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一橋大学ロースクールのゲイの学生が自殺した事件の裁判について遺族側が記者会見「彼が亡くなったのは、彼が同性愛者だからではない。同性愛者を差別し、蔑み、認めない社会があるからだ」

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 同級生にゲイだとアウティングされたことが原因で一橋大法科大学院(ロースクール)の学生Aさん(当時25歳)が校舎から飛び降り、自死したことについて、昨年、遺族がこの同級生と一橋大学を相手取り、訴訟を起こしましたが、原告(遺族)側が4月19日、東京・霞が関の司法クラブで記者会見を開き、これまでの訴訟で判明した事実や訴訟の進行状況、今後の訴訟方針などを明らかにしました。

 裁判を担当している南和行弁護士によると、Aさんは2015年4月、友人だった法科大学院の同級生Zさんに「はっきり言うと、俺、好きだ、付き合いたいです」とLINEを通じてメッセージを送り、Zさんは「付き合うことはできないけど、これからもよき友だちでいて欲しい」と返信しました。その後もAさんは友達としてZさんを食事や遊びに誘っていました。同年6月、Zさんが、Aさんもメンバーである友人どうしのLINEグループに「俺もうお前がゲイであることを隠しておくの無理だ。ごめん」とのメッセージを投稿したため、友人内にAさんがゲイであることが伝わってしまいました。その後、AさんはZくんを見ると動悸・吐き気が起きるようになり、心療内科に通いはじめました。大学側のハラスメント相談室や法科大学院の教授にも相談していましたが、同年8月、クラス全体のLINEグループに「〈同級生の実名〉が弁護士になるような法曹界なら、もう自分の理想はこの世界にない」「いままでよくしてくれてありがとうございました」と投稿した直後、校舎のベランダから飛び降り、亡くなりました。

 南和行弁護士は、アウティングが違法な加害行為であるとしたうえで、「アウティングが違法かどうかが一番大きな争点。同性愛をばらされることで、同性愛者が危機的な心境になるのは、同性愛者が差別にさらされる現実が社会にあるからです。そうした差別があることを裁判で明らかにしたい」と語りました。アウティングをしたZさんには不法行為の責任があり、大学側にはアウティングを防げず、事後対応を誤った責任があるとしています。

 それから南弁護士は、遺族のコメントを読み上げました。

 息子が亡くなって2年近く、裁判が始まって1年近く経ちますが、私たち家族は涙が枯れることなく、息子に会いたい気持ちが募るばかりです。毎晩家族そろって仏壇に手を合わせますが、未だに息子の死が信じられません。だから手を合わせていても「私たちは何をしているんだろう」と思います。納骨もまだできずにいます。

 アウティングされてつらい息子の心に友達の誰か一人でも、学校側の誰か一人でも寄り添ってくれていたら、死なずに済んだのではと思ってしまいます。裁判を通して被告側の「アウティングの恐ろしさ」を理解しようとしない態度には失望しています。昨年8月5日に報道されてから他大学では人権が守られる環境であるかどうかという動きがみられますが、被告大学では全く改善すらなく、問題は息子自身にあって、学校側は十分なことをしたと主張し、やりきれない思いでいっぱいです。被告の元同級生には反省する気持ちも謝罪する気持ちも微塵も無くハラワタが煮えくり返る思いです。

 私父は、仕事をしている時も、休んでいるときも、ふとあの亡くなった時の顔が浮かんで脳裏から離れません。同年代の人を見ると息子と重なって、生きていたらなりたいと言っていた弁護士として第一歩を踏み出しているだろうと思い、無念でたまりません。

 私母は、子供たちが生きる希望でした。その一つの希望を失い、体調を崩しました。娘がいなかったら生きてはこれませんでした。道行く息子と同じくらいの若者を見かけると胸が苦しくなります。心の穴はいつか埋まるのでしょうか。

 私妹は、被告大学、被告同級生に兄の声が少しでも届くことを望むばかりです。私たち家族も、兄を救えなかった後悔で苦しみながらも、描いた兄との将来がもうやって来ないことに涙を流しながらも、なんとか受け止めて、兄の死が無駄にならないよう、兄のように苦しむ人がいたのなら寄り添える人間になろうという努力をしています。難しいことではないはずです。被告側にも、一人一人の判断ミスが招いた結果をどうか受け止めて、二度と同じことが起こらないように学んで欲しいです。

