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特集:2023年4月公開・配信の映画・ドラマ
2023年4月に上映・放送・配信される映画やドラマの情報をお伝え。今月は『ザ・ホエール』『マネーボーイズ』『あの夏のアダム』など、観たくなる作品がたくさん!

(『マネーボーイズ』より)
いよいよ新年度。気分も新たに、お出かけしたくなる季節です。みなさんアカデミー賞最多7部門受賞のクィアSFアクション映画『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(エブエブ)はもうご覧になりましたか? まだの方はぜひ! そして今月はブレンダン・フレイザーがアカデミー主演男優賞に輝いた『ザ・ホエール』や、中国の田舎の両親に仕送りを続けるため男娼として生きる青年を描いた『マネーボーイズ』、クィアコミュニティで過ごすことになった男子高校生の青春を描く『あの夏のアダム』など、観たくなる作品がたくさん!
2023年4月に上映・放送・配信される映画やドラマの情報をまとめてお伝えいたします。
ちなみに3月1日はファーストデー。各館1100円〜1200円で映画を観ることができます(特別上映等を除く)。都内では『エゴイスト』『二十歳の息子』『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』などもまだ上映されています。
映画だけじゃ物足りないという方は、ぜひお芝居やミュージカル、アート展などにもお出かけくださいね。
(最終更新日:2023年3月29日)
~4月6日 大阪
93歳のゲイ
大阪のMBS毎日放送が制作したドキュメンタリー映画など15作品が上映されるTBSドキュメンタリー映画祭2023が「シネ・リーブル梅田」で開催されますが、そのなかに『93歳のゲイ』もラインナップされています。「絶対に同性愛者と言われへん」時代を孤独に生きてきた大阪・西成の長谷忠さんの人生を追った感動のドキュメンタリーです。
結婚をしたこともおつきあいをしたこともなく、誰にも言わず、ひっそりと孤独に生きてきた長谷さんが今のゲイコミュニティにつながったのは、「にじいろケアプランセンター」を運営する梅田政宏さんという方のおかげでした。しかし、MBSで『93歳のゲイ』が放送された3日後、梅田さんが急逝するという痛ましい出来事がありました。この作品は長谷さんの人生を振り返るだけでなく、高齢のLGBTQの支援活動に携わってきた梅田さんの姿を観ることができる作品でもあります。
以前YouTubeにも上がっていましたが、現在は観ることができません。まだご覧になっていない方は、これを機にぜひ劇場で。
93歳のゲイ
2022年/日本/74分/PG12/監督:吉川元基
TBSドキュメンタリー映画祭として3月24日~4月6日の間にシネ・リーブル梅田で上映されます
4月4日〜9日 東京
大木裕之と今泉浩一の上映会、のようなもの
大学在学中の80年代半ばから自主制作映画を作り始め、2000年代以降は映像作品に留まらず、ドローイング、インスタレーション、パフォーマンス等、枠にとらわれない現代アートの作家として活動している大木裕之。1986年から東京グランギニョルでの活動を経て、1990年にピンク映画俳優としてデビューし、それと並行して1999年からゲイをテーマにした自主制作映画を作り続けている今泉浩一。海外でも評価の高いふたりの作家は、その作品上でも相互に関わってきました。この上映会は、彼らの30年以上にわたる「映画人」としての活動を、還暦を間近に控えた現時点で振り返り、お互いの共通点と相違点を炙り出し、また総括しようという試みです。ほとんど上映される機会のないレアな作品を多数含む、初めての合同上映会です。
東京国際レズビアン&ゲイ映画祭で上映されて好評を博した『憚り天使』『たまあそび』といった懐かしい作品や、ベルリン国際映画祭で上映された名作『初戀』、素晴らしくエロティックな『家族コンプリート』、大木さんによるあまりにも異色すぎるピンク映画『エクスタシーの涙 恥淫』(音楽がジョン・ゾーン)など、本当に多彩で面白く、充実した、これを逃すとスクリーンで観ることはほとんどできないのではないかと思われる貴重な上映の機会になります。ハバカリシネマの岩佐浩樹さんの作品なども上映されます。
毎日プログラムが異なり、料金なども若干異なったりします。ぜひWebサイトで詳細をご確認ください。
大木裕之と今泉浩一の上映会、のようなもの
日程:2023年4月4日(火)〜9日(日)
会場:北千住BUoY
