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渋谷区が同性カップルを「結婚に相当する関係」と認める証明書を発行する条例案を区議会に提出

東京都渋谷区は、同性カップルを「結婚に相当する関係」と認め、証明書を発行する条例案を3月の区議会に提出することを決めました。自治体が同性カップルをパートナーとして証明する制度は、日本で初めて。可決されれば4月1日から施行、証明書の発行は2015年度内の開始を目指すそうです。
  
 渋谷区では、同性カップルがアパートを借りられなかったり、病院(ICUなど)でのパートナーへの面会や手術の同意などを「家族ではない」と断られるケースが問題になっており、昨年7月に有識者らによる検討委員会が立ち上げられ、LGBTの区民からも聞き取りをして条例の内容を検討してきました。区は区民や事業者に、証明書を持つ同性カップルを夫婦と同等に扱うよう協力を求める方針です。
 条例案は、男女平等や多様性の尊重を謳ったうえで、「パートナーシップ証明」を定めた条項を明記。区内に住む20歳以上の同性カップルが対象で、双方が互いの後見人となる契約を交わしていることなどが条件となります。パートナーシップを解消した場合は取り消す仕組みもつくられます。
 条例の趣旨に反する行為があった場合は事業者名を公表する規定も盛り込むそうです。
 区議会では、条例案が従来の家族制度を揺るがしかねないとする議員の反対も予想されますが、区は、法律上の効力はなく「全くの別制度と考えている」としています。
 桑原敏武区長は「渋谷のように多様な人が住んでいる社会であれば、少数者が一人一人認められる社会を作りたい、そういう問題の提起です」「互いの違いを受け入れ、尊重する多様性社会を目指すという観点から、LGBTの問題にも取り組みたい」と述べました。
 
 海外の同性パートナーシップ制度に詳しい京都産業大大学院の渡辺泰彦教授(民法)は「公的機関が同性パートナーの存在を認め、直面する問題に対処しようとする点に大きな意味がある。ドイツやスイスではまず地方自治体がパートナーシップ制度をつくり国家レベルに広がった。国内でも同様の動きが出てくるのではないか」と語っています。

※LGBT同士のカップルで任意後見人契約が必要な理由について、行政書士の松田美幸氏は自身のblogで、認知症などにより判断能力が衰えた場合に備えるほか、病院における代理手続きなどを例に挙げて説明しています。例えば、同性カップルの場合、パートナーが急に事故に遭って死の淵をさまようようなことになっても「家族以外はお通しできません」と病院側に断られ、苦しんでいるパートナーのそばに寄り添ってあげることができないケースもあります。しかし、あらかじめ任意後見契約を結んでおけば、後見人と被後見人という法律上の立場が生まれるため、病院側からも断られることがなく、入院契約なども代理で行うことができるようになります。(任意後見契約は公正証書で行います)

 TV各局は一斉にニュースでこのことを報じています。
 日テレでは、都内に住む同性カップルに話を聞き、レズビアンカップルが顔出しで登場、「本当に率直にすごくうれしくて、思わず涙が出ちゃうくらいだった」「(日常の中の)不安が安心感に変わるという意味で大きいと思う。自分たちが住む場所が渋谷区と同じ条例を設けたらすごくいいなと率直に思う」とコメントしていました。「条例案が出されたことでLGBTの人たちが身の回りにいるという認知につながって、認める認めないということが渋谷区をきっかけに全国で議論が盛んに活発になっていけばいい」「LGBTとして、率直にすごくうれしい」とコメントするゲイカップルも。
 FNNでは街ゆく人にインタビューし、「私はウエルカム。いいんじゃないかと思う」「自分は賛成ですね」「余計、少子化につながると思う」「微妙な感じです」といった声を拾っていました。また、東小雪さんへのインタビューも行われ、「とってもうれしいです。朝ニュースを見て、『ついにだな』って感じで、本当にうれしい気持ちでいっぱいです」「日本ではまだ、同性婚が認められていないので。初めて行政が条例をつくって、パートナー証明書を出してくれることで、大きな1歩だと感じています。いろんな人が受け入れられる社会になってほしいと思っています」という声が紹介されていました。

 大手新聞社も一斉にこのニュースを報じています。
 朝日新聞では、やはり東小雪さん&増原裕子さんカップルのことが紹介されていました。お二人は以前、家の賃貸契約の際に「夫婦」と書いたものの、不動産業者に「友人」と書き換えるよう言われたそうです。渋谷区議会で今回の制度が議論されていると知り、昨年11月、東京都国立市から渋谷区に引っ越しました。「自治体が家族と同じと認めてくれる。制度ができたらすぐに申請します」

