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ゲイ旅コラム:WORLD PRIDE NYC(2)オープニングセレモニー

ストーンウォール50周年(WORLD PRIDE)の記念すべきニューヨーク・プライドを体験する旅。2日目(6/26水曜)は、グリニッジ・ビレッジとチェルシーの街を散策、そして夢のようなオープニングセレモニーを堪能しました。

ゲイ旅コラム:WORLD PRIDE NYC(2)オープニングセレモニー

ストーンウォール50周年を記念して初めてワールド・プライド(世界的なLGBTの祭典)として開催されたニューヨーク・プライド。この機会を逃すときっと後悔する、行くなら今だ!という思いで、半年以上前から準備をして、約1週間ほどニューヨークに行って来ました。2日目(6/26水曜)は、グリニッジ・ビレッジとチェルシーの街を散策したこと、そして夢のようなオープニングセレモニーを堪能したお話です。(後藤純一)


グリニッジ・ビレッジとチェルシーの街を散策

 本当はお昼近くまで寝ていたかったのですが、朝7時か8時頃には目が覚めました(時差ってスゴイ)。近所にマックがあったので、朝ご飯を食べて、そのまま地下鉄に乗って、またグリニッジビレッジへ行くことに。
 昨夜は「STONEWALL INN」の向かいのクリストファー・パークが閉まってたので、クリストファー・パークに入って、George Segal作のその名もズバリ「Gay Liberation」という有名なゲイカップルとレズビアンカップルの彫刻を見ました。それから、映画『サタデーナイト・チャーチ』ゆかりの場所に行ってみたいと思い、聖ルカ教会へ。中庭に入れそうだったので、ちょっと見学しました。それから桟橋まで行きました。今やドラマ『POSE』で大スターになった(パレードの先頭にまで選ばれた)MJ・ロドリゲスやインディア・ムーアがたむろしていてユリシーズと初めて会ったのはこの辺りかな?と思いながら。そこからまた道を引き返して、ぶらぶらしていたら、プライドの事務所があったり、プライドのインフォメーションセンターがあったりして(朝早すぎて開いてませんでしたが)、へええと思って、いい散歩だったなぁと思いながら、ホテルに戻りました。












 ちょっと寝て、昼頃起きて、ホテル内のフィットネスセンター(ジム)に行ってみました。バイクと軽めのダンベルくらいしかありませんでしたが(これだったら上野のハッテン場の方がよっぽど…)、せっかく来たので、ゆっくりストレッチをして、お水を飲んで、部屋に戻りました。
 パッキングをして、14時前にチェックアウト(レイトチェックアウトしてくれたんです。2PMまで。なんていいサービス)。さすがはマリオット系列のホテル、スタッフの方もとても感じがいいし、気持ちよく泊まれました。よかったです。

 
 そこから次のホテルへ移動しました。
 その日は日差しが容赦なく照りつける暑い日で、大荷物を持って地下鉄の階段を昇り降りするのも大変だし、道が石畳だし(風情があるんですけどね)、歩道も工事中でスーツケースを持ち上げないといけないポイントが結構あったりして、すっかり汗だくになりながら、この日から最終日まで泊まる「the Jane Hotel」に到着しました。このホテル、タイタニック号のサバイバーの方が泊まったという逸話もあるくらい、歴史が古く、建物の内装やホテルマンの方の制服などもレトロで、タイムスリップ感を味わえます。ただ、お部屋はびっくりするくらい狭く、寝台列車か押入れかという感じです。トイレとシャワーは共同。一応(わんわん音が鳴る)エアコンもあるし、寝るだけならギリギリOKかな…。もちろん鍵はカードキーではなく、重たい金属のスティック(それを部屋の中の穴に差し込むと電源が入るようになっている)で、トイレに行くにもそれを持ち運びしなければいけないのは、とても不便でした。
 もし今後、ニューヨークに行かれる方は、どうしてもゲイタウンの近くに泊まりたいということでなければ、ここはやめた方がいいと思います(ブルックリンとかでも、24時間地下鉄は動いてますし、意外と近いです)。Gay BnBとかで探すといいかもしれません。


 駅の辺りで、何かで見たことがある…と思ったら、NYC AIDS Memorial Park at St. Vincent's Triangleでした。エイズで亡くなったニューヨークの10万人以上の人々を追悼し、介護者や活動家を讃えるために建て​​られたモニュメントです。
 
