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サッカー界で初めてカミングアウトした選手が英国サッカー殿堂入りを果たしました 

サッカー界で初めてカミングアウトした選手が英国サッカー殿堂入り

 1990年に英サッカー界で初めて(しかも現役選手として)ゲイであることをカミングアウトした故ジャスティン・ファシャヌが、国立フットボール博物館の殿堂入りを果たすことが明らかになりました。国立フットボール博物館の殿堂は2002年に設立され、これまで100人以上の選手が選出されています。

 ロンドン在住のナイジェリア人法廷弁護士の息子として生まれたジャスティン・ファシャヌは、ノリッジ・シティ(今はプレミアリーグに所属する名門クラブ)でプレーしていた10代の頃に、リヴァプールとの試合で見事な回転をかけたシュートを決めて一躍有名になりました。このゴールは1980年のBBC年間最優秀ゴールに選ばれています。その翌年、ファシャヌはUEFAチャンピオンズカップで二連覇した古豪ノッティンガム・フォレストに移籍金100万ポンドで移りました。しかし、彼を待ち受けていたのは、黒人差別、そして同性愛嫌悪(ホモフォビア)でした。ゲイバーに通っているという話が広められ、チームでの練習を禁止されてしまうのです。
 
 フォレストの伝説的な監督であるブライアン・クラフは機転とウィットに富む男として知られていましたが、残念なことに、戦時中に生まれた古い価値観を持つ世代でもありました。1995年に出版した自伝の中で、ファシャヌがゲイバーとクラブを訪れたことを知ったあと、クラフは彼のことを避けていたと記しています。
「パンが欲しければどこへ行く?」と私は訊ねた。
「パン屋だろう」
「ラム脚が欲しければ?」
「肉屋へ」
「それなら君は、いったい何が欲しくてあんないかがわしいクラブなんかに足を運び続けてるんだ?」

 ファシャヌは再起を目指し、近隣クラブのノッツ・カウンティへと移りますが、ゲイであるという噂が広まるたびにチームを変え、その噂が英国中に広まると、今度は米国に旅立ってプレーの機会を求めました。が、新天地でも目立った活躍を見せることができなかったファシャヌは、失意のうちにイングランドに帰国します(合計17ものクラブを渡り歩いたそうです)。経済的に困窮していた彼は、1990年、英ゴシップ紙『サン』の紙面でゲイであることカミングアウトしました。無情にも、実弟でありイングランド代表FWのジョン・ファシャヌは、兄ジャスティンと兄弟の縁を切ったそうです。1998年3月、性的暴行の容疑で訴えられたファシャヌは、容疑を否認しましたが、周囲からは罪を犯したのだという目で見られ…2ヵ月後、首を吊って亡くなっているのが発見されました。37歳でした。
 ファシャヌは遺書のなかで暴行容疑を否定していますが、「同性愛者であるという理由で有罪にされるだろう」と記しています。 
 
 ファシャヌは今でも、イギリス人として唯一のカミングアウトした男子プロサッカー選手です。
 男子プロサッカー界では長い間、ファシャヌに続こうとする選手は現れませんでしたが、2013年、リーズ・ユナイテッドFCに所属していた元アメリカ代表のロビー・ロジャースがカミングアウトとともに現役を引退し(その後、引退を撤回し、現在はロサンゼルス・ギャラクシーに所属しています)、2014年には、アストン・ヴィラなどに所属した元ドイツ代表のトーマス・ヒッツルスペルガーが(引退した2年後に)ゲイであることをカミングアウトしました。(女子サッカー界では、アビー・ワンバックやミーガン・ラピノーをはじめ、たくさんの選手がカミングアウトしています)
 
 2014年、英国のLGBT団体「Stonewall」とイングランドサッカー協会がタッグを組み、選手たちがレインボーカラーの靴紐を結び、アライであると表明することを奨励する「レインボー・レース・キャンペーン」を打ち出しました。このキャンペーンには、アーセナルやニューカッスル・ユナイテッドなど多くのクラブが賛同の意思を表明しています。
 