4月4日(火)
17:00~18:23 『松前君の後輩の映画』監督:大木裕之(1,500円/学生1,200円)
19:30~21:13 『憚り天使』監督:今泉浩一 ほか(1,500円)
4月5日(水)
16:00~17:23 『松前君がなるための死後のフロー』監督:大木裕之(1,500円/学生1,200円)
18:20~19:11 『卜凸(BOKUTOTSU)』監督:岩佐浩樹 ほか(1,200円)※上映後トークあり
20:00~21:00 『たまあそび』監督:大木裕之(1,500円)※上映後トークあり
4月6日(木)
16:00~17:23 『松前君の映画2019』監督:大木裕之(1,500円/学生1,200円)
18:40~20:01 『犬漏(SOLID)』監督:岩佐浩樹、『すべすべの秘法(The Secret to My Silky Skin)』監督:今泉浩一(1,500円)
20:30~ 『G8(カリ)』+『LAST CITY』監督:大木裕之(1,500円)
4月7日(金)
16:30~17:30 『ターチトリップ(Tarch Trip)』監督:大木裕之(1,500円/学生1,200円) ※上映後トークあり
19:00~21:03 『伯林漂流(Berlin Drifters)』監督:今泉浩一(1,500円)※上映後トークあり
4月8日(土)
12:00~「大木裕之監督作品」(予定)
14:00~「大木裕之監督作品」(予定)
18:00~19:00 『エクスタシーの涙 恥淫』監督:大木裕之(1,500円) ※上映後トークあり
20:00~21:46 『家族コンプリート(The Family Complete)』監督:今泉浩一(1,500円) ※上映後トークあり
4月9日(日)
11:00〜12:36 『初戀(First Love)』監督:今泉浩一(1,200円/学生1,000円) ※上映後トーク(予定)
13:30~「大木裕之監督作品」(予定)
15:30〜16:45 『松前くんの氏のための映像』『光の庭の子どもたち』監督:大木裕之(1,500円)
17:30〜 大木裕之 × 岩佐浩樹 × 今泉浩一 MIX 短篇集(1,200円)
4月7日公開
ザ・ホエール
昨年、ベネチア国際映画祭でプレミア上映された際は、6分間のスタンディングオベーションを浴びたという『ザ・ホエール』。かつて『ハムナプトラ』シリーズなどに主演し、絶大な人気を誇っていたものの、2000年代後半以降は、すっかり出演作も減ってしまっていたブレンダン・フレイザーがこの作品で素晴らしい演技を見せ、復帰を果たしたことにあたたかな拍手が贈られたのでした。ブレンダン・フレイザーは数々の映画賞で主演男優賞に輝き、そして、先日のアカデミー賞でも見事にオスカーに輝いたのでした。
『ザ・ホエール』は、ゲイの劇作家サミュエル・D・ハンターの実体験に基づく戯曲を映画化した作品です。巨漢のゲイの教師・チャーリーを演じたフレイザーは役柄について「チャーリーはこれまで演じた中でも群を抜いた英雄だ」「他人の良い面を見つけ、それを引き出せるというスーパーパワーを持っている」と語り、ダーレン・アロノフスキー監督も、それこそが「世界に伝えたい最も重要なメッセージだ」と話しています。サミュエル・D・ハンターは「過食で自分自身を癒やそうとした経験があり、非常に個人的な体験を元にしている。私は同性愛者で、原理主義的な宗教の高校に通っていた」「この作品を書くのは怖かった。愛と共感の物語という形でしか書けなかった。チャーリーには暗い海から見える灯台のような存在になってほしかった」と述べています。
<あらすじ>
同性の恋人と暮らす人生を選んで家族を捨てた英語教師のチャーリー。恋人の死後、寂しさのあまり暴飲暴食してしまい、体重600ポンド(約272キログラム)という体型になってしまい、現在はオンラインの講師として生活するも、余命わずかであることがわかり、疎遠だった17歳の娘との関係を修復しようと試みる…。
ザ・ホエール
原題:The Whale
2022年/米国/117分/PG12/監督:ダーレン・アロノフスキー/出演:ブレンダン・フレイザー、セイディ・シンクほか
4月7日公開
ノック 終末の訪問者
M.ナイト・シャマラン監督の最新作で、全米興行ランキングで初登場NO.1を獲得した話題作です。
人里離れた森の奥深くにある山小屋で、ゲイのカップルであるエリックとアンドリュー、その養女であるウェンが穏やかな休日を過ごす中、突如武装した見知らぬ謎の男女4名が訪れ、家族はわけもわからぬまま強制的に囚われの身となってしまう。そして、謎の男女たちは家族に「いつの世も選ばれし家族が決断を迫られた。君たちの1人が犠牲となり止めるのだ。世界の終末を」「君たちの拒絶は何十万もの命を奪う」と告げ、時には対話も試みながら、想像を絶する“選択”を迫るのだった…というストーリーだそう。
