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生誕100周年が祝されている「コンピュータの父」アラン・チューリングは、同性愛ゆえに非業の死を遂げた方でした

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 本日のGoogleホリデーロゴは、アラン・チューリング生誕100周年を祝したものになっています。
 アラン・チューリングは1912年6月23日、ロンドンに生まれた天才数学者。1936年にチューリングマシンを考案した人物として知られています。チューリングマシンとは、無限に長いテープに記録される「1」「0」などの情報をヘッドで読み書きすることで問題を解いていく仕組みで、「アルゴリズム」と「計算」の概念を定式化し、計算機科学の発展に大きな影響を与え、コンピュータの誕生に重要な役割を果たしました(そのため、コンピュータの父とも呼ばれています)。Googleのホリデーロゴもこのチューリングマシンを表していて、右上に表示された2進数に合わせていくゲーム的要素もあります。
 チューリング博士は、第二次世界大戦中、ドイツが使用していたエニグマ暗号を解読するなどの功績を残しました(いわば、英雄です)。そして戦後は、有名なチューリングテスト(機械を「知的」と呼ぶ際の基準を問い、人工知能の問題を提起するもの)をはじめ、初期のコンピュータに関する仕事に携わりました。が、1954年、青酸カリを服用して自殺しました。

 アラン・チューリングの死の真相については、本国でも何十年もの間、秘密にされていました。1973年、ゲイ解放運動の担い手たちは、この沈黙を破り、同性愛者がどのように扱われるかということの好例として、チューリングの身に何が起こったのかについての文書を出版しました。その翌年、ブレッチリー・パーク(第二次大戦中、暗号解読センターが設置された場所)は公式にその内容を認めました。
 チューリングは1952年2月7日、マンチェスターの若い男性と関係をもったために、逮捕されました。そして彼は、性欲を抑える(去勢する)という名目で、女性ホルモンを投与されたのです(そんな非人道的なことが1970年代までまかり通っていたのです。何の正当性もない、学術上の噂でしかなかったのに)
 チューリングは1954年、青酸カリを飲んで自殺しました。ベッドの傍らにはリンゴが置いてあったと言います。リンゴが置かれていたのは、その死が事故などではなく自殺だと明示するものでもあり、「白雪姫」や聖書の「エデンの園」になぞらえた演劇的なメッセージでもありました。

 イギリスの人々の多くは今でも、チューリングが自殺したのは同性愛を暴露されたことの不名誉(恥)のせいだと思っているそうです。しかし、彼の死は逮捕の2年後です。それは恥というよりもむしろ、怒りであり、抗議でした。
 彼の近しい友人たちは、何十年も経った今も、彼の自殺を「とても癒されることのないトラウマ」だと語っています。
  
 1967年にソドミー法が撤廃されるまで、イギリスでは同性愛はありえないこと、公の場では言及してはならないことでした。1970年代以降、ゲイを取り巻く状況が大きく変わっていき、チューリングの不当な逮捕や非業の死についての真相も語られるようになりましたが、彼の名誉が回復するまでには長い年月がかかりました。当初は、暗号解読の名手といったイメージもあり、チューリングの人物像はまるで魔術師マーリン(「アーサー王物語」に登場)のように描かれたりしていました。

 1986年、チューリングの葛藤を描いた戯曲『ブレイキング・ザ・コード』がウェストエンドで上演されました。翌年にはブロードウェイに進出、トニー賞3部門にノミネートされました(なんとその翌年には劇団四季によって日本でも上演されています)。1996年にはBBCでTVドラマ化され、英国アカデミー賞やGLAAD賞にノミネートされました。

 2007年、アラン・チューリングの功績を讃え、ブレッチリー・パーク博物館の真ん中に彼の彫像が置かれるようになりました。
 そして、2009年になってようやく、ゴードン・ブラウン首相は、政府のチューリングに対する仕打ちについて公式に謝罪しました。
 それを受けて、チューリングの死後恩赦(逮捕が不当だったとして取り消すこと)を求める署名が21,000名分集まり、今年初め、政府に嘆願書が提出されました。が、政府はこの要求を却下したそうです。政府は「当時、犯罪であるとみなされる行為をもとにアラン・チューリング氏は有罪判決を受けたため、死後恩赦は適当ではない。がしかし、戦時中の任務遂行に大きく貢献したにもかかわらず、アラン・チューリング氏が今となっては残酷で不条理極まりなく感じられる有罪判決を受けることとなったのは悲劇である」との声明を発表しています。また、「このような判決が下されることとなった歴史的状況を変えようとして正すことのできないものを正そうとするよりも、当時のようなことに二度と逆戻りすることがないようにするべきである」ともつけ加えています。

 今年は生誕100周年を記念し、追悼記念切手が発売されたり、その功績を讃える動きが各所で見られます。チューリングの母校であるケンブリッジ大学キングス・カレッジでは、生誕100周年を記念した誕生パーティが開催されるそうです。

Alan Turing: Gay codebreaker's defiance keeps memory alive(BBC.com)
http://www.bbc.com/news/technology-18350956

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