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レポート:gaku-GAY-kai 2016

2016年12月29日・30日、毎年恒例のお楽しみイベント「gaku-GAY-kai 2016」が開催されました。ゲイの劇団フライングステージとその愉快な仲間たちが、2016年も本当に盛りだくさんなミュージカルやショーやパフォーマンスの数々を披露し、心温まる年末になりました。

レポート:gaku-GAY-kai 2016

2016年12月29日、新宿3丁目(ほぼ二丁目)にある「SPACE 雑遊」で開催された「gaku-GAY-kai 2016」をレポートします。ゲイの劇団フライングステージとその愉快な仲間たちがお送りする年末恒例のお楽しみイベントは、今回も超満員でした。第一部の「贋作・サウンド オブ ミュージック 〜家政婦は見た!」もたくさん笑わせていただき、素晴らしいミュージカルになっていましたし、第二部のパフォーマンスタイムも本当に盛りだくさんな内容で、2016年も笑顔で楽しい年末を過ごすことができました。(後藤純一)


 第一部は恒例の贋作ミュージカル。今回は「贋作・サウンド オブ ミュージック 〜家政婦は見た!」でした。
 冒頭は家政婦紹介所のシーン。市原悦子やらミタやらミタゾノやらメリー・ポピンズやら古今東西の家政婦が登場し、笑いを取ります。そこに新人のマリアが入ってきて、マリアはトラップ一家への派遣を命じられます。
 トラップ一家は国から理想の家族と称えられる一家で、子どもたちは軍隊のように一糸乱れぬ行進で行動しています。そこにマリアが家政婦としてやってきて、子どもたちにもトラップ大佐にも気に入られます。
 それから、原作の『サウンド・オブ・ミュージック』※のようにナチスの人たちが登場するのですが(鉤十字の代わりに制服にうさちゃんのマークがプリントされていて、かわいかったです。)、本物と違うのは、親衛隊という男性アイドルグループが「サイレント・マイノリティ」やら「パーフェクト・ヒューマン」やらのショーを繰り広げるところです(風刺が効いていました)。彼らが目の敵にしているのが、ゲイでした。
 ちなみにこの物語はかなり遠い未来の話で、この世界はマザー・コンピュータに支配されているのですが、無慈悲なマザー・コンピュータは、ゲイだろうとゲイをかばう人間だろうと殺してしまえと言うのでした。
 ある日、トラップ家の門の前にレインボーフラッグが落ちているのが発見され、大騒ぎに…。実は、この家の子どもたちは「治療」のために集められたゲイの子ばかり。そして大佐自身もゲイで、そのことが原因で離婚したものの、自分自身の性的指向も「治療」したいと思っていたのでした。 
 一方、トラップ大佐の後妻の候補としてナチスから(まともな女性として)エルザが送り込まれますが、エルザは大佐に愛されているマリアが憎くなり、潰そうとします。しかし、そんなエルザ自身も実は女装した男性で…(エスムラルダさんが演じています)
 結末は原作よりもさらにハッピーで、SFチックで、たいへんクィアでした。関根さんらしさがよく表れている傑作ミュージカルでした。
 『サウンド・オブ・ミュージック』は有名な歌がたくさんありますが、例えば「ドレミの歌」は、ドレスのド、レディーのレ、みんなでファンデを塗って、ラメラメになって、幸せよ、とか、「私のお気に入り」はジム通いやクラブパーティ、みたいな替え歌になっていて、とても面白かったです。 
 歌だけでなく、欅坂や恋ダンスやPerfumeのショーもあり、約2時間があっという間に感じるくらい、楽しめました。エスムラルダさんの演技や歌が本当に巧くなっていたり、アルピーナさんがキレイどころだけじゃなくちゃんと笑いを取っていたり、メリー・ポピンズを演じたモイラさんの美しさが際立っていたり、大佐役の方がイケメンだったり、皆さんそれぞれの多彩な魅力が光っていて、とても魅了されました。