 ちょっと休んでから、遅めの昼ご飯を食べに、チェルシーマーケットまで行きました。マーケットと言っても野菜や肉を売る市場ではなく、素敵なカフェやレストラン、ショップが軒を連ねるショッピングモールのようなところです。事前に、ここのクラムチャウダーが絶品、との情報を得ていたので、マンハッタン・クラムチャウダー(トマトスープ。大きめのクルトンがゴロゴロ)を頼みました。ニューヨーク来て初めて「美味しい」と思えるものを食べました。もし冬に来てこれ食べたらもっと感動してたかも。




 帰りしな、空中公園として知られる「ハイライン」を散策。眺めはいいし、アート作品もあって、とても素敵な空間でした。もしカップルでニューヨークに行かれる方はデートコースに最適だと思います。インスタ映えスポットがいっぱいあります。

 それからホイットニー美術館に入るかどうか迷ったのですが、17時過ぎにはブルックリンに向かう(オープニングセレモニーがある)ということを考えると、ちょっと時間がないかな…と思い、出直すことにしました。
 
 
 
WORLD PRIDE OPENING CEREMONY

 この日は、今回の旅のメインの目的の一つであるWORLD PRIDEのオープニングセレモニーがありました(当初、水曜入りの予定でしたが、これを観るために火曜日入りにずらしました)
 会場がマンハッタンではなくブルックリン(ロングアイランド島の西端)のバークレイズ・センターというところで、ちょっと遠いし、なにしろ地下鉄もまだ乗り慣れてないので、遅れないよう、早めに行動しようと思ってました。19時スタートだから、18時には開場するだろうし、17時過ぎにホテルを出ようと思ってました。実際は、拍子抜けするくらいあっという間に、30分もかからずにAtlantic Avenue Barclays Center駅に到着しました。駅を出てすぐ目の前がバークレイズ・センターです。大勢の人が並んでいます。曲線を多用したおしゃれな建物で、NIKEのマークみたいな形のオーロラビジョンに、NBAなどの案内とともに、レインボーカラーの応援メッセージも表示されていました。

 たぶんリハが押してたんじゃないかと思いますが、開場は18時半頃になりました。IDチェック&荷物チェックを済ませて(厳重です。入り口付近にはライフル銃を持った警官が立ってて、ビビりました)中に入ると、LGBTのチアのグループがパフォーマンスしてくれてて、早くも感動…。とりあえず時間があるので、広い場内をぶらぶらしつつ、地元ブルックリンのお店っぽいところでハンバーガーセットを買って、腹ごしらえ。食べながら、次々にお客さんが入って来るのを眺めていたら、マーシャ・P・ジョンソンの写真をプリントしたTシャツを着てる方がいて、またしても感動…。席について、しばらくしたら、声をかけられて、振り向くと、なんと後ろの席が東京の人でした。こんな何万人もいるアリーナで前後の席ってすごい確率! DJさんが懐かしめのゲイアンセムをかけて楽しませてくれているものの、19時を過ぎても始まらず、結局20時になってイベントがスタートしました。



 オープニングは意外にもシンディ・ローパーの『トゥルー・カラーズ』でした(最後かと思ってました)。地球のようなミラーボールのような球体から登場したシンディが、ストーンウォールの写真をバックに「But I see your true colors shining through」と歌うと、場内みんなで大合唱になりました。曲調がCLUB MIXに変わると、ドラァグクイーンが大勢出てきて(先頭は「ウィッグストック」を主催してたことで有名な大御所、レディ・バニーでした。感激!)、シンディは最後、孔雀の羽のような衣装を広げ(レインボーカラーになってました)、華やかに、素敵に盛り上げてくれました。


 それから、50年超の歴史を誇るBall界の名門、The Royal House of LaBeijaが登場。『パリ、夜は眠らない』やマドンナの「Vogue」の世界の本物のダンサーたちのパフォーマンスは圧巻でした。

 そしてMCのウーピー・ゴールドバーグが登場。日本のTV番組やイベントなどでの薄っぺらいMCとは全く異なり、例えば「SAGE」というLGBTQ高齢者支援団体を紹介しながら「彼らの姿は未来のあなたたちそのもの」とガンガン語ったり、ふだんからいかにLGBTQのことを考えているかということがよくわかるような、熱いMCでした。マジ本気のアライなんだな、と思い知りました。

 活動家の方たちを紹介するステージの後、コリー・ジョンソン市議会議長が登場。ちょっと遠いですが、ご本人を肉眼で見ることができて感激!でした。

 続いてDAYAが登場。大ヒット曲『Don't Let Me Down』ほかを歌ってくれました。本当に歌が上手いので、引き込まれました。あとで知ったのですが、実は昨年バイセクシュアルであることをカムアウトしてたんですね。
 
