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レポート:LGBT成人式

1月19日(日)、世田谷区内の学校で第3回目となる「LGBT成人式」が開催されました。誰もが自分らしい服装で参加でき、晴れやかで祝福に満ちた、感動的な式でした。

レポート:LGBT成人式

 LGBT成人式ってどういうイベントなんだろう?と思う方も多いことでしょう。公式サイトには、こう書かれています。

「成人式」は、「人に成る」と書くけれど
「人に成る」ってどういうことなんだろう?
一般的には成人式を迎えたら、大人になるように考えられているけれど
オトナの定義って人によって違うんじゃないかな?
だからLGBT成人式は、「成りたい人になる(=成人)」ための決意をして
その第一歩を踏み出す“あなた”の節目の日。

ありのままの自分で、自分のしたい格好で
“もっとすきになれる自分”への第一歩を踏み出す日。
成人式をすでに迎えた人も、これから成人式という人も。
ありのままの自分で成人式を迎える家族や友人に
「おめでとう」を言いたい人も。
そんな周りの人達に「ありがとう」を伝えたい人も。
“もっとすきになれる自分”へ、その第一歩を踏み出そう!



杉山文野さん(右)らが
司会をつとめました

世田谷区長の保坂展人さんが
祝辞を述べてくださいました

世田谷区教育委員会教育長の
堀恵子さんも祝辞をくださいました

真剣にお話を聴く
参加者のみなさん

杉山文野さんのスピーチ

新成人・丸山さん

新成人・スバルさん
 これまで、一般の成人式は、男性は羽織袴(またはスーツ)、女性は振り袖を着ることが慣習となっていて(世間で奨励されていて)、トランスジェンダーの方などはそういう服装で出席することに苦痛や違和を覚えてきました。もっと自分らしい服装で参加したい、多くの人とは違う性のありようであっても同じように祝福される成人式であってほしいと感じてきた方も多いはずです。
 LGBT成人式は、そんなLGBTの新成人(をはじめ、どなたでも)に対し、「そのままでいいんだよ」「成りたい人になろう」と祝福する場として企画されたものです。

 第1回のLGBT成人式にはMEGUMIさんや佐藤かよさんが参加され、第2回(こちらにレポートが掲載されています)には、田中ロウマさんやブルボンヌさんが参加されました。また、世田谷区長の保坂展人さんが感動的な祝辞を述べてくださいました(市長さんがスピーチしてくれるレインボーマーチ札幌を思い出した方も多いはず)

 LGBT成人式はこれまで、第1回が成城ホールで、第2回が世田谷区民会館で開催されてきました。第3回となる今回は、主催者の方の強い思いがあり、とある学校を借りて開催されることになりました。保坂展人区長なども語っていましたが、学校でやりたいという主催者の熱意に動かされ、実現したそうです。
 小学校や中学校の卒業式を思い出す、あのシンと冷え込んだ会場での、背筋がすっと伸びるような、ハレの日。会場には、新成人かどうかはわかりませんが見たところとても若い参加者のみなさんが、ここぞとばかりに晴れ着を着たり、スーツを着たり、思い思いの自分らしい服装で集まっていました(約170人が参加されたそうです)。頬を紅潮させながら友達と笑顔をほころばせる方たち、神妙な顔で祝辞を聴いている方たち…みなさん、目がキラキラ輝いていました。

