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フィギュアスケートを芸術へと昇華させたレジェンドであり、初めてカミングアウトした五輪選手であり、エイズで亡くなったジョン・カリーの栄光と孤独を記録した映画『氷上の王、ジョン・カリー』が来年公開決定

 アイススケートをメジャースポーツへと押し上げ、さらに芸術の領域にまで昇華させた伝説のスケーターであり、冬季五輪金メダリストであり、五輪選手として初めてゲイであることをカムアウトした人であり、そして、94年にエイズで亡くなった、ジョン・カリー。その栄光と孤独を記録したドキュメンタリー映画『氷上の王、ジョン・カリー』が、2019年初夏に公開されることが決定しました。

 ジョン・カリーは1949年、イギリスのバーミンガムで誕生しました。子どもの頃は、バレエダンサーになりたかったのですが、父親が「男らしくない」と言って許してくれませんでした(映画『リトル・ダンサー』を思い出します)。その代わりジョンは、バーミンガムでアイススケートを習いはじめ(スケートは当時、スポーツだと捉えられていたので、父親も認めてくれたのでしょう)、16歳でロンドンに移り、本格的にスケーターへの道を歩みはじめます。72年、アメリカでスポンサーが見つかり、ギュスターヴ・ルッシとカルロ・ファッシに師事します。ジョン・カリーはバレエのメソッドを取り入れた演技を編み出し、1976年、ヨーロッパフィギュアスケート選手権と世界フィギュアスケート選手権で優勝を果たし、インスブルックオリンピックで見事、金メダルを獲得します。しかし、マスコミが真っ先に伝えたのは、表に出るはずのなかった彼のセクシュアリティでした…同性愛が公にも差別されていた時代でしたから、アウティングされた金メダリストの存在は、世界中を驚かせ、論争を巻き起こすことになります。その後、あっさりと競技生活を引退し、プロスケーターとして、独自の芸術的な世界観を追求していきます(ぜひ、こちらこちらの動画をご覧ください)
 1987年、ジョンはHIV陽性と診断され、1991年にエイズが発症します。後にゲイであることも公表しました。そして1994年4月15日、エイズによる心臓発作のため死去しました。44歳でした。

 映画は、アスリートとしてのカリーだけでなく、栄光の裏にあった深い孤独、自ら立ち上げたカンパニーでの新たな挑戦、そして彼の身体を蝕んでゆく病魔との闘いを、貴重なパフォーマンス映像と、本人、家族や友人、スケート関係者へのインタビューで明らかにしていきます。新たに発掘された、ホームビデオで撮影された彼の最高傑作『ムーンスケート』について監督のジェイムス・エルスキンは、「どんなスケートより美しく、心を打たれた。これを観て感動を覚えない人はいないだろう」と語っています。
 『氷上の王、ジョン・カリー』は、時代に翻弄され不当な扱いを受けながらも、屈することなく高みを目指し、人を遠ざけながらも愛に飢え、滑り、踊り続けた孤高のゲイの物語です。

 字幕監修・学術協力を務めたのは、元五輪日本代表の町田樹さんです。町田さんの熱いコメントをご紹介いたします。

 ジョン・カリーは、ともすれば「男が華やかに踊るなんてみっともない」と揶揄されるような時代に、芸術としてのフィギュアスケートをその生涯をもって追求し続けた孤高のスケーターである。この映画では、貴重な映像資料や身近にいた者の生の証言によって、様々な困難に抗いながらもアーティス トとして生き抜いたカリーの人生を、彼が紡いできた珠玉の作品群と共に色鮮やかに甦らせていく。だが一方で、私はその華やかな舞台の裏で彼が一人抱えていた葛藤を目の当たりにした時、このスポーツを取り巻く諸問題が、未だ根本的に解決されていないことに愕然とするのである。私たちは、今もなお多くのスケーターがカリーと同じような困難を抱えて氷上に立っていることを、決して忘れてはいけない。 ―町田樹(慶應義塾大学・法政大学非常勤講師)


 以下、各紙のコメントをご紹介します。

「英国のフィギュアスケーターの栄光が、恐れや不安を包み隠さずさらけだしたこのドキュメンタリーで讃えられている」 ―The Observer

「スポーツと芸術を並外れた方法で開花させた男、ジョン・カリーへの賛歌!」 ―The Times

「エキサイティングで美しい!“氷上の王”が私たちの心に再び舞う」 ―BBC London

「人の心をつかんで離さない」 ―Time Out

「すばらしい出来栄えだ」 ―The Financial Times



氷上の王、ジョン・カリーThe Ice King
2018年/イギリス/監督:ジェイムス・エルスキ(『パンターニ/海賊と呼ばれたサイクリスト』)/出演:ジョン・カリー、ディック・バトン、ロビン・カズンズ、ジョニー・ウィアー、イアン・ロレッロほか/ナレーション:フレディ・フォック(『パレードへようこそ』)/2019年初夏、新宿ピカデリー、東劇、アップリンク渋谷、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開

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