 2015年、プレミアリーグの最高経営責任者であるリチャード・スキューダモアは、「同性愛者にとって環境は開かれたものになりつつある。カミングアウトすることは歓迎されるだろうし、それに対して寛容であるべきだ。(プレミアリーグに所属していた選手でこれまでカミングアウトしているのはたった3人ですが)もしほかに同性愛者がいないとしたら、それは奇妙なことだ」と語り、同性愛者擁護の姿勢を明確にしました。

 現在、英国では、サッカーの観戦者も、ホモフォビック(同性愛嫌悪)なチャントを歌う行為などが禁止されるようになっています。昨年12月には、ブライトンvsウォルバーハンプトン戦でそのような行為を行なったサポーター2人が逮捕、1月のブライトンvsチェルシー戦でも2人が退場となっています。同月のチャンピオンシップ(イングランド2部)の試合では、ホモフォビックなチャントが起こったため、主審が試合を一時中断しました。
 2月1日には、プレミアリーグ第25節のウェストハムvsブライトン戦で、ホモフォビックなジェスチャーを行ったサポーター2人が逮捕されました。ウェストハムは声明を発表し、差別を根絶する構えを示しました。
「ホモファビアの疑いがある事件を聞き、遺憾に思っています」
「問題は現在警察に委ねられていますが、差別的な行為をしたと認められた者は今後、ロンドン・スタジアムへの出入りを禁止され、クラブに関わることが許されなくなるでしょう」
「クラブのスタンスは明確です。私たちはあらゆる形態の差別に対して厳しいアプローチを取っています」
「平等と多様性はフットボールクラブの中心にあり、ロンドン・スタジアムに入場するすべての人が自由に楽しめるようにし続けることを約束します」


 
 なお、ジャスティン・ファシャヌの悲劇的な半生を綴ったドキュメンタリー『ジャスティン・ファシャヌ: 禁じられたゴール』がNetflixで配信中です。興味のある方はぜひ、ご覧ください。
 


 


サッカー=英国初のゲイ公表選手が殿堂入り、スカイスポーツ報道(ロイター)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200219-00000071-reut-spo

英国で唯一、男子プロサッカー選手で現役中に「同性愛者」告白の故ファシャヌさんが殿堂入り 黒人初の移籍金100万ポンドプレーヤー(中日スポーツ)
https://www.chunichi.co.jp/chuspo/article/soccer/news/CK2020021902100031.html

ベン・メイブリーの英国談義:マイノリティに非寛容なサッカー界(GOAL)
https://www.goal.com/jp/news/1579/%E3%82%B9%E3%83%9A%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%AB/2013/02/20/3765083/%E3%83%99%E3%83%B3%E3%83%A1%E3%82%A4%E3%83%96%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%81%AE%E8%8B%B1%E5%9B%BD%E8%AB%87%E7%BE%A9%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%83%8E%E3%83%AA%E3%83%86%E3%82%A3%E3%81%AB%E9%9D%9E%E5%AF%9B%E5%AE%B9%E3%81%AA%E3%82%B5%E3%83%83%E3%82%AB%E3%83%BC%E7%95%8C

サッカーから差別がなくなる日は来るか。依然として少ない同性愛カミングアウト(フットボール批評)
https://www.footballchannel.jp/2013/12/03/post15322/5/

今週末のプレミアリーグは選手の「靴ひも」に注目!レインボーカラーが意味するものとは?(QOLY)
https://qoly.jp/2014/09/12/the-rainbow-laces-campaign-2014-15

プレミア最高責任者が同性愛を支持「カミングアウトは歓迎される」(SOCCER KING)
https://www.soccer-king.jp/news/world/eng/20151121/372155.html

同性愛嫌悪のサポーター2人が逮捕…ブライトン戦では直近3度目(超WORLDサッカー!)
https://web.ultra-soccer.jp/news/view?news_no=369590


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