 再びウーピー・ゴールドバーグや活動家の方が登場。
 それから、ルポールのドラァグレースで活躍している、今をときめく若手クイーンの方々、Shangeraとか、Alaska Thunderfuckとか、Alyssa Edwardsによるショーケースが繰り広げられました。「え?ストーンウォール暴動って誰も死んでないの?」というフレーズをラップにしてるショーが面白かったです。後ろのモニターではレザープライドフラッグやベアプライドフラッグ、あるいはHIVと共に生きる人々のデモの様子の写真なども映し出されて、素晴らしかったです。最後は6人のクイーン(レインボーカラーのドレス)とバックダンサーが一緒に踊り、なんと!マーク・カネムラが、あのヅラ飛ばしショーを再現してくれるという、狂喜乱舞のショータイムとなりました(思わずキャーキャー言いました)













 次にウーピー・ゴールドバーグが紹介したのは、ドラマ『POSE』のキャスト。たぶんエンジェル役のインディア・ムーアと、帽子で顔がよく見えなかったのですがエレクトラ役のドミニク・ジャクソンじゃないかな?と思って見てました(あとで誰だかわかるのですが)。それから『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』でブレイクしたトランス女優のラヴァーン・コックスも登場し、拍手喝采を受けてました。
 
 そして本日のメインゲストの一人、レジェンドでありゲイ・アイコンと言っても過言ではないディーバ、チャカ・カーンが登場しました(実は1997年にシドニーのマルディグラのアフター・パーティでチャカ・カーンのライブを観てて、人生2度目です)。御年66歳のチャカ・カーンですが、衰えない声量で数曲歌ってくれて、最後に、ゲイアンセムとして名高い(個人的にも思い出深い)『I'm every woman』を歌ってくれました(もちろん、場内大合唱です)。感無量です。



 そして、いまアメリカで大人気のゲイ・アーティスト、トドリック・ホールが登場。1人4役のYoutube動画から火がつき、あれよあれよという間にスターダムに。テイラー・スウィフトの「You Need To Calm Down」のPVでもメインを張っています。そんなトドリックは、最初男の子の格好でHIP HOPな楽曲を披露し、途中で着替えてドラァグクィーンの姿で再登場し、会場を沸かせました。ダンサーたちもかなり際どいセクシーな衣装で、素晴らしいダンスで魅了してくれました。




 シェール様のビデオメッセージが届きました。「今日は行けなくてごめんなさいね。ストーンウォール50周年おめでとう。成功を祈ってる。ハッピープライド」といった内容だったと思います(違うかも。適当です)

 そして本日のメインゲストでトリを飾るCiara(シアラ)様のステージです。長身と美脚を生かし、バレリーナのようにしなやかに踊るイメージだったのですが、ドレッシーなガウンを脱ぎ捨ててなんだか褌みたいな衣装になって、ダイナミックでパワフルなステージを見せてくれました。終盤、再びメイクを落としたトドリックが登場してサポートし、最後、一緒に「Level Up」をパフォーマンス。めっちゃカッコよかったです。シビれました。このステージだけでも、ニューヨーク来てホントよかったと思えました。





 
 興奮冷めやらぬステージに、おもむろに中年の男女が登場しました。誰だろう?と思ったら、1998年に暴行されて亡くなったゲイのマシュー・シェパードくんのご両親だったのです。お母様が「みなさんは私の息子のようなものです。息子の分もプライドを楽しんでね」的なことをおっしゃって、大きな歓声が上がり、涙腺が崩壊…。
 
 最後にウーピーは、LGBTQの自殺予防のホットラインをずっとやっているトレヴァー・プロジェクトの方々を紹介し、トランスジェンダーの旗をデザインしたモニカ・ヘルムズを紹介してくれました。

 これで終わりかなと思いきや(すでに帰った人たちもいました)、ダメ押しで、ビリー・ポーターが登場。『POSE』のキャストが登場したとき深々と帽子を被ってたのはビリーだったのか!と。ビリーは『POSE』シーズン1で、エイズ患者のために病院でブランカと一緒に歌った名曲『HOME』を熱唱し、大きな拍手を浴びました。続けて数曲を聴かせてくれて、本当のラスト、ステージにゴスペルの合唱団が登場し、自身の曲『Love Yourself』を歌い上げ、大量の紙吹雪が降ってきて、美しいフィナーレとなりました。




 ドラァグクイーンにせよメジャーなアーティストにせよ、世界的に知られる方たちがこんなにたくさん登場し、ここまでエンターテイメント性の高いショーを繰り広げ、同時に、LGBT史に残る出来事や団体や人々がフィーチャーされたプライドイベントというのは、ニューヨークだからこそだと思います。本当に本当に、体験できてよかったです。一生の思い出です。


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