 弁護士の先生方、多くの支援して下さる方々のお陰で私たちは何とか生きています。この裁判で、性的マイノリティが理解され、差別の無い世の中になればと思います。


 被告であるZさん側は、「アウティングは不法行為ではない。交際を断ったにも関わらず、食事に誘ったり、遊びに行こうと言ったり、いろいろな連絡をしてくることが理解できず、精神的に追い詰められた。Aくんを避けるために友人たちからも距離を置かざるをえなくなった。その苦しい状況を他の友人たちに理解してもらうには、アウティングするしかなかった」としています。
 また、一橋大学側は「Aの死は突発的な自殺行為によってもたらされたものであって、被告大学の様々な配慮にもかかわらず防止することができなかったことは遺憾ではあるが、人知の及ぶところではない」としています。

 記者会見に出席した明治大学の鈴木賢教授(レインボーマーチ札幌の運営や札幌市のパートナーシップ制度の実現などに携わってきたオープンリー・ゲイの方)は、「彼が亡くなったのは、彼が同性愛者だからではない。同性愛者を差別し、蔑み、認めない社会があるからだ」と語りました。Aさんが一橋大のハラスメント相談室や教授、保健センターなどに相談をしていたにも関わらずこうした結果になったのは「同性愛者がアウティングされたときに、どういう状態になるか、大学に見識がなかったからだ。非常に遅れた大学だと言わざるを得ない」
 鈴木教授は、今回の事件が裁判になるまで学内でも周知されていなかった点も問題だと指摘しました。「当事者であるロースクールの教員ですら、裁判になるまで、この事件のことを知らされていませんでした。ご家族が勇気を振り絞って立ち上がらなければ、永遠にお蔵入りするところでした」
「つまり、一橋大学は事件をもみ消し、事件から何らの教訓も引き出さないでスルーしようとしていました。裁判になった後も、亡くなった本人の責任だとしています。一橋大学はこの事件から教訓を引き出せていませんし、まだ責任を死者に押し付けようとしています」
 
 また、一橋大OBの川口遼さんは、「一橋大にいるセクシュアルマイノリティは、大学が自分を守ってくれないのではないかと不安に思っています。ご遺族の言うように友人・大学の誰かがサポートできれば、悲しい結果にはならなかった事件だと思います。これと同じ問題は、日本のどこでも起こりうることです」と語りました。

 こうした一橋大のOBの方たちが中心となって、5月5日15時から「一橋大学アウティング事件 裁判経過の報告と共に考える集い」が明治大駿河台キャンパスリバティタワーで開催されます。裁判の担当弁護士(なんもり法律事務所弁護士・南和行氏)からの報告、有志による追悼集会や裁判傍聴の報告、また明治大学教授の鈴木賢先生による基調講演、パネルディスカッションが行われる予定です。予約不要、入場無料で、どなたでも参加できます(詳細はこちら



 
「アウティングは違法な加害行為」ゲイ暴露で一橋大生が転落死した裁判 弁護士は指摘する(ハフィントンポスト)
http://www.huffingtonpost.jp/2017/04/19/outing_n_16095818.html

一橋大・ゲイだとばらされ転落死「同性愛者を差別する社会が、彼を死に追いやった」ゲイの大学教授が指摘
LINEグループに「おれもうおまえがゲイであることを隠しておくのムリだ。ごめんA」と投稿され……。(BuzzFeed)
https://www.buzzfeed.com/kazukiwatanabe/20170419?utm_term=.idYV0abap#.tlVP5vjv6

一橋大アウティング裁判で経過報告…遺族「誰か一人でも寄り添ってくれていたら」(弁護士ドットコムニュース)
https://www.bengo4.com/internet/n_5987/

「同性愛者」アウティングは違法行為か 一橋大生自殺訴訟、原告側が争点・双方の主張説明(産経新聞)
http://www.sankei.com/affairs/news/170419/afr1704190022-n1.html

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