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【婚姻平等訴訟】東京一次訴訟控訴審が結審、原告は「時間は命。何万人もの命の問題と捉えてほしい」と訴えました 

【婚姻平等訴訟】東京一次訴訟控訴審が結審、原告「何万人もの命の問題と捉えてほしい」 

 4月26日、「結婚の自由をすべての人に」東京一次訴訟の高裁での審理が結審し(谷口園恵裁判長)、10月30日に判決が言い渡されることが決まりました。

 これまでに北海道訴訟控訴審の札幌高裁判決を含めた7つの判決のうち6件で、同性カップルが法的に保護されないのは違憲だと判断されています。東京一次訴訟については、一昨年11月末に東京地裁で、同性パートナーが家族になる法制度がないのは「人格的生存への重大な脅威、障害であり、24条2項に反する(違憲状態にある)」との判決が下されましたが、具体的な法整備は「立法裁量に委ねられる」として訴えを退け、原告が控訴していました。また、判決の中で「法律上同性カップルが家族になるために、今ある婚姻制度とは別に、パートナーシップ制度のような類似の制度を作るという選択肢もありうる」という見解が示されており、二審では別制度ではなく婚姻平等が必要なのだとの訴えもなされました。

 26日に開かれた東京高裁の最終弁論では、原告の大江千束さんとパートナーの小川葉子さんが並んで立ち、原告となったことで職場でハラスメントを受けて体調を崩したことや、結婚を望みながら亡くなった友人たちの無念を語りました。
 お二人は1994年からともに暮らしていて、中野に女性同性愛者が安心して集まれる居場所として「LOUD」を設立するなどの活動を続けてきました。同僚らの応援に背中を押され、2019年から「結婚の自由をすべての人に」東京訴訟の原告になったものの、職場やSNSで「社会性がない」などと心無い言葉をぶつけられました。小川さんは原告になった後、職場の上司から裁判を理由にハラスメントを受けるようになり、「セクシュアルマイノリティは社会性がない」などと繰り返し言われ、心身ともに疲弊、退職を余儀なくされました。大江さんは一時体重が20キロ落ち、体調不良の日が続きました。原告を降りて(婚姻の代替手段として)養子縁組をすることも考えましたが「親子になりたいわけじゃない。結婚したいんだ」と思い直し、裁判を続けました。法廷でお二人は「性的少数者は異質な存在、というお墨付きを与えているのが現在の法律」だと指摘し、「性的マイノリティが不当な偏見にさらされないようにするためにも、現在の結婚制度を使えるようにしてほしい」「苦しかった年月の先に希望があると信じている」と語りました。傍聴席からはすすり泣く声も響いたそうです。

 原告の西川麻実さんは、「別制度を作ってから結婚制度に移行するやり方でもいいではないかという考えがあるとして、その考えには「時間は命である」という視点が欠落している、訴訟開始から5年の間に法律上同性のパートナーを持つ友人や知人が亡くなっており、自殺した人もいる、と訴えました。「婚姻の平等を達成するまでに何千、何万の性的少数者が無念のうちに死ぬのでしょうか。社会的な差別に疲弊して自死を選ぶ人もいる」「同性パートナー法を作ってから結婚へ移行するとなると何年もかかり、その間に多くの人が亡くなる。国の伝統や国民感情ではなく、命の問題と捉えてほしい」と訴えました。
 西川さんのパートナーの小野春さんは、同性カップルの家庭で育てられる子どもたちも孤立させ、苦しめると語りました。「小学校に通うふたりママ家庭の友人の子は『だってお母さんたち結婚できてないじゃん』と友だちに言われたといって泣いていたそうです」「未来を担う子どもたちに、あなたたちのお家はお友達の家とは違うのだということができるでしょうか。私たちは家族です。法律でそれを引き裂かないでください」
 小野さんは、審理後の記者団の取材で「5年の間に、友人が何人も亡くなりました。一緒に意見陳述をした郁さんがいないことはとても悲しかった」と語りました。 

 代理人の上杉崇子弁護士は「社会生活のあらゆる場面で、結婚できないことを理由に同性カップルは今も冷たく閉め出されている」と訴え、明確な判断を求めました。

 10月30日に言い渡されることになった東京一次控訴審判決は札幌に続く2つめの二審(高裁)判決となります。
 札幌高裁は初めて24条1項についても違憲だとの判断を示し、「憲法は同性間の結婚を異性間と同程度に保障している」としましたが、東京高裁でどのような判断が示されるかが注目されます。意見陳述をした原告の加藤慶二弁護士は「同性カップルが婚姻制度を利用できる社会に近づくための重要な一石を投じてほしい」と語りました。

 なお、本日の最終弁論についての報告会の模様がYouTubeで配信されています。ご覧になってみてください。
 
 
参考記事:
「判断先延ばしにしないで」同性婚違憲訴訟の控訴審 10月30日に判決へ 東京高裁(テレビ朝日)
https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000346995.html
同性婚は「何万人もの命の問題」 当事者が法廷で訴えた仲間たちの無念 東京高裁で原告4人が意見陳述(東京新聞)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/323752
同性カップルを「法律で引き裂かないで」結婚の平等裁判、東京1次高裁判決は10月30日(ハフポスト日本版)
https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_6628d698e4b01248ca9b73dd
「必ず違憲が出ると信じてる」〜同性婚訴訟東京高裁が結審(OurPlanet-TV)
https://www.youtube.com/watch?v=Div4_eWQK-E

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