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毎日新聞に「偏見に苦しむ性的マイノリティ」という記事が掲載

 10月14付毎日新聞の「記者の目」というコーナーで中川紗矢子さんという記者の方が、セクシュアルマイノリティの抱える問題や政治課題について書いていました。

 記事は札幌のレインボーマーチの紹介から始まります。中川さんは北海道版の紙面で「レインボーマーチが聞こえる 性的マイノリティーの日常」という計9回の連載を書いた方でした。
「『多様な性は自然』の認識共有を」という章では、「セクシュアルマイノリティの人間的魅力と同時に、LGBTが抱える深刻な生きづらさと、背景にある社会の無理解を知った」「同性愛者などは、どんな時代、どんな地域にも、一定の割合で存在している。それは育成環境や趣味嗜好の問題ではなく、生まれついての自然なものだ」と訴えています。
 続く「結婚・財産など不当な扱い多く」という章では、とても大事なことが語られています。「日本の法や制度は、こうした性的指向の存在を前提としていない。結婚が認められない結果、財産の共有や遺産の相続など配偶者なら得られる権利が与えられず、公営住宅入居やパートナーが集中治療室に入った際の面会などで不当に扱われることがある。何よりの問題は、存在を否定するような認識や仕組みの中で当人も自身を肯定できなくなる場合が多いことだ」「宝塚大看護学部の日高庸晴准教授(医療行動科学)が2001年に大阪市の繁華街で若者約2100人を調査したところ、「異性愛者ではない」と答えた男性の自殺未遂率は、「異性愛者」と答えた男性の約6倍に上った。2005年のインターネット調査(有効回答約5700人)では、ゲイやバイセクシュアルの男性の66%は自殺を考えたことがある。取材したゲイ男性のほとんども、ゲイなど身近な人を自殺で失った経験がある」「特に危険なのが思春期。日高准教授の別の調査(1999年)では、ゲイやバイセクシュアル男性が最初に自殺を図った年齢の平均は17.7歳、自尊感情も10代が最も低かった。カミングアウトしても親子関係が破綻するなど、ストレスや葛藤でうつ病などを発症するリスクも高いとみられる」「自身もゲイであることを公表し、LGBTに対応した医療で知られるしらかば診療所で心理カウンセリングなどを担当する平田俊明医師は『世の中が同性愛者を「いないもの」として動いているため、自分が必要とされる感覚が弱い人が多い。人を好きになることや性といった人間の本質的部分が偏見の対象になっているので、アイデンティティーへの影響も大きい』と指摘する」「同性愛者への嫌悪感をホモフォビアといい、同性愛者ら自身もこうした感情を持っていて、自己肯定感を持てない原因にもなっている。このホモフォビアを培う大きな要因が、教育とメディアだ。教員が同性愛者らに偏見を持つ発言をしたり、テレビのバラエティ番組でゲイをあざけりの対象とするのを見ることが当事者に深い傷を残す」
 それから「性同一性障害と同性愛を混同も」という章。「LGBTのうち性同一性障害については、条件付きで戸籍の性別変更などを認める特例法が2004年に施行され、その前後からテレビドラマや新聞でも取り上げられるなど啓発も進んだ。しかし同性愛に関する正しい情報は、相変わらず少ないと感じる。日高准教授は近年、健康教育に関する講演で、同性愛と性同一性障害を混同した教員らから相談を受けることが多くなったという。同性に恋愛感情があることを教員に告げた生徒が『病院で(性別適合)手術が必要』と言われたケースもあり、正しい知識の共有は急務だ」「札幌でレインボーマーチを始めた桑木昭嗣さん(35)は「オープンにして生きていく方法もあると仲間に提案したかった」と振り返る。第1回を企画した1996年、仲間からも「周囲にゲイだとばれる」と非難されたという。しかし先月のパレードには800人以上が参加し、歩道やビルの窓から手を振る市民の姿が見えた。当事者の努力と明るさが、周囲の目も変えつつある」「同性間の結婚を認めている国も世界には10カ国以上ある。法整備には国民全体の議論が必要だろうが、最初の一歩として、多様な性は自然なことであり、LGBTは人権問題なのだという認識を共有するところから始めたい」

 世間の方たちにゲイのリアリティ、抱える問題、政治的課題などを説得力をもって伝える素晴らしい記事でした。セクシュアルマイノリティに寄り添い、さまざまな問題を丹念に取材し、当事者の声や思いをすくいあげていかないと、こういう記事は書けないでしょう。拍手!です。(後藤純一)


記者の目:偏見に苦しむ性的マイノリティー=中川紗矢子(毎日jp)
http://mainichi.jp/select/opinion/eye/news/20111014k0000m070116000c.html

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