネズエラに帰ることなんて考えられない」と語ります。「ジョシュというパートナーを得て、私は愛のある人生を知りました。私が私自身でいられるのです。ゲイとしてベネズエラに戻るなんて、ばかげたことです。文化や宗教観の違いによって圧殺されるだけ。母国に帰ることはつらい過去へ逆戻りすることなのです」

 ラビ・ソロウェイ氏は「ヘンリーのような素晴らしい人がアメリカに残らなくてどうするのでしょう。数年以内に結婚防衛法が撤廃されることを期待し、動いていくつもりです」(Ryoji Okabe)

 

 

Gay Immigrants Deported, Even in Legal MarriagesABC NEWS
http://abcnews.go.com/Health/MindMoodNews/gay-immigrants-deported-legal-marriage-doma/story?id=12006429

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