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タイ政府も同性パートナーの権利の保障に向けて動き出しました

2017/05/31

Bangkok Post

 『Bangkok Post』によると、タイの司法省長官が、2013年以来、審議されることなく放置されていた同性パートナー法案を、再び国会にかけることを認めました。
 司法省の「権利および自由擁護局」の長官、Pitikan Sithidej氏は、台湾の同性婚のニュースと同じ5月24日、同性婚を国会で再び審議するよう求める嘆願書(Change.orgでの6万人分の署名とともに)を受け取り、できるだけ早くこれが承認されるように進めていく意向を示しました。彼女は「同性愛であることは家族を営むことの障壁にはならない」「愛はジェンダーを超える」と語りました。
 
 タイは「ゲイの楽園」として、また、トランスジェンダー(現地では「カトゥーイ」または「レディボーイ」と呼ばれています)が生きやすい、寛容な国として世界に知られています。2015年には性的指向や性自認に基づく差別を禁じる法律も制定されました。しかし、同性パートナーの権利は法的には保障されていません。
 ゲイやレズビアンはパートナーの亡骸を引き取ることも許されていないし、財産を相続することもできません。男女の夫婦が享受している税制や保険、年金などに関するたくさんの基本的な権利をあきらめることを余儀なくされています。

 5月24日、国際反ホモフォビア・トランスフォビアデー(IDAHOT)のイベントとして、LGBTIコミュニティの人々がバンコク芸術文化センターの前で集会を開き、同性婚について議論しました。様々な団体の代表者は、(政府が同性婚法案を再び審議するとは言ったものの)法案が提出されるまでの具体的なスケジュールがアナウンスされていないと述べました。タイで活躍するLGBTIセレブが、人々の合唱に加わりました。2015年のミス・ユニバース・タイ代表にトゥクトゥクをモチーフにした衣装を提供したことで有名な、17歳のトランスジェンダーのファッショニスタ、Apichet "Madaew" Atirattanaも登場しました。

 世界銀行グループとタイ政府は最近、バンコクで働く3500人(そのうち2302人がLGBTI)を対象に調査を実施し、LGBTIの半数以上がセクシュアリティを理由に就職を断られたことがあり、トランスジェンダーの40%が職場でハラスメントや嘲笑に直面しており、レズビアンとゲイの24%が職場で性的指向について語るなと言われたことがあると回答しました。LGBTIの中で、特にレズビアンが顕著に差別を受けている実態も明らかになりました。
 
 『Kyoto Review』によると、2012年、ゲイの活動家であるナテー・テラロジャナポン氏が、パートナーとの結婚許可証の登録を申請しましたが、拒否されたため、この件をタイ国家人権委員会に持ち込み、憲法裁判所で審理するよう要求しました。人権委員でLGBTイシューを扱うタイリン・シリパニッチ博士は、訴状を受理し、「人権という観点からみれば、暮らしを共にするという決断は、その人がどのような性別であれ、法によって許可されるべきである」と述べました。
 しかし、裁判は進まず、この件はタイ国民議会の「法務、正義と人権に関する委員会」に取り上げられ、委員会は3名のLGBT団体の代表者たちを任命し、5つの専門会議と公聴会を国内の各所で開いた後、2013年4月19日に、バンコクの国会議事堂で最後に会合を開きました。委員会のメンバーで、法務省と共同で草案の作成を任じられたウィラート・カラヤシリ氏は、優秀な法律家であり(当時の野党であった)民主党の法務関連作業部会のトップでもありました。 こうしてできた法案は、結婚のあらゆる権利と義務を「シビル・ユニオン」登録をした同性カップルに拡大適用するというものでした。ただし、子どもの養育に言及した条項はありませんでした。
 しかし、この法案の提議を承認する政党は皆無でした。この法案を国会で議題とするには、国民議会の現職議員20名が承認するか、あるいは、市民10,000名の署名が必要でした。
 2014年2月には、議会の解散と総選挙が行われ、シビル・ユニオン法案の提議をめぐるロビー活動も終了となりました。
 2014年5月には軍事クーデターが起こり、事態はまたも一変し、現在では任命された国民立法議会が設置されています。
 クーデターの後、シビル・ユニオン法案に批判的な市民たちが、国家法改革委員会の協力を得て、代替案となる同性婚法案の起草に着手しました。この草案では、子どもに関する権利や、異性も同性も全てのカップルの様々な権利が明確に提示されていました。タイの既存の結婚法は時代遅れなもので、男女不平等な条項がありますが、この草案に携わった市民たちは、新しい制度の下で、同性カップルだけでなく、あらゆる個人に対して婚姻登録が開かれたものとなるようにしました。
 こうして、2013年以降、シビルユニオンと同性婚の2つの法案が起草されたのですが、いずれもほとんど国会では審議されないままでした。

 『Bangkok Post』によると、今回、Pitikan Sithidej長官が国会に再提出すると言及したのは、どうやらシビルユニオン法案のようです。
 しかし、もしこの法案が通ったら、東南アジアで初めての同性パートナーの権利を保障する法制度となります。


 なお、バンコクでは今年、11年ぶりにプライドイベントが開催されます。「バンコク・プライド2017」は、当初は春に開催される予定でしたが、プミポン国王逝去に伴う喪の影響で、秋に延期されました。現在わかっているところでは、11月27日〜12月3日に映画祭やワークショップ、たくさんのパーティ、そして「ファビュラスな」プライドマーチが行われるそうです(パレードが何日なのかといった日程の詳細は、もうすぐ発表になるそうです)
 

Ministry to revive gay rights bill(Bangkok Post)
http://www.bangkokpost.com/news/general/1259022/ministry-to-revive-gay-rights-bill