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特集:参院選2025

7月20日(日)は参院選の投票日です。今回もいろんな団体等が同性婚についての政策アンケートをとってくれていますので、その結果をご紹介します。同性婚だけでなく、いろんな意味で大事な選挙かと思いますので、必ず投票に行きましょう!

特集:参院選2025

 参院選が公示され、7月4日から期日前投票が始まっています(投票日は20日ですが、三連休の中日なので、旅行に行ったりつい忘れたりする方も多そう…)。6年の任期が保証されている参議院議員は、より専門的な知見を持って慎重に審議にあたり、決算の審議や行政の監視にも力を入れ、衆議院での行き過ぎをチェックするような役目も果たしていて、参議院は「良識の府」として国会で重要な役割を果たしています。参院選は政権交代には直接関係しないとはいえ、やはり参議院議員を選ぶ選挙も重要です。同性婚だけでなく、いろんな意味で重要な選挙ですので、みなさん、期日前投票も活用してぜひ投票しましょう。
(最終更新日 2025.7.8)



参院選の基本

 参院選は、都道府県単位※の選挙区と全国一つの比例区の組み合わせです。(※「鳥取+島根」「徳島+高知」は合区))
 選挙区の改選数は人口に応じて割り振られていて、最大が東京の6議席、全国の合計は75議席です。投票の際は、各選挙区の候補者の中から1名を選び、名前を書きます。
 比例区は計50議席ですが、投票の方法は衆院選の比例区と異なり、「非拘束名簿式比例代表制」です。各党が出す候補者名簿に順位は付いておらず、まず政党名と候補者名の合計で各党の議席数を決め、次に個人名が多い順に当選者が決まります(※比例区には前回から、個人の得票に関係なく優先的に当選できる「特定枠」が設けられました)。比例区の投票は、投票用紙に党名を書いても候補者名を書いてもOKです。(例えば同性婚の法制化のためにも国会に石川大我さんが必要だと思った方は、投票用紙に「石川大我」と書きます。政党名を書いても、名簿の順位が決まっていない以上、石川大我さんを押し上げることにはつながらないので、きちんと名前を書くようにしましょう)

◎期日前投票
 投票日に仕事や旅行などの予定のある方も、あらかじめ投票日と同じように投票できます。投票所入場券を持って、お住まいの市区町村の期日前投票所に行きましょう(投票の案内に地図などが載っていると思います)。原則8:30〜20:00に受け付けています。投票日の前日まで投票可能です。詳細はこちらをご覧ください

◎不在者投票
 住民票が実家にあったり、引っ越したばかりの方なども、実家のある自治体や引っ越し前の自治体に投票用紙を請求することで、投票日の前に不在者投票をすることができます。詳細はこちらをご覧ください


あなたの一票は絶対に“無駄”ではありません

 「どうせ自分が投票したところで結果は変わらない」「いつも入れてる候補が当選した試しがない」など、無力感を感じている方もいらっしゃるかもしれません。
 2022年、東京都杉並区(人口約60万人)で区長選挙が行なわれ、新人で公共政策研究者の岸本聡子氏が7万6743票を、4選を目指した現職の田中良氏が7万6556.724票を獲得し、わずか186票差で岸本氏が初当選しました。
 2019年4月の統一地方選では、1票差以内の僅差で結果が決まった選挙がなんと20もありました
 この参院選、実は1票に600万円超の価値があるとされています。これをみすみす捨ててしまうのはもったいないですよね…。
 世の中には投票したくてもできない方もいます。あなたの大切な投票の権利をぜひ、自信と誇りを持って行使しましょう。


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「結婚の自由をすべての人に」訴訟を行なっている団体「Marriage For All Japan」は同性婚賛成候補が誰かが一目でわかるツールを開発しています。

◎MARRIAGE VISION
 テレ朝でもニュースになっていましたが、選挙ポスターにスマホをかざすだけでその候補者が同性婚や選択的夫婦別姓に賛成かどうかがわかるARカメラサービスが7月10日から利用できるようになります。昨年の衆院選で「PRIDE VISION」という名前で実用化されましたが、今回の参院選では「MARRIAGE VISION(マリッジビジョン)」となるそうです。 


マリフォー国会メーター
 Marriage For All Japanが現職議員や候補者に同性婚への賛否を聞いて集計し、一目でわかるようにしたサイトです。今回、参院選特設サイトを作り、全候補者の同性婚への賛否を掲載しています。投票の際の参考にしていただければ幸いです。


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 ここからは、いろんな団体・グループが実施している政党や候補者への政策アンケートをご紹介します。このサイトが始まった2010年には、東京メトロポリタンゲイフォーラムとフォーラムアクエリアスという当事者団体が頑張ってアンケートをとってくれていましたが、今や、大手メディアや、たくさんの団体・グループが当たり前のようにLGBTQ関連の設問を設けています(選択的夫婦別姓と並び、争点の一つになった感があります)。その結果をご紹介します。

Marriage For All Japan
 Marriage For All Japanが各政党に公開質問状を送って婚姻平等(同性婚の法制化)への賛否を調査しました。政党要件を満たす全政党に回答を依頼し、(一部政党からはまだ回答がないものの)結果を発表しています(結果はこちら。自由記述も読めます)



zero選挙
 物価高や少子化対策、多様性など、幅広い政策に関する候補者の考えを確認できます。選択的夫婦別姓や同性婚についても聞いています。

朝日・東大谷口研究室共同調査
 約20年前から実施されている「選挙と言えば」の朝日・東大谷口研究室共同調査。2016年の参院選から同性婚についての設問も盛り込んでいます。今回は候補者522人のうち489人から回答を得ています(回答率94%) ※今回は有料会員の方しか見れないようになっています。全国民にかかわる重要な情報ですのに… 
 