アンドリュー役を『ノーマル・ハート』『glee/グリー』『Looking/ルッキング』のジョナサン・グロフ(ゲイの方です)が演じています。
ノック 終末の訪問者
原題:Knock at the Cabin
2023年/米国/100分/G/監督:M・ナイト・シャマラン/出演:デイブ・バウティスタ、ジョナサン・グロフ、ベン・オルドリッジ、ニキ・アムカ=バード、クリステン・キュイ、アビー・クイン、ルパート・グリントほか
4月14日公開
マネーボーイズ
男娼として生きる青年とその恋人の葛藤をエモーショナルに描き、2021年のカンヌ国際映画祭「ある視点」部門に正式出品された作品です。台湾の金馬奨最優秀新人監督賞、最優秀主演男優賞にもノミネートされました。中国の地方出身者の若者を描きながら、その若者たちを待ち受ける経済的・社会的な葛藤、そして彼らの存在を否定する保守的な共同体の二面性という、世界中のどこでも起こりうるゲイの苦悩を見事な映像美で描きだした作品だそうです。
監督は中国で幼少期を過ごし、オーストリアに移住後、ウィーン・フィムル・アカデミーにて巨匠ミヒャエル・ハネケに師事したC.B.Yi(シー・ビー・イー)。主人公のフェイを演じたのは日本でも話題となった『あの頃君を追いかけた』のクー・チェンドン、シャオレイ役にはドラマ「お仕事です!~The Arc of Life~」のリン・ジェーシー、そして『3人の夫』のクロエ・マーヤンが一人三役を務めます。
<あらすじ>
フェイは都会で恋人シャオレイと同棲しながら、体を売って田舎の両親に仕送りをしている。田舎の家族はフェイの仕送りを当てにしながらも、彼がゲイであることは決して受け入れようとしない。ある日、フェイが顧客に暴行されたことを知ったシャオレイはその男を叩きのめすが、男の部下たちの報復に遭う。フェイは警察に捕まることを怖れ、シャオレイを見捨てて逃げてしまう…。
マネーボーイズ
原題:金錢男孩 Moneyboys
2021年/オーストリア・フランス・台湾・ベルギー合作/120分/R15+/監督:C.B.Yi/出演:クー・チェンドン、クロエ・マーヤン、リン・ジェーシーほか
4月22日公開
あの夏のアダム
ドラマ『トランスペアレント』のプロデューサーを務めたリース・アーンスト監督の長編デビュー作となる『あの夏のアダム』は、夏休みをニューヨークのクィアコミュニティで過ごすことになった男子高校生アダムの青春を描いた作品です。親から逃れ、レズビアンの姉ケイシーのいるニューヨークで夏休みを過ごすことにしたアダムは、レズビアンやトランスジェンダーの人々の運動やカルチャーに足を踏み入れるようになり、そこで出会った年上のジリアンに一目惚れするも、初対面でアダムは彼女からトランス男性だと認識されるというストーリーです。ケイシー役をマーガレット・クアリー、ジリアン役をボビー・サルボア・メネズが演じたほか、作品に登場するトランスジェンダーのキャラクターは、『POSE』のMJ・ロドリゲスなど当事者の俳優が演じています。
4月22日から渋谷で公開ですので、地方の方などもTRPと合わせてぜひ!
あの夏のアダム
2019年/米国/95分/監督:リース・アーンスト/出演:マーガレット・クアリー、ボビー・サルボア・メネズ、ニコラス・アレクサンダー、MJ・ロドリゲスほか
4月22日から渋谷のシアター・イメージフォーラムで1週間限定公開
INDEX
- 特集:2023年4月公開・配信の映画・ドラマ
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- レポート:NEW FETISH PARTY「CHAOS」
- レポート:Bruce Weber presents “Those Halcyon Days” / ヴォルフガング・ティルマンス「Moments of Life」展 / 芝浦GOLD写真展
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- 特集:2023年3月公開・配信の映画・ドラマ
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- 特集:レインボーイベント2023(上半期)
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