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レポート:「コカ・コーラ presents LIVE PRIDE 〜愛をつなぎ、社会を変える。〜」

東京国際フォーラム ホールAという大きな会場で、ユーミンとMISIAという昔からゲイを応援してくれた歌の神様たちが、本当にスペシャルな、夢のような時間をプレゼントしてくれました。奇跡の一夜でした。最初から最後まで、すべてが本当に素晴らしく、筆舌に尽くし難い感動がありました。

レポート:「コカ・コーラ presents LIVE PRIDE 〜愛をつなぎ、社会を変える。〜」

2019年12⽉6⽇(⾦)、東京国際フォーラム ホールAにて、セクシュアルマイノリティ支援をテーマに掲げた大型音楽イベントとして「コカ・コーラ presents LIVE PRIDE 〜愛をつなぎ、社会を変える。〜」が初開催され、松任谷由実さん、MISIAさん、清水ミチコさんらのビッグアーティストが出演し、ここでしか体験できないスペシャルなことを次々にやってくれて、ただのチャリティではない、心からLGBTを応援したいという気持ちがビンビン伝わってくる、ガンガン笑って、泣いて、一緒に歌って、素晴らしいにも程がある、歴史的と呼ぶにはあまりにも楽しい、伝説的な、夢の一夜となりました。レポートをお送りします。(後藤純一)


LIVE PRIDE レポート

 12⽉6⽇(⾦)、会場着が開演10分前という、まあまあギリギリな時刻だったのですが(以前国際フォーラムに行った際はホールCとか結構手前だったのですが、ホールAってすごい奥にあって、もう東京駅の方じゃんっていう…計算違いでした)、喫煙所に行ったら二丁目で「ばばあ」と呼ばれるドラァグクイーンの追っかけをやってるお友達がいて、話し込んだりなんかして、慌てて席に着いたのが本当に開演寸前でした。
 約5000人の客席は、ほぼほぼいっぱい。パッと見、半分くらいゲイと思しき方、半分くらいはファンと思しき方たちでした。
 
 19時過ぎ、清水ミチコさんが登場。今夜のMCをつとめてくれます。我らがみっちゃんは、ピアノ漫談の時とは全然違う神妙な雰囲気で、セクシュアルマイノリティからのお手紙を紹介しました。小学4年生。男の子に生まれたけど、どうしても「俺」って言えなくて、みんなと一緒にお風呂に入れなくて、いじめられるようになった、という内容でした。

 トップバッターは清貴さん。デビュー以来15年も、自身のセクシュアリティを隠して音楽をやっていた苦しさについて語りました(手紙とリンクしています)
 清貴さんは、『WE ARE ONE』、そして『虹の向こうへ』の2曲を、仲間のコーラス隊とともに歌ってくれました。本当に全国津々浦々、たくさんのプライドイベントで、どんなに小さなステージでも(飛行機の上だろうと、二丁目のゴミ拾いイベントだろうと)思いを込めて、全身全霊で歌って来られましたが、今日のステージは、演奏も(なんと、ユーミンのコンサートのバンドの方たちです)、舞台も照明も、本当に素晴らしくて、いつも以上に輝いて見えて、よかったねって思えました。最高のステージでした。
 
 次に清水ミチコさんが読んだのは、トランスジェンダーの方のお手紙でした。自分は男の体に生まれたけど、思春期になり、自分は女性だと感じはじめて…という内容です。
 
 そして、中村中さんが登場します。
 名曲『友達の詩』は、今までTSSAとかTRPとか、いろんなところで聴いたのですが、今日は本当に、切々と、迫るものがありました。オーラが凄かったです。続く『不良少年』の歌は、とてもロックで、力強かったです。今日のいでたちは、黒いタイトめなドレスといい、髪型といい、ちょっと月影先生を彷彿させるものがありましたが、ギターを弾きながら髪を振り乱して歌う姿は、美しくてカッコよかったです。
 MCでは、『友達の詩』を作った時は、トランスジェンダーである自分が恋愛なんてできるわけがないという気持ちがあった、けど、今はそうじゃないと思えます、と語っておられました。また、LGBTQにもいろんな人がいます、と言って、LとかGとかを説明するのかな、と思ったら、明るい人もいれば、私のように根暗な人もいます、いい人もいれば、悪い人もいます、それを認めるのが多様性ということじゃないですか、とおっしゃって、素晴らしいと思いました。
 
