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渋谷区と世田谷区で、日本で初めて同性カップルにパートナーシップ証明書が交付されました

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 2015年11月5日、渋谷区が同性のカップルを「結婚に相当する関係」と認める証明書の発行を始め、増原裕子さん・東小雪さんのカップルが第1号となる証明書を受け取りました。
 10月28日に申請を済ませていたお二人は、午前8時半に区役所の窓口が開くと同時に来庁し、証明書を受け取りました。
 証明書を受け取った増原裕子さんは「職員の方から『おめでとう、お幸せに』と言っていただけました。住んでいる町でパートナーが家族として認められたことがとてもうれしい。この証明書を使って、これまでできなかった保険金の受取人の指定や家のローンを、共同で組むことにチャレンジしたい」と語りました。
 東小雪さんは、駆け付けた友人が「私たちより先に泣いてくれた」ことに驚きつつ、「渋谷区をきっかけに日本全国にこの取り組みが広がっていってほしい。そして、同性カップルも異性カップルも同じなんだということ、身近にいるんだということを少しずつでも社会に知ってほしい」と語りました。
 また、東さんは「まずはLGBTのことを知ってもらい、日本全体にある問題だと感じてほしい」と語り、性的少数者(LGBT)の人たちには「(証明書の発行に必要な)公正証書を作った後によかったと思ったし、証明書を手にして実感することもあったので作ってみてほしい」と呼びかけました。増原さんは「区から家族として認められたのは大きいが、相続の問題などもあるので国民の動きとして全国に広がれば」と期待を込めて語りました。今後は、病院や不動産などで「証明書がちゃんと使えるようになってほしい。証明書があってもなくても生きやすい街になれば」(増原さん)、「性に悩む若者たちなどへの教育にも力を入れてほしい」(東さん)とも。
 渋谷区の長谷部健区長は、まずお二人に「おめでとうございます。長かったもんね、よかったね」と声をかけました。それから、「これからがスタートであり、今後、制度の定着および普及に向けて、しっかりと取り組んでいきたい。引き続き、区民や事業者への周知啓発などを行いながら、LGBTの方々誰もが希望を持ち、自分らしく生きることのできる多様性を尊重する社会を推進していきます」と語りました。
 このあとお二人は、発行されたばかりの証明書を手にJR渋谷駅前に移動し、証明書の発行を記念して、レインボーカラーのたすきをかけたハチ公像の前で記念撮影をしていました。
  
 メディアもたくさん取材に駆けつけ、ほぼ全局、全紙でニュースに取り上げられ、関心の高さが窺えました。
 18時10分~のNHK首都圏ニュースでは、東さんたちの様子だけではなく、渋谷区でこうした条例が認められることによって、区内の事業者も動き出しているとして、すでにLGBT向けの対応を始めている不動産屋(うちナビ)や保険会社(アクサ生命)、ブライダルの会社(ダイバース)などのコメントも放送していました。記者の方は「欧米では同性婚も認められつつありますが、日本ではLGBTが長い間偏見や差別にさらされてきました。渋谷区では事業者に対する説明も始まっていますが、まだLGBTのことを理解していない企業もあり、これからの課題と言えます。ともあれ、これは日本の当事者にとっての大きな一歩と言えるでしょう」と語っていました。

 全国初の条例により、渋谷区では、区内に住む20歳以上の同性カップルに対し、公正証書などの書類を提出し、審査で男女の婚姻関係と同等と認められれば、パートナーシップ証明書を交付します(詳しくはこちら)。法的拘束力はありませんが、区内の事業者に対して男女の夫婦と同等に扱うよう求めています。家族向け区営住宅への入居も可能となります。
 また、渋谷区によると、11月4日までに申請したカップルは増原さんら1組だけだそうです。区の担当者は「先月23日に必要書類など条件を公表したばかり。公正証書を公証人役場で作成するのに時間もかかるので、これから徐々に申請が出るのではないか」と話しているそうです。
 増原さんは「まだ、声を上げられない人がたくさんいる。数が少ないから必要ではないということではない」と語ります。
 朝日新聞によると、区内の50代のゲイの方は同居中のパートナーが公表できず、証明書の申請に消極的だといいます。「証明書がなくても幸せじゃないか、と言われるんです」

 
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 そして、11月5日、世田谷区でも同性カップルがパートナーであることを誓う「宣誓書」の受付けと発行が始まりました。

 世田谷区の保坂展人区長は制度開始に当たり、5組のカップルに直接受領証を手渡し、「パートナーシップの宣誓をされたことを証します。これからの人生を互いに支え合い歩まれるお二人のご多幸を願います」と述べました。なかには涙ぐむ方もいらしたそうです。世田谷区役所によると、別途2組が宣誓書を提出したため、受領証の交付は初日だけで計7組となりました。

 カメラマンの中川司さんと料理研究家の寺井幸也さんのカップルは、これをきっかけに結婚式を挙げる予定だそうです。お二人は「好きな人ができて、ずっと一緒に生きていきたいと思った時に『結婚したい』と素直に思いました」「宣誓をしたことで、ここから何かが始まっていくのではないかという希望を感じています」「こうした動きが世田谷だけでなく全国に広がっていってほしいと思っています」と語りました。
 また、17年間にわたってパートナーの高野幸子さん(手話講師)と一緒に暮らしているという高島由美子さん(手話通訳士)は「パートナーの手術の同意をする際も医療機関が家族として扱ってくれなかったり、不動産を探すときに苦労したりさまざまな面で苦労がありました。この証明書があることで、医療機関をはじめ周囲の方たちに少しずつでも理解が広がればと思います。長年一緒に暮らし、いつのまにか本物の家族のようになっていたので、区が自分たちを「家族と同等」と認めてくれたことに感謝しています」「耳の聞こえない人たちの中にも性的少数者(LGBT)がいる。ろう者の間でも理解が深まっていってくれたら」と語りました。
 年下の女性と6年ほど区内で同居する美容師の古谷光枝さんは「これまでは社会で全く認知してもらえなかった。区が認めてくれただけで大きな前進。この日がワクワクするほど楽しみだった」と語りました。
 
