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【追悼】「かいじゅうたちのいるところ」の絵本作家モーリス・センダック

 世界的なベストセラー絵本『かいじゅうたちのいるところ』(1963年出版)で知られる絵本作家、モーリス・センダックが5月8日に亡くなりました。享年83歳でした。

 センダックは80歳のときにゲイであることを『ニューヨークタイムス』紙でカミングアウトしました。「他に、これまで質問されてないことが何かありますか?」 と聞かれ、ちょっと考えて、「私がゲイだということはまだ聞かれてないな」と語ったのです。そして「私はそれが誰にも関係ないと思ってたんだ」と付け加えました。
 ニューヨークのゲイアーティストなんて全く珍しくありませんが、1928年生まれのセンダックは、「私が20代とか30代の頃は、ゲイが子ども向けの絵本を書いているということはキャリアを傷つけると考えられていた」と語りました。
 ゲイであることを両親にも告げていなかったそうです。「私の唯一の願いは、両親がハッピーになるよう、ストレートになることだった。彼らは決して、決して知らなかった」
 2007年に50年間連れ添ったパートナー、ユージーン・グリン(精神科医の方だったそうです)が亡くなってからは、「自分がここで何をしているのかということについて考えた」「彼のところに行きたいと思った」そうです。友達とも交流しなくなり、電話に出たり、メールの返事を書くこともできなくなったといいます。
 センダックは恐れました。死ではなく――それは子どもの頃からテディベア同様に慣れ親しんだものでした――作品を完成させられないことを。「残された時間はあとわずかだ、と思っていた」
(遺作である『My Brother's Book』が来年2月に出版されるそうです)

 2009年、『かいじゅうたちのいるところ』はスパイク・ジョーンズ監督(『マルコヴィッチの穴』)によって実写映画化され、話題になりました。ジョーンズは2011年、『みんなのしらないセンダック』という短編ドキュメンタリー映画も製作していて、センダックはその中で、ゲイであることによって社会から受ける抑圧について、あるいは50年連れ添ったパートナーのことについて、語っているそうです。

 アメリカの非営利メディア「Democracy Now!」では、センダックの友人で同じゲイのユダヤ人であるトニー・クシュナー(『エンジェルス・イン・アメリカ』の作者)が、センダックを追悼し、「オバマ大統領が同性婚を受け入れたことを聞くまで生きられなかったのは残念だった」と語っています。

『ニューヨークタイムス』紙によると、センダックの死因は脳卒中後の合併症によるものだそうです。
 センダックは数多くの作品を世に送りだしましたが、多くの支持を得ると同時に議論の的ともなりました。『かいじゅうたちのいるところ』は、「“かいじゅう”が怖すぎて子供が悪夢を見る」といった批判や、『まよなかのだいどころ』(1970年出版)に描かれた少年の裸に対しては、教育上よろしくないとする保護者や教育者らもいたといいます。
 しかし、その革新的な作風は高く評価され、『かいじゅうたちのいるところ』は今や、20世紀最高の絵本と言われています。コールデコット賞(アメリカで最も権威ある児童書の賞)、国際アンデルセン賞画家賞、ローラ・インガルス・ワイルダー賞など、多くの賞を受賞しています。
 
 センダックは舞台芸術とも関わりが深く、オペラやバレエの美術も手がけていました。チューリッヒ歌劇場『ヘンゼルとグレーテル』の美術監督のほか、パシフィック・ノースウエスト・バレエの『くるみ割り人形』(1983)の舞台美術や衣装が有名で、『くるみ割り人形』は今でも毎年シアトルで上演されているそうです。
 


「かいじゅうたちのいるところ」世界的ベストセラー作家モーリス・センダックが死去(楽天woman Infoseek)
http://woman.infoseek.co.jp/news/celebrity/story.html?q=hwchannelw_20120509_0601

Concerns Beyond Just Where the Wild Things Are(NY Times)
http://www.nytimes.com/2008/09/10/arts/design/10sendak.html?_r=3&oref=slogin&pagewanted=all

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