 清水ミチコさんが次に読んだお手紙は、こういうものでした。「LAにいたとき、LGBTのイベントがあると聞いて。あのエリアに足を踏み入れた時はちょっと怖かったけど、音楽とともに華やかなパレードがやってきて、ものすごく感動しました。その次にLAに行った時は、自分もパレードに参加してました。ドラァグクイーン最高!」
 
 そしてドラァグクイーン・ユニット、八方不美人のみなさん(エスムラルダさん、ドリアン・ロロブリジーダさん、ちあきホイみさん)が登場します。
 『愛なんてジャンク』を歌ったあと、MCで、「このイベントのテーマは「愛をつないで」だけど、私たち、愛っていうか恨みを歌ってて」とか、「同性愛者だろうと異性愛者だろうと、人を愛する気持ちは同じだし、捨てられた憎しみも、同じです!」とか、「次の曲はもっと物騒です」と言って笑わせ、ニューシングル『罰をくらえ愛で』を披露してくれました。ゲイゲイしくて楽しい内容でありながら、歌もしっかり聴かせる、堂々たるステージでした。
 デビューしてからちょうど1年。八方不美人もついにこんな大ステージに…と感慨深い気持ちになりました。
 
 続いては、星屑スキャットのみなさん(ミッツ・マングローブさん、ギャランティーク和恵さん、メイリー・ムーさん)
 意外にも『BE MY BABY』でスタート。ノリよく会場を盛り上げてました(たぶん他の方がしっとりめの曲が多いからと、バランスをとったのかな?と思いました)。前の席の方が、星屑スキャットのファンと見えて、光るうちわを持って応援してました(喫煙所でもファンの方たちに会いました。ファン層の厚さを感じました)
 MCのあと、星屑スキャットのみなさんは『新宿シャンソン』という曲を歌ってくれました。これが本当にいい曲で、しみじみ、ジーンとくる、歌謡曲というものの魂を感じさせるような名曲でした。ステージも、キラキラ、星屑のように輝いていて美しく、素敵な時間になりました。
 
 それから、日本邦楽界の異端児であり箏曲界屈指の超絶技巧を誇る箏奏者・明日佳さんと、様々なアーティストへの楽曲提供&リミックスを手がけるトラック&ビートメーカー・Wocasiさんのユニット「YY」が、太鼓や横笛などの和楽器奏者の方たち(全員女性)とともに演奏を披露。和楽器とクラブミュージックの見事な融合、たいへん興味深かかったです。
 
 東京レインボープライド(TRP)の名司会ですっかりおなじみの、阿部知代さんとブルボンヌさんが登場。LGBTQのQの意味は?と客席に尋ね、クワトロ?それは欲張りさんが注文するやつね、みたいなギャグで笑わせたあと、クエスチョニングとかAセクシュアルの意味を真面目に紹介。そして、このLIVE PRIDEを共同で開催してくださったTRPの方(共同代表の杉山文野さん&山田なつみさん)とプライドハウス東京の方(代表の松中権さん)が登場し、ご挨拶しました(来年のTRPの日程は4月25日・26日だそうです)
 
