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ゲイであることを周囲に言うべき?という高校生のお悩みに対する美輪明宏さんの「なぜ同性愛者だけがカミングアウトしなくてはいけないのか?」という回答に賞賛の声

2017年09月10日

 ゲイであることを周囲に言うべき?という高校生のお悩みに対し、美輪明宏さんが「なぜ同性愛者だけがカミングアウトしなくてはいけないのか?」と回答し、話題になっています。

 このお悩み相談が掲載されたのは、9月9日付朝日新聞の「悩みのるつぼ」というコーナー。(ちなみに9月9日は重陽、菊の節句であることから「男色の日」と言われています)
 相談者は高校3年のゲイの方で、「高校生活は、とても充実」しているものの、「実は一つだけ、とても大きな悩みを抱えています」として、ゲイであることを周囲にカミングアウトすべきかどうかを悩んでいると相談しています。
「ありのままの僕のことを理解して欲しいとも考えているのですが、その一方、今の日本の状況では、まだまだ差別的な見られ方をするケースも多いでしょう。だから「もし学校で他の人に知られると、いじめられるかもしれない」とも思っています」
「このまま黙って、自分を隠して生きていくのが賢明なのか、それとも誰かに思いきって打ち明けて、オープンにして生きていくべきか。あるいは、全く別の方法はあるのでしょうか?」

 対する美輪さんは、「どうしても言いたいとしても、とりあえずは、成人になるまで、あるいは大学生になるまで待ちなさい」と回答。「親に関しては、そのうち薄々と分かってくるものです。それでも、あえて自分から両親に「同性愛者だ」と言う必要はありません。普通でいいのです」 
「そもそも、自分が同性愛者であることを広く触れ回る必要なんてありません。異性愛者の男性で「私は女が好きで好きで……」と言い回っている人、いますか?「私、男好きなんです」という女性だって、周囲から頭がおかしいと思われるでしょう。それなのに、なぜ同性愛者だけが「カミングアウト」しないといけないのでしょうか。その認識から間違っているのです」
「世の中は昔から、様々な種類の人間が共存しているのです。同性愛者も異性愛者も、ともに自然の法則の中で生きています。罪を犯したわけでもないのですから、堂々と胸を張って、同じように生きていけばいいのです」
「よくテレビ番組の演出で、ゲイという理由だけで、みんなの目の前で他の男性タレントに抱きついたりする場面がありますよね。ああいった形で笑いものにする人や、笑いものにされることを許容する人がいるから、同性愛者がさげすまれるのです」
「そもそも同性愛者を「異常」と思っている人が多数いるからこその演出なのでしょうね。自分が生きている狭い世界が「標準」だと思い上がっている人がいかに多いかを考えさせられます」

 Twitter上では「そうでした」「分け隔てする社会全体に当てはまる秀逸な回答」「小中高の学校教育で学ばせることと、その学校でカムまでしてしまうことは別というのは、一つの見識かも」といったコメントが上がっています。
 
 「あえて言う必要はない」「そもそもなぜ同性愛者だけがカミングアウトしなくてはいけないのか?」とおっしゃる美輪さん自身は、日本でも最も早く、約60年前からカミングアウトし、毅然として世間の同性愛嫌悪に立ち向かってきた、ジャンヌダルクのような方です。そのことを思う時、ちょっと簡単に言葉にはできないような…深い感動を覚えます(真の勇者ってこういう人のことじゃないでしょうか)
 美輪さんのおっしゃる通り、特に中高生のような、与えられた環境から逃げ出すことが難しい方たちの場合、もし周囲の生徒に理解がなく、先生も味方してくれない場合、孤立無援の過酷な状況に置かれるわけで、とてもじゃないけど、安易にカミングアウトを推奨できないですよね。
 美輪さんは過去に、名家の子息であるゲイの友人が、父親から結婚を強要されて、トイレで首を吊って自死した、その現場に居合わせたと語っています。その無念そうな顔を見て、「この人が何をしたっての? 物を盗んだり人を殺したりしたわけじゃないのに」と…(美輪様が差別や偏見の矢面に立ちながらずっと闘ってきたのは、ある意味、弔合戦なのでしょう)
 世の中LGBTブームだとか、ずいぶん寛容になってきたとか、認知されてきたというふうに言われる一方、美輪様のおっしゃるように、まだまだ世間には「異常」だと思っていたり、侮蔑的な態度を隠さない(バカにして当然だと思っている)人も多いのが実情です。「そのままでいいんだよ」「悪くないんだよ」と肯定しつつ、「何も悪いことはしていないのだから、堂々と胸を張って、同じように生きていけばいいのです」と励ます、その言葉は、中高生だけでなく、周囲にバレたら生きていけないと恐れている方たちや、自身のセクシュアリティを受け入れきれていない方たちなどに対しても響く言葉だと思います。つくづく思慮深く、偉大な方だなぁと、感じ入った次第です。

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