NHKの政党アンケート
 経済、労働、憲法などさまざまな政策に対しする政党の考えを調査し、発表しています。同性婚については、Marriage For All Japanのアンケートとは異なる回答をした政党や、未回答だった政党の回答も載っています。
 
アムネスティ・インターナショナル日本全候補者人権意識調査アンケート
 アムネスティ・インターナショナル日本はLGBTQや気候変動、難民認定など人権課題への意識に関する候補者アンケートを実施しています。LGBTQに関しては、同性婚だけでなく、「性的指向・性自認に基づく差別禁止を法制化すべき」「最高裁判所で違憲と判断された性別変更の手術要件は撤廃すべき」「性的指向・性自認の多様性について、学習指導要領に盛り込み義務教育の中で子ども達に教育すべき」という項目も設けられていて、詳しいです。



同性婚以外の争点

 同性婚に賛成する政党や候補者を選ぶのは当然としても、いまや大半の政党や候補者が同性婚に賛成しているわけですから、それ以外の政策で選ぶとしたらどこを見るか?という話になると思います。お米など物価高への対策や減税のことも気になるでしょうし、今回は自公で過半数が維持できなければ参院でも少数与党となるため事実上の「政権選択選挙」になっているというところに注目する方もいらっしゃることでしょう。
 これまではあまりそういうことは言ってこなかったのですが、今が正念場だと見る方も多いため、お伝えすると、今回の参院選で候補者を選ぶ際に本当に重要なのは「憲法を改悪させない」という視点だと思います(国民の主権をなくすトンデモな新憲法草案を出している政党は論外です)。もし改憲が発議され、緊急事態条項が加えられると、ナチスが緊急事態条項を利用して独裁への道を突き進んだようなことになると懸念されています(日弁連のパンフをぜひ読んでみてください)。今までも“国が滅ぶ ”とか“異常”といった発言が飛び出したり、「同性愛は“依存症”」などと書いた冊子を議員向けに配ったりしてきたことからも窺えるように、同性愛を憎悪するカルト教団などの組織と結びついた議員が多数を占める政権が独裁的な権力を握った場合、どうなるかというと…同性婚どころか、同性どうしでセックスし、愛しあい、好きな人と一緒に暮らすこともできなくなってしまうことでしょう。海外のあの国のように(あるいは戦前の日本のように)。先人たちが戦後長い時間をかけて勝ち取ってきたゲイがゲイとして幸せに生きることの「当たり前」や、全国の高裁が同性婚できないのは違憲だと裁定したことは、憲法が保障してくれている人権の上にあるのです。憲法は権力者の暴走を防ぐための縛りであり、これを緩めないことが大切です(緊急事態条項のヤバさが知れ渡ってきたら「国会機能維持条項」と名前を変えたりしていますが、騙されないようにしましょう。今回が最後の選挙になったりしないように)。ぜひ、憲法改正に明確に反対する政党や候補者に投票するという視点を持って候補者の政策などをチェックしてみてください。

【追記】2025.7.8
 改憲や独裁を目論む(ナチスのような)政党とも関係があることですが、今回の参院選では、複数の政党が「違法外国人ゼロ」や「日本人ファースト」といった排外主義政策を掲げていることが問題視されてきました(Xで#差別に投票しないというハッシュタグが作られています。ご覧になってみてください)。これに対し、外国人の人権や難民問題に取り組む8団体が「外国人が優遇されているというのは全く根拠のないデマ」で「政府、国会は人種差別撤廃条約に基づき、人種差別を禁止し終了させる義務がある」とする緊急共同声明を発表しました。声明は各党や候補者に排外主義をやめ、政府・自治体には選挙運動におけるヘイトスピーチが許されないことを徹底して広報するよう求めています。8日時点で、266団体が賛同しています(共同通信「「外国人優遇はデマ」と緊急声明 政党の排外主義政策に反対」、毎日新聞「参院選公約での「排外主義扇動に反対」 NGOなどが共同声明」より)
 モラルパニックという言葉があります。社会規範からの逸脱や反道徳的な事象に対して、人々が過剰に反応し、集団でパニック状態になる現象を指します。モラルパニックは、特定の集団や文化が社会の脅威とみなされ、一般の人々の間に誤解や偏見、誇張された認識が広がることで発生します(トランス女性を犯罪者であるかのように扱う誹謗中傷などはまさにそうですよね)。この選挙で外国人に対してモラルパニックを煽り票を集める手法(恐怖と怒りのマーケティング)が成功し、排外主義の政党が多数を占めるようになると、次はLGBTQ、女性、障がい者…と攻撃の矛先がどんどん広がっていきます(ナチスが誰を強制収容所に入れたか、思い出してください)。くれぐれも「差別に投票しない」ようにして、周囲にも呼びかけていきましょう。
(なお、SNS上で流布しているさまざまなデマへの反証となるデータがこちらに掲載されています。ぜひご覧ください)



投票日(7/20)はSNS発信に注意

 投票に行ってきたよ! みんなも行こう! ○○さんに投票しよう!とSNSにアップしたくなる方もいらっしゃるかと思いますが、公職選挙法で投票日当日は選挙運動が禁止されています。違反にならないよう、気をつけましょう。
・「投票に行こう」「投票に行った」などの投稿をするのはOKです
・「〇〇さんに投票してください」など、特定の候補者や政党への投票を呼びかける行為はNGです
・選挙運動期間内に投稿されたツイートや動画などは削除する必要はなく、投票日にもそのまま掲載しておくことができますが、投票を呼びかける趣旨での更新はNGです(リツイートも危ないそうです)
・投票用紙の写真を撮ってアップするのもNGだそうです
(詳細はこちら

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