 いよいよ後半戦です。
 清水ミチコさんが登場し、大きな拍手で迎えられました。
 みっちゃんは「ここからは演芸の時間です」と言ってドカンと笑わせ、10代のえなりかずきさんから100歳代の金さん銀さんまで、桃井かおりさんとかデヴィ夫人とか、各年代の方々の声マネをピアノでつなぎながら次々に披露するという新しいネタを披露してくれました(ずっと笑いっぱなしでした)
 続いて「憑依」ネタ。井上陽水さん、中島みゆきさん、矢野顕子さん、森山良子さん…おまけで秋川雅史さん。もう本当に、笑い死ぬかと思うくらい、笑わせていただきました。
 今日はさすがにユーミンはやらないのね、と思ってたら、「一回やってみたかったんですよ」とバックバンドの紹介を始めて、じゃあ1曲歌いますね、と言って、ユーミンの『守ってあげたい』を歌いはじめ、そうしたら、袖からご本人が登場するという、豪華すぎるものまね番組みたいなスゴい演出で松任谷由実さんが登場し、会場から大きな歓声が上がりました。お二人はその場でハグして、そして、みっちゃんが去って、続きをユーミンが歌います。
『守ってあげたい』のあと、『やさしさに包まれたなら』、そして『春よ、来い』という国民的な大大ヒット曲、名曲中の名曲を次々に歌ってくれて…夢のよう。本当に幸せでした。
 MCでは、「私はゲイの方たちをひそかに「ひろし」と呼んでるの。なぜなら、タチひろしもネコひろしもいるから」とユーミンらしいギャグを(ドヤ顔で)かましつつ、「M☆Nightが」とか、「パレードの「山車」で私の曲をかけてくれて」とか急におっしゃって、ちょっとビックリして、感激しました(M☆Nightとは、90年代から二丁目で開催されてきた、Mのつくアーティストをフィーチャーしたクラブイベントで、松任谷由実さんは一度、Advocates Tokyoでのユーミンナイトに来場されたことがあります)。それから、「私なんかはゲイの方たちの孤独なんて1/500もわかってないかもしれない、でも、自分にも、いろんなものが飛んで来るし、人には理解されない孤独があって。きっとそれぞれに「ユニークな孤独」があると思う」という素敵なお話もあり、また、「アフリカとかでは、ゲイが死刑になるような国もある。一方で、台湾では同性婚が認められましたね」といったお話もされました。

 そして、トリを飾るMISIAさんが登場します。雨上がりに虹が、と歌う『SUPER RAINBOW』からの、TOKYO RAINBOW WEEK 2014の応援ソング『HOPE&DREAMS』。それはもう、圧倒的な歌唱力で、HOSSYさんをはじめ二丁目が誇るドラァグクイーンのみなさんも登場し(MISIAさんは90年代に、ゲイナイトに出演して歌ってくださっただけでなく、自身のツアーにドラァグクイーンを同行させて全国を回ったという、伝説のアライです)
 MISIAさんはMCでも、「みんなで、社会を変えていきましょう!」と熱く叫び(だいたいみなさん「愛をつなぎ、」のほうに言及するなかで、このように「社会を変える」を真っ直ぐに訴えたのは、MISIAさんだけで、胸が熱くなりました)
 その後、MISIAさんは清貴さん作曲の『あなたにスマイル:)』を歌うのですが、なんと、TOKYO AIDS WEEKSの「Gay Men’s Chorus 」やぷれいす東京周りのみなさん(その中にはHIV陽性であることを公にしている方も)、TRPの方や二丁目振興会の会長さんらが「U=U」のTシャツを着て登場し、バックコーラスをつとめたのです(プラス、ゲイのビッグバンドのみなさんがホーンセクションとして演奏に加わっていました)。この「LIVE PRIDE」のフィナーレとなる場面で、このようにHIV陽性者支援のメッセージを届けるという素敵なサプライズ…これには本当に感動しました。
 
 あたたかい拍手が鳴り止まないなか、アンコールとなりました。
 出演者のみなさんがステージに再び登場し、なんと、ユーミンの『DESTINY』を振り付きでやってくれて、これはもう、二丁目ピープルとしては「アゲー!」と言わざるをえない、マジ最高なステージでした。それから、ユーミンが1997年にリリースしたゲイ応援ソング『告白』を全員で熱唱。ユーミンもMISIAさんもみっちゃんも、ドラァグクイーンのみなさんも「We want freedom!」って腕を振り上げながらステージ上をぐるぐる(デモのように)回る光景には、ちょっとうまく言葉にできないくらい、感動を覚えました。
 そして、最後の最後、ユーミンとMISIAさんがステージに残り、ピアノの伴奏で(ピアノは武部聡志さんです)ユーミンが『Everything』を歌い始め、二人のデュエットになって。そしてもう1曲、『ANNIVERSARY』を歌ってくださいました…(あるゲイカップルは、あまりといえばあまりの素敵な出来事に、手をつないで聴いていたそうです)。このイベントでなければ実現してなかっただろう、夢のような、奇跡の時間。「歌の神々が、僕らのためにここまでやってくれるのか…」と、心底、感動させられました。最後にお二人は、涙ぐみながら、お互いを讃えあっていました。ゲイのために、精一杯、最高のステージになるように頑張ってくれたんだな、ということが伝わってきました。