 保坂区長はまた、同性カップルたちを前に、「今日、さしあげたのは一枚の紙です。シンプルな一枚で法的拘束力はありません」としたうえで、オランダでも80年代半ばから90年にかけて区や市のレベルで法的拘束力のない取組みが始まったことが端緒となり、2001年に同性カップルの法改正が実現した例を挙げ、「これははじめの小さな一歩ですが、この一枚の紙がもたらす力を大きくしていきたい。さまざまな事業者に知ってもらうほか、教育の現場などで理解を深めてもらう取り組みを進め、国の制度を変えることにつなげていきたい」と語りました。

 また、今回のパートナーシップ証明実現の立役者である上川あや区議は、「同性カップルの課題やニーズの可視化につながる」「条例化はハードルが高いが、『世田谷方式』ならどの自治体でもできる」と語りました。

 世田谷区の要綱によると、20歳以上で同性カップルのいずれかが同区に住んでいるか、転入を予定しており、2人が住所や氏名を記した「パートナーシップ宣誓書」を提出すれば、区長が「受領証」を発行することになっています。宣誓書は10年間保存され、カップルの双方が望めば廃棄できます(詳しくはこちら。PDFです)。法的拘束力はありませんが、自治体が発行する書類のため、これを見せることで事業者側に配慮が生まれることも期待できます。(すでにKDDIやNTTドコモ、アクサ生命保険は、渋谷区の証明書と同様に世田谷区の受領証も家族の証明として使える公的書類だとみなすことを発表しています)


 日本で初めて公に同性パートナーシップの証明書を受け取ったみなさん、本当におめでとうございます。長年築いてきたパートナーシップの重みや、家族として認めてほしいという思いに心から共感するとともに、公の場に出ていくことをまだためらう方も多いなかで取材に応じた方たちの勇気に敬意を表します(取材には行けませんでしたが、きっとその場に居合わせたら、もらい泣きしてたんじゃないかな…と思います)
 二人の区長さんや取材に応じたカップルの方たちも語っているように、これはまだ「はじめの一歩」に過ぎませんが(結婚とは異なりますが)、とても大きな意義をもつ一歩です。ここから全国の自治体に広がりを見せていったり、世間の方たちがセクシュアルマイノリティのことを理解するきっかけとなったり、支援の輪が広がっていったりすることでしょう。そして、将来的には法制度としても同性パートナーの権利が認められる日が来ることを願うものです。
 今はこの象徴的な「はじめの一歩」へとつながるような、さまざまな尽力をされてきた大勢の(本当にたくさんの)みなさんと、歓びを分かち合いたい気持ちです。
(後藤純一)



同性カップルに「証明書」発行始まる(NHK)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20151105/k10010294841000.html

同性カップル「証明書」、渋谷区が初の発行(日テレ)
http://toyokeizai.net/articles/-/91399

同性カップルに全国初の「パートナーシップ証明書」(テレ朝)
http://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000061928.html

全国初、東京・渋谷区で同性カップルに公的証明書(TBS)
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2628729.html

同性カップルに「結婚」証明書 渋谷区と世田谷区で発行開始(FNN)
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00307588.html

「同性カップル」証明書第1号、渋谷区発行 「記念すべき日」(日経新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG05H1M_V01C15A1CR0000/

同性パートナー「家族」へ第一歩、証明書を交付(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/20151105-OYT1T50077.html

渋谷区、同性カップルに「結婚相当」の証明書発交付(産経新聞)
http://www.sankei.com/life/news/151105/lif1511050018-n1.html

同性カップルに証明書発行 「家族として認められ感激」(朝日新聞)
http://www.asahi.com/articles/ASHBX6DZ2HBXUTIL052.html

同性カップル:「結婚に相当」初の証明書交付 東京・渋谷(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/news/20151105k0000e040187000c.html

渋谷区、同性カップルに「パートナーシップ証明書」交付開始 第1号は女性カップル(渋谷経済新聞)
http://www.shibukei.com/headline/11189/

渋谷区、同性カップルにパートナーシップ証明書を初交付 「家族と認められて感激」(ハフィントンポスト)
http://www.huffingtonpost.jp/2015/11/04/shibuya-partnership-started_n_8475710.html

東京・世田谷区も同性カップルに証明書始める(NHK)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20151105/k10010295261000.html

同性カップル「宣誓書」 世田谷区でも開始(日テレ)
http://www.news24.jp/articles/2015/11/05/07314142.html

同性婚:証明書8組に「理解深まれば」…渋谷・世田谷区(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/news/20151106k0000m040092000c.html

7組が宣誓「希望抱けた」 世田谷区の同性パートナー宣誓制度(産経新聞)
http://www.sankei.com/politics/news/151105/plt1511050025-n1.html

世田谷区も同性パートナー認定開始 7組に受領証 「どんどん広まって欲しい」(ハフィントンポスト)
http://www.huffingtonpost.jp/2015/11/05/setagaya-patnership_n_8476616.html

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