 13時過ぎ、杉山文野さんら司会のお二人の開会のことばで式がスタート。
 まず、世田谷区長の保坂展人さん(東京プライドパレードなどにも参加してくれたことがある、たいへんフレンドリーな方です)が祝辞を述べてくださいました。「LGBT成人式は、ありのままの自分を承認する『もうひとつの成人式』です」「今回、実行委員会代表の方から、ぜひ学校でやりたいとの分厚いお手紙をいただきました。そのお手紙には、第1回のLGBT成人式に参加して初めて自分を認めることができたと書かれていました」「性的マイノリティも自分らしくいられるこの式を、心より祝福したいと思います。みなさん、本当におめでとうございます」といった祝辞でした。
 続いて、世田谷区教育委員会教育長の堀恵子さんからの祝辞。「私もいまどき珍しい手書きの手紙をもらいました」「実は、娘がロンドンに留学していた際、友達にセクシュアルマイノリティの人がいたという話を聞いていました」といったこともお話されていました。
 それから、壇上の演台の横にたくさんの椅子が並べられていて、来賓のみなさんがそちらに着席されていたのですが、その来賓のみなさんから一言ずつのご挨拶がありました。上川あやさんをはじめ、多くの世田谷区議の方たち、都議の方たち、それから、豊島区議の石川大我さん、緑の党共同代表のすぐろ奈緒さんも来られていました。
 ここで壇上にスクリーンが下ろされ、映像が上映されました。とある若いFTMの方がご家族とともに登場し、カミングアウトして家族がどういう反応だったかということを語ってくれました。お母さんが「話してくれたことで協力体制ができた」と笑顔で話していたのが印象的でした。「(LGBTに理解のある)世田谷区でよかった」とも。
 式も後半に移ります。司会をつとめていた杉山文野さんが、新成人に贈ることばとしてスピーチしてくださいました。自身の体験を織り交ぜながら、「失敗を恐れずに」ということ、それから「まず自分の周り幸せにしていくこと、自分が幸せになることが大事、というシンプルなことに気づいた」ということを語ってくれました。
 続いて、お二人の方が、新成人を代表してスピーチ。FTMの丸山さんは、「小学校の頃は男の子とばかり遊んでいた。中学で男女分けが厳しくなり、学校でいじめられるようになり、自分の殻に閉じこもるようになった。高校時代、部活の友達がさりげなく理解を示すことを言ってくれたり、彼女ができたりしたことで救われた」といった自身の経験を語ってくれました。スバルさんは、「大学生になってからはっきりと自身の性的指向に気がつき、それまでの友人らに嘘をついていたような気持ちになった。同性を好きな男の子の友達と出会い、いろんなことを経験したけど、周囲に無理に合わせている自分にまた生きづらさを感じた。今は、生きづらさを感じていないわけではないが、10年後も隣にいることを想像できる人たちと一緒に過ごせていると思う」といったことを語ってくれました。
 その後、写真家の戸﨑美和さんによる記念写真撮影が行われました。参加者のみなさん、とてもいい顔でしたよ。

 自分らしい「人に成る」ということが公式サイトに書かれていましたが、本当にそういう節目になる式だったと思います。ちょっと前までは、LGBTのイベントを学校でやるなんて考えられないことでした。しかも、本当に成人式をやっている区長さんや教育長さんらが祝辞を述べてくれて…参加者の方たちにとっては、一生の思い出になるような感慨があったと思います。

 式が始まるちょっと前、手話でスタッフの方とお話している参加者の方を見かけました(スタッフの方も手話で対応されていて、感動しました)。ほどなく、クリスタルコミュニティ(聴覚障がいをもつLGBTの団体)の方がやってきてお話し、壇上から「この位置でいいですか?」といった打ち合わせをしていました。いざ式が始まると、先に述べた区長さんの祝辞をはじめとするすべてのコンテンツに手話通訳がついていて、素晴らしいと思いました(なかには訳すのが難しい言葉もあったのでは?と思います。本当におつかれさまです)
 
 LGBT成人式を主催しているのは「Re:Bit」という早稲田大学の学生サークルの方たちだそうですが、若いながら、こんなに立派な催しを毎年やっているということがスゴいと思いました。心から拍手を贈りたいと思います。

 ちなみに同じ日、大阪でも「関西LGBT成人式」が初開催され、予想を上回る210名もの参加者を得て大成功だったようです(TVのニュースでも取り上げられました)