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アジアンクィア映画祭開幕!~初日レポート

5月24日(金)、シネマート六本木で第4回アジアンクィア映画祭が開幕しました。初日の模様をレポートいたします。

アジアンクィア映画祭開幕!~初日レポート

 

(左から、トークの司会および通訳をつとめたシンガポール映画祭キュレーターの松下由実さん、短編『ネイル』のYun Joo Chang監督、『私の居場所』のTracy Iansin Choi監督、AQFFの主催者の方)



 

 

 5月24日(金)、2週間にわたるアジアンクィア映画祭(AQFF)がシネマート六本木でスタートしました。シネマート六本木は、六本木駅から徒歩2分ほどで立地もよく、映画館としても、前の人の頭がじゃまになりませんし、座り心地もよく、とてもいい会場です。1日に2本、3本と観てもあまり疲れを感じないと思います。
 初日の今日は『ジェリーフィッシュの恋』『ドキュメンタリープログラム』『愛なんていらない』の3本が上映されました。
 

 

『ドキュメンタリープログラム』は、『世界で一番オシャレな刑務所』と『私の居場所』の2本立て。
 g-lad xxでもオススメしていた『世界で一番オシャレな刑務所』は、期待以上の名作でした。フィリピンで最も警備の厳しい刑務所と言いつつ、1万人以上が暮らす大きな街みたいな感じで、中の人たちはわりと自由にのびのび暮らしています。面会に来た家族たちに誕生日のお祝いをしてもらってるシーンとか、とても幸せそうでした(大げさじゃなく、日本人よりもよほど幸せそうに見えます)。しかも、ゲイやトランスジェンダーだけの棟があったり、そこからカップルが生まれたり、差別する人を処罰する規則があったり、ちゃんとセクシュアルマイノリティの権利が認められているところが素晴らしい。そして、ファッションデザイナー・プイの指導でファッションショーのためにドレスを作る囚人たち(ノンケの方も多数)は、とても生き生きして楽しそうでした(笑顔がカワイかったです)。プイは有名なゲイのデザイナーで、チャリティとして服飾を教えているのですが、最初はゲイ嫌いだった囚人たちもだんだん「今まで偏見を持ってたけど、見直したよ」とか「プイに出会えて本当によかった」などと言ってくれるようになり…泣けたっていうか、ほぼ号泣でした。これはぜひ観てほしい作品です!
 『私の居場所』の方は、マカオで育ったレズビアンの監督の自分語り的作品。親御さんの人柄が印象的でした。上映後には、監督のトレイシーさんと映画に関わったもう1人の女性の方が登場し、トークショーを披露してくれました。

 そしてオープニング作品の『愛なんていらない』。タイらしい「トランスジェンダー讃歌」な名作で、ショーパブのシーンなど見どころ多数!でした。
 初老のMTFトランスジェンダー、サーイターンは、田園風景が広がるタイ北部の小さな町を訪れ、青年ファイと恋に落ちます。部屋で女装して踊ってるところを父親に見つかったディンは、修行しろとお寺に入れられます。父親のショーパブを相続したトンマイは、アメリカから故郷のタイに戻り、お店を閉めると宣言するも、ニューハーフたちからあの手この手で説得されます。
 この3人をめぐる3つの物語が同時進行するのですが、最後にあっと驚く展開に…。ストーリーだけでも十二分に楽しめるのですが、「そんなベタな…」「え? もうそうなるの?」とツッコミたくなるようなところもちょいちょいあって、面白いです。お店でのショーのシーンは「スゴい!」「ステキ!」と拍手したくなります。そして、監督さん自身もトランスジェンダーだけあって、随所に(特に田舎に生きる)トランスジェンダーの行きづらさがリアルに描かれていて、せつなくなります。
 同じタイのトランスジェンダー映画でも、『アタックナンバーハーフ』がリアルなスポ根作品だったのに対し、『愛なんていらない』は(報われない恋やヤンキーノリ、隠された素性などの要素がちりばめられていて)ダイエードラマのような趣です。ぜひご覧ください!
 オープニング作品ということで、こちらにもゲスト・トークがありました。本当は監督のタンワーリン・スカピシットさんが来場する予定だったのですが、突然の都合で来られなくなり、代わりに『私の居場所』の監督さんと、短編集A『ネイル』のYun Joo Changさんが登場しました。

 ちなみに、26日(日)19:00の『ソ・ジュンムン プログラム』には、主演男優のお二人が来場されるそうです! ぜひこの週末はAQFFにお出かけください!