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インドのマンベンドラ王子が同国のLGBTを受け入れる施設を建設


マンベンドラ王子

米版『徹子の部屋」とも言うべき
オプラ・ウィンフリーショーに出演

BBC制作のリアリティ番組
『Undercover Prince』にも出演
 2005年にゲイであることをカミングアウトしたインドのマンベンドラ・シン・ゴーヒル王子が、LGBTQ(セクシュアルマイノリティ)の人々をグジャラート州西部ラジピプラにある自身の宮殿に受け入れる活動を進めています。

 マンベンドラ王子はグジャラート州の王家に生まれ、10代の頃に男性に恋愛感情を抱き、ゲイであることを自覚しながらも、それを周りに打ち明けることなく大人になり、周囲のプレッシャーから女性と結婚しましたが、15ヵ月で破局、2002年に家族に打ち明け(両親は受け入れることなく、彼を医者に連れて行って治療するよう言ったそうです)、2005年には公にカミングアウトし、一大スキャンダルになりました。母親は新聞広告に「息子を勘当する」と掲載し、翌年には「社会に対して不適な活動をした」との旨で一族からも勘当され、王位継承権や称号を失いました。
 王子は「カミングアウトしたら、無理やり結婚させられたり家から見放されたりする。一方で家族も多くのプレッシャーに直面する」「彼らの居場所はどこにもなく、自分自身をサポートする術もない」とインド社会の厳しさを語っています。
 マンベンドラ王子はカミングアウト後、インド国内でも批判にさらされましたが、LGBTQの人権とHIV予防に関する活動を積極的に進めてきました。グジャラート州最大のHIV/エイズ団体の議長でもあり、精力的にエイズ患者の支援に携わり(インドのHIV陽性者は世界一多い約400万人で、毎年数十万人がエイズで亡くなっています)、自身の宮殿で芸術のための祝祭を毎年開催したりもしています。2007年にはアメリカの人気番組『オプラ・ウィンフリー・ショー』に出演。国内外で広く注目を集め、その存在を認められるようになりました。2009年にはBBC制作のリアリティ番組『アンダーカバープリンス』にも出演しています。
 自身のように親族からも見放されがちなLGBTQの人々にとっての受け皿が必要だと考えたマンベンドラ王子は、彼らをサポートする施設の建設を進めています。ニュースサイトIBTによると、所有する約6万平米の敷地に立つ4ベッドルームの宮殿を改装・拡張し、収容人数を増やす計画です。さらに電力用のソーラーパネルを設置し、医療施設、英語や職業技能の訓練施設を設け、就業支援に取り組む計画をロイター通信に語っています。有機農業のための土地も確保しているそうです。王子は「(自分は)子どもを持つつもりはないし、彼らのためにこのスペースをうまく利用しない手はない」と語っています。

 インドでは、イギリスの植民地だった時代に制定されたソドミー法(同性間の性行為をはじめ「自然の摂理に反する」性行為を禁じる刑法)が未だに残っており、実際にこれが適用されて逮捕されることはほとんどありませんが、警察のゲイに対する様々ないやがらせの法的根拠となっており、時代遅れなソドミー法を撤廃する訴えがなされてきました。しかし、2013年にはインド最高裁判所がこの刑法が違憲ではない(撤廃する必要がない)との判決を下しました。
 一方、マンベンドラ王子やインドのLGBTQコミュニティは2000年代から地道に活動を続け、2008年にはインド初の全国規模のパレードが開催され、ニューデリーではその後も毎年パレードが開催されています。
 2014年には、マンベンドラ王子がLGBTQの権利を求めて運動するために「フリー・ゲイ・インド」と呼ばれる草の根キャンペーンを開始しました。
 同年、最高裁が「第三の性」を認める判決を下し、トランスジェンダーの人々は(手術なしでも)自由に性別を選べるようになりました。
 2016年にはインド系アメリカ人同性愛者のための婚活サイトが開設され、インド人にも利用されるようになりました。創業者は「アメリカの同性婚合法化は私たちにとっても大きな一歩だった」「インドには膨大な数の隠れ同性愛者がいる。彼ら、彼女らに少しでも希望の光を届けたい」と語っています。
 昨年末にはニューデリーで、トランスジェンダーのモデルやドラァグクイーンらがインドのトップデザイナーたちとタッグを組んでファッションショーを開催しています。
 
 マンベンドラ王子らの活動が結実し、2017年8月、インド最高裁は、同性愛者が自らの性的指向を表現する自由を保障しました。判決には「性的指向は、プライバシーに必要不可欠な一部です」と書かれました。「性的指向に基づいて個人を差別することは、個人の威厳と自尊心を深刻に蹂躙しています。平等が求めるところにより、各個人の社会での性的指向の表明は、公平なプラットフォームで保護されなければならないのです」
 このとき、ソドミー法自体の撤廃には至らなかったものの、最高裁は2013年に下したソドミー法を合憲とする判決の再審の意志を示しました。インドの同性愛者を取り巻く状況は確実に変化の兆しを見せています。
「法律が変わればもっと多くの人々が自由に生きられる。しかしそれは、支援を必要とする人が増えることを意味するかもしれない」とマンベンドラ王子は語ります。ムンバイやデリーなどの大都市ではまだLGBTQの居場所が確保できますが、地方や小規模な街にはそういった場所がないといいます。彼はそういった未来を見据え「LGBTQの人々が一番必要とする」居場所作りに力を尽くす考えです。

 なお、マンベンドラ王子は2016年、ニューヨークの国連本部ビルで開催された「Global Officials of Dignity Awards(G.O.D.Awards)」でLGBT人権賞に輝いています。




インドのゲイ王子 宮殿をLGBTQ支援施設に改装(ニューズウィーク日本版)
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/01/lgbtq-1.php

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