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同性婚訴訟で初弁論 「同性婚が認められることは、自分自身に対する否定的な気持ちをこれからの世代の人たちが感じなくてよい社会にすることです」「国は、同性婚を認めないためのどんな『理由』を持ち出すとしても、その矛盾に立ち往生するはずです」

2019年04月16日

 同性婚が認められないのは婚姻の自由を保障した憲法に違反するとして、同性カップル6組が国を相手どって起こした訴訟の第1回口頭弁論が4月15日、東京地裁(田中寛明裁判長)で開かれました。国側は請求の棄却を求め、争う姿勢を示しました。

 今回は佐藤郁夫さんとよしさん、小野春さんと西川麻実さんのカップルが意見陳述をしました。

 佐藤さん(現在60歳)は1997年(38歳の時)、HIVに感染していることがわかりました。周りの人が離れていくなかで「病気は関係ない、あなたが好きだ」と言ってくれたのが、パートナーのよしさんでした。15年以上お互いを支えあってきましたが、男性どうしなので法的な家族にはなれません。そのため、万が一どちらかが緊急入院した場合、立ち会えないかもしれないという不安があります。
 HIV以外にも病気を持つ佐藤さんは、残された時間がそんなに長くないと感じています。「最期の時には、夫夫(ふうふ)となったパートナーの手を握って「『ありがとう。幸せだった』と感謝をして天国に向かいたいのです」と語りました。
「私たちの日常は男女の夫婦と何一つ変わらない。同性婚が認められ、私が若い頃に持っていた自分への否定的な気持ちを、これからの世代の人が感じなくてもよい社会にしてほしい」
 
 小野春さん(40代)は、パートナーの西川さんと14年間子育てをしてきました。お互いに男性と結婚していた時に出産した子どもたちです。しかし、小野さんが産んだ子どもが入院した時に西川さんが入院手続きをさせてもらえなかったり、3年前に乳がんが見つかって精神的・肉体的もつらい時に、西川さんの扶養に入れなかったり、結婚していれば当たり前にできることが認められず、日々の生活で選択肢の無さに苦しめられてきました。パートナーに共同親権はなく、法定相続人にもなれないことに触れ、「死を身近に感じても、パートナーに相続権はなく、私の子どもに対する権利や義務もない。そのような状況では、死んでも死に切れない」「共に泣いて、笑って、悩んで、喧嘩もして、共に子どもを育ててきました。それなのに、なぜ法律で家族であると認めてもらえないのでしょうか」「私にとっては男性と結婚していた時と、全く変わらない暮らしをしているだけなのに、なぜ世の中の男女の夫婦の家庭だけが、家族であるとされるのでしょうか」と切実な思いを訴えました。
 
 代理人の弁護士(1990年代の「府中青年の家事件」裁判で歴史的な勝訴を勝ち取った中川重徳弁護士など)は法廷で、このように述べたそうです(松岡宗嗣さんTwitterより)
「この裁判は単純です『望む相手と結婚したい』原告らが求めているのはそれだけです。(同性婚が認められていないことは)私たちの社会が、人の性の多様性から目を背けているからです。これは性的指向、性のあり方に基づく不合理な差別的取り扱いです」
「同性婚が認められないことは、彼らに強い負の烙印『スティグマ』を与えます。彼らの関係が『尊重に値しない』『正常でない』劣位な人間だという評価を、国の法律が生み出し、そして強めています。その偏見や差別の歴史を断ち切る時が来ています。それを断ち切るのは裁判官の皆さんです」
「国はこの裁判で、どんな(同性婚を認めないための)『理由』を持ち出すのでしょうか。どんな理由をくりだすとしても、その矛盾に立ち往生するはずです。合理的な説明などできないことは世界の国々で証明され、決着済みです」
「最後には『同性愛者と異性愛者は人として序列がある。だから差別し人権を否定する』そう言わざるを得ないのです。しかし、憲法はそんな主張を絶対に許しません。裁判所におかれては、原告らの声に十分耳を傾けてください。そして被告の重い主張立証責任を厳しく問うてください」
「憲法が個人の尊重をうたい、人の性の多様性が知られた時代にふさわしい審理を求めます」
 
 弁論終了後、原告と弁護士が記者会見しました。佐藤さんは、「60年間の大部分、自分のセクシュアリティを隠して生きてきました。もしも同性婚が認められていたら、違った歩み方をしたのではないかと思います」と思いを打ち明けました。
「原告になった人は、たまたまそのようなことが許される環境にあっただけで、全国にも、原告になりたいけどできないという人はたくさんいると思います。僕のパートナーも顔出ししないで原告になっています。そういう人たちがそっと応援してくれたら、それが大きな力になって、同性婚が認められる日本になれるのではないでしょうか」 

 この訴訟は札幌、名古屋、大阪の各地裁でも別の同性カップル7組が提訴する一斉提訴となっています。口頭弁論は東京地裁が初めてで、札幌地裁でも同じ日の午後に開かれました。名古屋では19日、大阪では26日に始まります。 
 国側は請求の棄却を求め、争う姿勢を示しました。具体的な主張は今後の裁判で明らかにするとしています。 
 




“同性婚裁判”始まる 国側は争う姿勢(日テレNEWS24)
http://www.news24.jp/articles/2019/04/15/07428736.html

“同性婚認めて”裁判で口頭弁論 国側は争う姿勢(テレ朝NEWS)
https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000152240.html

同性婚訴訟 国側は争う姿勢 東京地裁(FNN)
https://www.youtube.com/embed/KwSfhfCWvg8

同性婚求める訴訟、国は争う姿勢(MBS)
https://www.mbs.jp/news/zenkokunews/20190415/3648431.shtml

同性婚訴訟、国側争う姿勢=東京、札幌で口頭弁論-4地裁一斉提訴(時事通信)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019041500155

同性婚訴訟で原告陳述、東京地裁(共同通信) 
https://this.kiji.is/490361302714483809?c=39546741839462401

同性婚求める訴訟で初弁論 国側は請求棄却求める(朝日新聞)
https://www.asahi.com/articles/ASM4H33L1M4HUTIL005.html

同性婚求める訴訟、国は争う姿勢 原告「自身を否定しない社会に」(産経新聞)
https://www.sankei.com/affairs/news/190415/afr1904150004-n1.html

同性婚訴訟で初弁論。「婚姻制度は社会のインフラだ」。原告側が東京地裁で訴える(ハフィントンポスト)
https://www.huffingtonpost.jp/entry/marriage-for-all-first-oral-argument_jp_5cb1866fe4b0ffefe3b0c831

「私たちの日常は男女の夫婦と何一つ変わりありません」 同性婚訴訟で第一回口頭弁論(弁護士ドットコムニュース)
https://www.bengo4.com/c_23/n_9515/


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