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朝日新聞で赤川次郎氏が同性愛者を擁護

 朝日新聞1月13日付夕刊(東京版)に、赤川次郎氏の「三毛猫ホームズと芸術三昧!」というエッセイが掲載されていました。見出しは「秘められた毒 芸術のつやに」。歌舞伎の話から始まって、石原都知事の同性愛者発言への批判で締めくくられます。

 「歌舞伎座のあった場所が、今は何もない空間になっているのを、前を通って目にするたびに、とても奇妙な気持ちになる」と赤川氏。歌舞伎座が東京の風景の中でユニークな位置を占めていたことに気づかされるんだそうです。歌舞伎は今、日生劇場やルテアトル銀座などで、不便をしのびながら上演されています。昨年12月の日生劇場で上演された『摂州合邦辻』のテーマは、母の息子への恋情でした。これが実の母と息子なら、ギリシャ悲劇の『オイディプス王』ですが、『摂州』は義理の母で、しかも「実は違う意図のあってのこと」だったというオチ。当時としては、世間に受け入れられるための精一杯の妥協だったのでしょうが、「少なくとも義理の息子に寄せる思いが『本物』でなければ成り立たない話でもある。単なる『忠義』や『孝行』といったお題目を裏切る『秘められた毒』こそが芸術のつやになるのだ」と語られます。続けて「もともと歌舞伎ならではの女形というもの自体、男が女を演じてみせるところに一種の『危うさ』を秘めている。また『三人吉三』など、明らかに『男の友情』を超えた恋愛感情に達している」と語り、日本が誇る伝統芸能・歌舞伎の世界における「女装」の意義や、そこに描かれた「男どうしの愛」を再確認するのです。
 そして、赤川氏は、こう続けます。
「そういえば、先日石原都知事が同性愛者について、『やっぱりどこか足りない感じがする』と発言するのを聞いて唖然とした。こと芸術の世界に限っても、同性愛の人々がどんなに大きな役割を果たしてきたか」
「さらに私が驚いたのは、この差別発言を批判するマスコミがほとんどなかったことだ。相撲に勝った横綱がガッツポーズをしただけで『品格がない』と文句をつけるのに。『品格』を求める相手を間違えてないか。『品格より力だ』というなら、ナチスドイツが同性愛者を弾圧したのと、全く同じ発想である」
「文豪トーマス・マンは75歳のとき、たまたま泊まったホテルの若いボーイに激しい恋心を抱いて苦しんだ。マンを敬愛していたルキノ・ヴィスコンティも同性愛者だった。『どこか足りない』のは、発言した当人の方であろう」

 よくぞ言ってくれました!と、胸がすく思いがします。
 赤川氏は暗に、マスコミがほとんど石原都知事を批判しないのはその「力」に媚びているからではないか、と指摘しています。そして、メディアが権力に屈するとき、社会はファシズムへと転落するのだ、と言わんばかりです。
 さすがは日本を代表する作家です。文筆家としての品格と精神が感じられる名文でした。(後藤純一)


赤川次郎 「三毛猫ホームズと芸術三昧!」/秘められた毒 芸術のつやに
http://www.asyura2.com/09/bun2/msg/466.html

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