 ニュース系Webサイトでも、多数の報道がありました。
 Biglobeではこのような記事が掲載されています(素晴らしいです)
「同性婚の是非については、「従来の家族制度を揺るがしかねない」という保守的な性別二元論に基づく反対意見はもちろん、「同性カップルが、異性カップルと同様に、異性カップルの模倣ともとれる形(異性愛社会に包摂される形)で結婚という制度を求めることはいかがなものか」という意見もある。
 「同性愛者なのだから、異性愛者と同じように結婚する必要はない」と、同性愛カップルの当事者以外が意見することは無論差別に他ならないが、「同性愛者カップルも異性愛者カップルと“同様に”結婚できた方が良い」という意見にも問題がある。この言葉は、しばしば無意識的に、「異性愛者が同性愛者を許可する」と捉えうる差別を孕むからだ。
 もちろん、「結婚」という制度を利用したいのであれば、同性どうし異性どうし問わずその制度を利用出来ることに越した事はないし、利用出来ないということには問題があるように思う。
 加えて当然ながら、異性愛のカップルであっても、「結婚」という制度を利用したくない人たちもいる。彼彼女らもまた、「異性どうしなのだから結婚すれば良いじゃない」「なぜ結婚しないの?」という不寛容の視線を受け得ることを忘れてはならない。パートナーが日本人ではない場合は、ビザの問題などもある。
 個人的には、渋谷区が3月議会に提出するというこの条例案は、「結婚に相当する関係」ではあるが、「結婚とは別の制度」であることが素晴らしいと思う。
 というのは、3.11震災以後、「老い」と「死」という問題がより具体的に浮かび上がってきたからだ。
 パートナーの突然の死や行方不明、事故などでICU(集中治療室)に搬送された場合、日本国憲法が定める「結婚」という制度によって結ばれていないカップルは、重体や臨終に付き添う権利を与えられない。「結婚」をしていないカップルは、パートナーの訃報を受け取る権利もない。しかし、自分が死ぬ時や、パートナーが危機に瀕している時に付き添ったり、養子以外の方法でパートナーへ財産を分与したいと思う欲望は、「結婚」しているいない、出来る出来ないに関わらず、一人の人間としての尊厳に関わる問題である。
 渋谷区のこの「結婚とは別の形で」パートナーとともに生きるための条例が可決され、将来的には、渋谷区だけでなく(当然ながら、同性カップルは渋谷区にだけ存在する訳ではない。日本全国、世界中に当たり前に存在するのだ)、また同性カップルだけでなく、異性カップルも利用出来るものになれば良いと思う。
 渋谷区の条例が可決されるかはまだわからないし、パートナーを持つ者たちの保証だけではなく、シングルの保証も必要であることは言うまでもないが、これは、バックラッシュ吹き荒れる近年の日本において、人間の尊厳を守るための非常に大きく喜ばしい第一歩であると思う」

 渋谷区の鈴木議員は公式サイトで「10年前には公明党さんが取り上げ、間があってここ数年ハセベケン議員を中心に無所属クラブの方々が、そして無所属渋谷の岡田マリ議員が取り組んでいらっしゃいました」とコメント。平成27年度当初予算の説明資料の予算と条例についての記載も紹介しています(詳しくはこちら) 

 それから、今回の渋谷区の動きのほかに、世田谷区でも昨年9月、保坂展人区長が証明書の発行について「所管部には調査、研究、検討するように指示し、対応を立てていきたい」と述べているそうです(上川あや議員もTwitter上で「世田谷区も検討中。後に続きますよ~」とコメントしています)
 中野区でも、石坂議員が「同性パートナーシップ登録の全国初の条例化は凄いことです。多くの渋谷区民の方々に勇気を持って登録していただき、需要が顕在化することで他の自治体にも続く動きに繋がると素晴らしいなと思います。また、中野も住民ニーズに合わせた施策が進むようにしていきたいと思います」とコメントしているほか、同区の森議員も「単なる理念条例化と思いきや、予算がつく予定で、条例の趣旨に反する事業者名の公表も定められるとのことだから、かなり踏み込んだものになりそうですね。すごい」とコメント。また、中野区在住のゲイの方なども「区長に会ってパートナーのことをお話する用意がある」とツイートしており、動きを見せそうな予感がします。
 もちろん他の自治体でも、同様の条例を制定しようということになりえるでしょう(ぼくらが今住んでいる区や市への働きかけを行うことで) 

 ともあれ、3月の区議会で無事に条例が可決され、日本初の同性パートナーシップ承認という歴史的な画期が訪れることを期待します。
 


同性カップルに“結婚相当”証明書、渋谷区が条例案(TBS)
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2417424.html

証明書条例案提出 同性カップルに話を聞く(日テレ)
http://www.news24.jp/articles/2015/02/12/07269117.html


自治体公認同性カップルの動きに歓迎の声 東京・渋谷区(FNN)
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00286268.html


同性カップル、渋谷に早くも転居 結婚相当証明書を歓迎(朝日新聞)
http://www.asahi.com/articles/ASH2D63DQH2DUTIL03Z.html

同性カップルに結婚並み証明書 渋谷区、来月に条例案(東京新聞)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015021202000140.html


渋谷区、同性カップルに証明書 条例案「結婚に相当」 (日経新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG11H1C_R10C15A2CR8000/

同性カップルでも「結婚に相当」証明書 東京都渋谷区が条例案提出へ【LGBT】(Huffington Post)
http://www.huffingtonpost.jp/2015/02/11/lgbt-shibuya_n_6663884.html

「異性と結婚」以外のいくつもの選択肢。だれかと共に生きるための条例案
http://news.biglobe.ne.jp/trend/0212/mes_150212_0822467668.html

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