※『サウンド・オブ・ミュージック』のあらすじ:舞台はナチスの影が忍び寄る第二次大戦前夜のオーストリア。退役軍人で妻を亡くしている(エルザという婚約者がいる)トラップ大佐の一家に修道女見習いのマリアが家庭教師に来て、一家と仲良くなるが、大佐がマリアに恋していることに気づいたエルザは、マリアに進言し、マリアは修道院に帰ることを決意。しかし、院長に、本当に愛しているなら自分の道を歩きなさいと励まされ、再びトラップ一家の元に戻り、二人はめでたく結婚。しかし、ナチスに反発したトラップ大佐は、軍に目をつけられ、スイスへの亡命を決意。一家で歌のコンクールに出演している時に、隙を見て会場を逃げ出し、山を目指す…。

 後半の第二部は、いろいろな方のパフォーマンスが繰り広げられます。岸本さんと宇原さんが今回もド派手ないでたちで司会をつとめ、盛り上げてくれました。
 いつもはトリを務めているエスムラルダさんが、今回は『プリシラ』の打ち上げに参加するため、トップバッターに。お客様参加型の「ドレミの歌」や「徹子の部屋」ショー、「エスムラルダ・デ・マンボ」で楽しませてくれました。
 続いて、すっかりおなじみとなった佐藤達さんによる紙芝居。今回も秋田での子ども時代のエピソード(やや下ネタ)を紙芝居で語り、笑わせてくれました。
 水月モニカさんの朗読「百合物語」。今回は、ドラァグみたいな女装をしたり、ホストみたいな格好をしたり、派手にやっていたビアンの人が、パートナーを見つけて、今は地味に暮らしている、という物語で、しみじみした感動がありました。
 関根さんの「女優リーディング」。吉田修一の『春、バーニーズで』の前半部分でした。妻子とともにバーニーズで買い物をしている時、偶然、以前一緒に暮らしていたオネエさんを見かけて…という物語で、以前読んだことがあるはずなのですが、改めて朗読で聞くと、情景がありありと浮かんできて、心を動かされるものがありました。
 芳賀隆宏さんのHIP HOPユニットのパフォーマンス。二丁目でポケモンやってるノンケさんに声をかけるという小芝居から始まったのが面白かったです。
 西山水木さんのパントマイム。スーパーの食品売り場で買い物をしているところから、私たちは動物たちの命の犠牲のうえに生かされているのだというメッセージへと展開していき、印象的でした。
 tomoneさんのライブ「LGBTAI 〜その壁を越えて〜」。レインボーフラッグが新調されていました。出演者の方たちがみんな出てきて、盛り上げていました。
 モイラさんによる「小夜子なりきりショウ:リヴァイタル・ニンフェア」。美の極致、という言葉が浮かびました。本気で追求すれば、極めれば、こんなにも輝くのですね。思わずたくさんシャッターを切ってしまいました。
 そして、初期の頃からずっと出演し続けているジオラママンボガールズが、2年のブランクを経て、gaku-GAY-kaiに帰ってきてくれました(感涙)。今回は金井克子のパッパッパヤッパ♪や(シモーヌ深雪さんのショーでおなじみの)「カステーラ〜」を選曲。無表情に徹した関根さんの動きも面白く、昭和の文化を伝えるたいへん素晴らしいショーでした。
 トリを飾ったのは、アイハラミホ。さん。今回はオリジナル曲も歌っていて、おおっ!と思いました。お客さんも長時間座りっぱなしで疲れていたでしょうに、ノリノリで盛り上がってくれました。最後はパフォーマーのみなさんが登場して大団円を迎えました。

 30日には中森夏奈子さんも出演したそうですが(観たかった…)、こうして、とにかく盛りだくさんなお楽しみイベント「gaku-GAY-kai」は、2016年も大盛況のうちに幕を閉じました。これを観ないと年を越せないと感じてる方も少なくないだろう、本当にあったかくて幸せな気持ちになれるイベントでした。今年は「gaku-GAY-kai」がとうとう20周年を迎えます。楽しみにしましょう。


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