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二丁目版シンデレラ? ミュージカル『ソーホー・シンダーズ』が3/9から開幕

2019年03月06日

 ロンドンのSOHO(ゲイタウン)を舞台にシンデレラを現代のゲイの物語に翻案したミュージカル『ソーホー・シンダーズ』が、この3月、日本版で上演されます。
 
 『ソーホー・シンダーズ』は、ミュージカル『メリー・ポピンズ』の音楽などを手がけてきた作曲家ジョージ・スタイルズと作詞家アンソニー・ドリュー、スタイル&ドリューとして海外では有名なコンビによって生み出された作品で(『The Stage』は「スタイルとドリューの最高傑作だ」と評しています)、2012年にウェストエンド(ロンドンのブロードウェイ)で初演されました。原作でシンデレラに該当する主人公のロビーがレントボーイ(男娼)をしているゲイの男の子であるというところが斬新で、いつまでも幸せに暮らしましたというおとぎ話ではない、「クラシックなシンデレラとは大きくかけ離れた」物語になっています(スタイルズ&ドリューの公式サイトより)。以下に初演時の舞台をフィーチャーした予告映像を貼り付けておきますので、ご覧ください。
 ちなみにcindersは、cinderellaの語源で、燃えかす・灰という意味です(シンデレラとは灰かぶり姫という意味なのです)。『ソーホー・シンダーズ』(ソーホーの燃えかす)は原題をそのまま使ったタイトルですが、もし日本語に翻訳するなら『二丁目のシンデレラ』かな?と思います(『二丁目の燃えかす』だとシンデレラのお話だとわからないので…)

<あらすじ>
ロンドンのソーホーで洗濯屋を経営するロビーは、店のオーナーである義理の姉妹にしばしばいじめられ、家賃を上げられて追い出されてしまう。お金に困ったロビーは、経済界の大物・ベリンガム卿からお金の援助と求愛を受けるが、実はロビーには密かに本命の恋人がいた。お相手はロンドン市長選立候補者、ジェイムズ・プリンスである。ある日、ベリンガム卿は市長選のための資金集めパーティを企画する。ロビーは詳しい内容を知らないまま、高価な衣装やお金を贈られ、パーティに行くことになったが、友人たちの力を借りて夜中の12時に会場を抜け出す作戦を立てる。そして、気乗りしないまま向かったパーティ会場で、ロビーは、ベリンガム卿を前にして、ジェイムズと鉢合わせてしまう! 二人の仲がばれ、大スキャンダルとなり……

 翻訳・訳詞は、『ビリー・エリオット』『メリー・ポピンズ』など数多くのミュージカルの訳詞を手がけてきた高橋亜子さん。演出は、劇団エムキチビートを主宰し、鴻上尚史に師事し、『妖怪アパートの幽雅な日常』などを手がけてきた元吉庸泰さん。
 出演は、ジャニーズJr.の林翔太さん(ロビー)、松岡充さん(ジェイムズ)、大澄賢也さん(ベリンガム卿)など。
 
 松岡さんはPR用のコメントとして、このように語っています。
「人と人は、
 固まった価値観を壊して惹かれ合うことができる。
 男女という性別や世代を超越してでも…
「そんな世界ではもっとたくさんの笑顔が生まれるんじゃないか?」
「ふたりを見ているとそんな人間としての可能性を感じられる」
 観劇された方が、
 そんな風に思える作品になればと願います。」
 ちょっと素敵ですよね?
 さらに、こちらのインタビューで、ゲイの役を演じるにあたって「LGBTの話というのはちゃんとわかっていないと演じることもできないと思ったので、自分なりにですけど世の中がどういう状況になっているのか、特に自分たちの国である日本ではどのような認識でどういう人たちが活動していて、一般的にはどういうふうに思われているのか…など、調べたりしました」と語っていて、真面目に役作りに取り組む姿勢が感じられました。また、記者の「男性を「好きかも!」と思ったことはありますか?」という質問に対しても「いろんな意味も含めて男性は好きですね」、「年下の男の子を「かわいい」と感じたことはありますか?」という質問に対して「翔太くんのことはめちゃくちゃ感じますよ!」「翔太くん、すごく可愛らしいチャーミングな男の子だなと思います」と、セクシャルな意味で受け取られるかもしれないけど別にいいです的なスタンスでコメントしていて、好感が持てました。
 また別のインタビューでは、「この作品を上演するのに、表現活動をしていく者がLGBTのことを避けてしまうと、デコレーションケーキの表面だけを飾り付けているだけになってしまう」「性別も年齢も国籍も階級も、全部を越えて、人が人を愛することはすごく尊く、純粋で。相手への思いやりが自分に返ってきて、元気になれたり。そんな相互関係が築けることが人間として素晴らしいことなのでは」とも語っています。
 
 演出の元吉さんは、主人公ロビーについて「ストリートに住んでいるロビーは、被差別地域の人たち(の一人)。それがわからないと、お客さんは「なぜロビーは欲しいものをハッキリと言うのか」が理解できなくなってしまう。シンプルな芯の上にたくさんのものがくっついている作品なので、かなりセンシティブに創っていかないと」と語っています。やや抽象的ですが、ロビーはソーホーというゲイタウンに暮らし、差別を受けることもあるので、そういうLGBT的な意味でのリアリティや問題意識を見落とさないようにしようというスタンスだと思います。
 
 そんな感じで、おそらくは原作に忠実な(変な「消毒」をしていない)舞台になっているのではないかと思われます。興味がある方は、ご覧になってみてください。


ミュージカル『ソーホー・シンダーズ』
Stiles & Drewe’s SOHO CINDERS
Music by George Stiles
Lyrics by Anthony Drewe
Book by Anthony Drewe and Elliot Davis
翻訳・訳詞:高橋亜子
演出:元吉庸泰
出演:林翔太(ジャニーズJr.)、松岡充、東山光明、谷口あかり、西川大貴、豊原江理佳、菜々香、青野紗穂、マルシア、大澄賢也
東京公演:2019年3月9日(土)~21日(木祝)
大阪公演:2019年3月23日(土)・24日(日)
金沢公演:2019年3月26日(火)・27日(水)
愛知公演:2019年3月28日(木)
神奈川公演:2019年3月31日(日)
チケットはぴあなどで発売中






松岡充との刺激的な稽古場!ミュージカル『ソーホー・シンダーズ』(ぴあ)
http://ticket-news.pia.jp/pia/news.do?newsCd=201903050001

林翔太がシンデレラ、恋人役に松岡充 ロンドンを舞台にしたミュージカル『ソーホー・シンダーズ』が日本初上演(SPICE)
https://spice.eplus.jp/articles/220152

<インタビュー>松岡「この舞台は中々出会えない作品になる事は間違いない、そう僕はお約束します!」ジャニーズ Jr.の林翔太と松岡充(SOPHIA/MICHAEL)が恋人に!ミュージカル『ソーホー・シンダーズ』がいよいよ3月9日より上演(JARAS)
http://jaras-web.net/news/stage/15130/

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