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フロリダ州の高校で起きた銃乱射事件のサバイバーでオープンリー・バイセクシュアルのエマ・ゴンザレスが、沈黙の演説で世界を感動させました


20万人が参加したデモで演説し、
聴衆を涙させたエマ・ゴンザレス

仲間とともに『TIME』誌の
表紙を飾ったエマ
 今年2月14日にフロリダ州のマージョリー・ストーンマン・ダグラス高校(以下MSD校)で起きた銃乱射事件。生徒14人と教職員3人の計17人が死亡し、17人が負傷するという悲劇的な惨事となりました。フロリダ州オーランドのゲイクラブで起きた銃乱射事件の悪夢を思い出した方もいらっしゃることと思います。アメリカではこうした銃乱射事件が延々と繰り返されており、オバマ大統領が犠牲となった子どもたちを悼んで涙ながらに演説し、子どもたちの親が銃規制法の強化を求めて運動を行っても、アメリカ社会は変わりませんでした。しかし、今回、これまでの銃規制法強化運動とは異なる動きが起こっています。MSD校の生徒たちによる「NEVER AGAIN MSD」です。その中心となって活動しているのが、オープンリー・バイセクシュアルで、同校の「ゲイ・ストレート・アライアンス」の代表を務める12年生のエマ・ゴンザレス(17歳)です。

 乱射事件のわずか24時間後にエマはCNNに出演し、その2日後の2月17日にはフロリダ州郡裁判所の前で銃規制についての11分におよぶ演説を行いました。エマは、銃規制法が徹底した国では乱射は起こらず、「日本では乱射は起こったことがない!」と訴え、さらに「政府や大統領がお悔やみしか言えないなら、犠牲者が変化を起こさなければならない」と、トランプへの挑戦状を叩きつけました。
 19日には、彼女たちはフロリダ州議会で銃規制について発言し、21日には、CNNが主宰した銃規制についてのタウンホール・ミーティング(政治家などと市民の対話集会)にも参加し、エマは壇上で銃の強力な擁護団体、NRA(全米ライフル協会)のスポークスウーマン、ダナ・ロシェとに対し、「自動小銃の入手はもっと難しくするべきだと思いませんか?」と詰め寄りました。
 その後もエマは、『エレン・デジェネレス・ショー』に出演するなど、フル回転で「NEVER AGAIN MSD」を推し進め、彼女の存在はすでに全米に知れ渡り、乱射事件後に始めたツイッターのフォロワーはすでに140万人を超えています。

 MSD校でエマは、ある科学プロジェクトのリーダーを務めるとともに、「ゲイ・ストレート・アライアンス」の代表も務めており、突如として活動家やリーダーとしての資質を発揮したのではなく、これまですでにスピーチやディスカッションなどの訓練を積んでいたと伝えられています。
 エマの両親はキューバからの移民で、エマは二世です。そしてセクシュアルマイノリティであることをオープンにしています。これまで学校でいじめにあっただろうことも想像に難くありませんが、彼女はタフに乗り越え、そうしたことも今回の活動に活かされているのではないかと感じます。
 
 事件から1ヵ月が経った3月14日、「NEVER AGAIN MSD」は「ウィメンズ・マーチ」のユース部門などと共同で「全米スクール・ウォークアウト」を行いました。銃規制を求めると同時に、犠牲者17人への哀悼を表すために全米各地の学校で生徒と教職員が朝10時に教室を出て、17分間を外で過ごしました。
 そして、3月24日には首都ワシントンD.C.で「The March for Our Lives」(私たちの命のための行進)と銘打った大規模なデモ行進が開催され(ジョージ・クルーニー、オプラ・ウィンフリー、スティーヴン・スピルバーグら著名人が多額の寄付をしたそうです)、約20万人が参加しました。この歴史的なマーチでエマは、壇上に立ってスピーチしました。
「友人のカーメンは、もう二度と、ピアノの練習をしたくないと愚痴ることはない」
「アレックスは、もう二度と、彼の兄弟のライアンと一緒に登校することはない」
「スコットはもう二度と、キャンプでキャメロンと冗談を言い合ってじゃれることはない」
「ジーナは…」
彼女は17人の名前を全て読み上げた後、沈黙しました。語ることをやめ、前をしっかりと見つめ、その頬を涙がつたいました。6分20秒間(銃が乱射された時間)もの沈黙。観衆からは「Never again」のコールと手拍子が巻き起こりました。犯人が銃撃を続ける間、教室に隠れて身を潜めていた時の感情を沈黙で表現したエマの演説は、「米社会運動史上、最も声高な沈黙」と評されました。
(この演説の模様を収めた動画はこちら。演説を編集後、日本語字幕をつけたバージョンはこちら
 
 エマをはじめとする「NEVER AGAIN MSD」のメンバーたちは『タイム』誌4月2日号の表紙を飾りました。写真とともに「ENOUGH(もうたくさん)」の文字が掲載されています。今回の特集を担当した『タイム』のシャーロッテ・オルターは、こう語っています。「生徒たちは、この20年で最も強力な銃改革の草の根グループを作りあげました」「度重なる銃乱射に、この国の多くの人たちの心は沈み、麻痺しています。その人たちは今こう考えています。『この子たちは、本当にやってくれるのだろうか?』」

 エマをはじめとするMSD校12年生の生徒たちは6月に高校を卒業し、9月からは大学生となります。以後はさらに活動の輪と規模を広げるだろうと見られています。彼女たちはもしかしたら、決して変わらなかった銃社会をアメリカを変える歴史的な偉業を成し遂げるかもしれません。

 


【フロリダ高校乱射】エマ・ゴンザレスさんの演説(BBC)
http://www.bbc.com/japanese/video-43537598

銃乱射を生き延びた高校生、沈黙の演説で全米に衝撃(CNN)
https://www.cnn.co.jp/amp/article/35116684.html

銃乱射事件をサバイバルした高校生エマ・ゴンザレス、全米が注目するスター活動家に(wezzy)
http://wezz-y.com/archives/53080/

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