 そうして感動のうちに「LIVE PRIDE」は幕を閉じました。
 客席が明るくなったとき、前の方の席で、リーマンのゲイ(と思しき方)が涙をぬぐっているのが見えて、わかる、僕も今泣いてるよ、って勝手に共感して。ただならぬ余韻のなかで、いろんな友人・知人に会って、「本当によかったね」「素晴らしかったね」と言い合って。
 掛け値なしに素晴らしい一夜でした。「生きててよかった…」と思えました。
   


LIVE PRIDEを振り返って

 今年のNYのワールドプライドのオープニング・イベントが、シンディ・ローパーから始まって、ウーピー・ゴールドバーグ、チャカ・カーン、CIARA、『POSE』のキャスト等々が出演する、本当に夢のようなイベンで、帰り道、TRPの山縣さんに、ちょっと興奮ぎみに「いつか東京でワールドプライドをやることになった時、こういうイベントができたらいいですね」と僭越ながら申し上げたりしたのですが、LIVE PRIDEの後半、「今日のこのイベントがまさにそうじゃん!」と思いました。日本でも、LGBTQで、プライドで、メジャーな、ストレートの方たちも海外の方たちも大勢が楽しめるような大型の音楽イベントが、ついに実現したのです。
 LGBTQという大義名分のもと、このように日本を代表するトップアーティストの方たちが、ただ出演してくれるだけでなく、主体的に、意欲的に、どうしたらいいイベントになるだろうと考えて、本気で臨んでくれて、たくさんのサプライズと感動をプレゼントしてくれました。
 素晴らしい、本当に素晴らしいです。

 私が東京レズビアン&ゲイパレード2001で前日祭「GLORY」というイベントで(たくさんのドラァグクイーンの方やLGBTミュージシャンの方にご協力いただきました。ありがとうございました)、姉様キングスという吉本興業所属の音曲漫才コンビにご登場いただいた際は、実行委員から寄付を募って(自腹で)お呼びしました。翌年のパレードでは、関根信一さんが戸川昌子さんを呼んでくれて、2010年には砂川秀樹さんが中西圭三さんを呼んでくれて…というように、少しずつ、一歩ずつ、メジャーなアーティストの方が登場してくださるようになったと思いますが、あの時から18年を経て、こんなに大きなイベントが実現するようになった、できたらいいなと夢に思い描きながらも、まさかね、と半ばあきらめていたようなことが現実のものになったことには、筆舌に尽くし難い感慨があります。
(同時に、亡くなった春日亮二さんをはじめ、その2001年の頃に、勇気をもってカミングアウトしながらパレードのステージに登場してくれていたゲイやレズビアンのインディーズ・ミュージシャンのみなさんにも、心からの感謝を申し上げたいと思います。間違いなく、あの時のぼくらの思いが、今日のイベントへとつながっていると思います)
 
 ユーミンも、MISIAさんも、清水ミチコさんも(そういえば、2000年前後、みっちゃんが二丁目に来る!と予告されたイベントもありました。ご本人のスケジュールの都合で結局、会場には来れなかったのですが、電話の中継で声は聞けたと記憶しています)、昔からぼくらの大事な友人で、ずっと寄り添って応援してくれてました。アメリカで言う、マドンナやガガやブリトニーみたいな「ゲイ・アイコン」です。しかし、どんなにフレンドリーでも、彼女たちが公にLGBTのイベントで歌うためには、事務所やなんかの制約があって、さすがに無償で出演して歌うというわけにはいかないという事情もあり、このようなライブイベントは「夢」でしかなかったのですが、時代が進み、TRPとプライドハウス東京がタッグを組んで、とうとう「夢」を「現実」のものにしてくれました。TRPの方たちもプライドハウス東京の方たちも、いくらパワーを持っているとはいえ、やはり、このような一大イベントを成功させるためには、相当な苦労をされたと思います。頭が下がります。心からの拍手を贈りたいと思います。ありがとうございました。

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