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三島由紀夫の代表作『サド侯爵夫人』上演

2010年11月28日

 三島由紀夫没後40年を記念し、たくさんの本や雑誌が出版され、記念イベントなども開催されています。
 ローマでは来年6月に「三島由紀夫——東洋と西洋の間に横たわるアイデンティティーの役割」と題されたシンポジウムが開催されるそうです。年来の読者であるローマ市長が「彼は日本の威厳や伝統を唱えるだけの作家ではなく、同性愛者でもあり、自分の内面を劇的に掘り下げた人だった。新しさと古さの間にある溝を埋められず自殺に走ったのだと思う」と語っていたのが印象的でした。

 そんな中、三島由紀夫の戯曲『サド侯爵夫人』が、蜷川幸雄による演出で来年2月に上演されることが発表されました。
 スキャンダラスな事件を引き起こし、追われる身となったマルキ・ド・サド侯爵をめぐり、貞淑な侯爵夫人・ルネ、法・社会・道徳を重んじるルネの母モントルイユ夫人、敬虔なシミアーヌ男爵夫人、肉欲に生きるサン・フォン伯爵夫人、天真爛漫なルネの妹アンヌ、民衆を代表する召使シャルロットのそれぞれが、自身の確信する思想を激しくぶつかり合わせます。ロココ様式から抜け出したようなフランス貴族たちの流麗で装飾過多な台詞回しが高く評価され、フランスでも度々上演されてきました。
 女性6人の舞台である『サド侯爵夫人』を演じるのは東山紀之、生田斗真、木場勝己、平幹二朗ら6人の男優です(男性が女装して演じる『サド侯爵夫人』は今回が初めてではなく、2年前にアトリエ・ダンカンによって篠井英介、石井正則、小林高鹿、山本芳樹、天宮良、加納幸和というキャストによって上演されています)。「東山紀之? 意外!」と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、実は2年前の蜷川幸雄演出『さらば、わが愛 覇王別姫』に主演し、女形の程蝶衣を演じ、好評を博しているのでした。
 なお、この『サド侯爵夫人』と同じキャストで、もう1つの三島の代表的な戯曲である『わが友ヒットラー』も交互に上演されます。女性と男性を演じ分ける振り幅の妙をご覧あれ、という趣向です。
 直接的にゲイがテーマになっているわけではありませんが、いろんな意味でゲイテイストな香りが漂うこの舞台、興味のある方は足をお運びください。
 

ミシマダブル「サド侯爵夫人」「わが友ヒットラー」
2011年2月2日(水)〜3月2日(水) @Bunkamuraシアターコクーン
2011年3月8日(火)~20日(日)@シアターBRAVA!(大阪)
作:三島由紀夫
演出:蜷川幸雄
出演:「サド侯爵夫人」東山紀之、生田斗真、木場勝己、大石継太、岡田正、平幹二朗
「わが友ヒットラー」東山紀之、生田斗真、木場勝己、平幹二朗
※チケットはこちらから

   

イタリア:三島由紀夫のシンポ来年開催 会見でローマ市長(毎日jp)
http://mainichi.jp/select/world/news/20101126k0000e030019000c.html

蜷川幸雄演出で三島由紀夫の代表作2作を交互上演(MSNエンタメ)
http://entertainment.jp.msn.com/events/info/stage/article.aspx?articleid=456490

 

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