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映画祭の代表・宮沢英樹さんへのインタビュー
第21回東京国際レズビアン&ゲイ映画祭の代表をつとめる宮沢英樹さんへのインタビューをお届けします。今年はどんな映画祭になるのか、見どころ・楽しみどころについてお聞きしました。
第21回東京国際レズビアン&ゲイ映画祭(以下「映画祭」)の代表をつとめる宮沢英樹さんへのインタビューをお届けします。宮沢さんが初めて映画祭に関わったのは第8回(1999年)で、第11回以降、ずっと代表をつとめています(今年でもう11年。半分以上代表をやっていることになります)。8月26日(日)の午後、パンフレット配布作業の合間を縫って(おつかれさまです)お話をお聞きしました。(聞き手:後藤純一)
——映画祭は毎年7月の連休の時期に開催というかたちで定例化していましたが、昨年、震災の影響で(夏の計画停電が懸念されたこともあり)10月に延期されました。そして今年は9月の連休の時期に開催ということですが…
映画祭としてはできれば7月開催に戻したいと思っています。が、去年10月で今年7月だと、準備期間が短いので大変…ということで、申し訳ないですが今年は9月にやらせていただくことになりました。
——間をとって。7月に軌道修正するための一時的なものですね。
そういうことです。「あれ、今年もまた違う」っていう話にはなっちゃうんですけど。
——昨年は20回記念ということで、メモリアルな映像を作って上映したりというスペシャル感がありましたけど、今年はこういう映画祭にしたいというコンセプトなど、ありますか?
すごく特別なことをやろうということは考えていないのですが、一区切りついた後でもあり、時期を戻すということもあるし、土台をしっかりさせて、次につなげたいと思っています。
——地に足の着いた、という感じ?
はい。特に、作品選びを、原点に戻ってしっかりしたものにしたいと思いました。
——今までも、海外で話題の作品をいち早く上映したり、作品選びには力が入っているなあと思っていましたが、原点に戻るというのは?
去年は欧米の作品に偏ってしまったのでもっとアジアの作品も入れようとか、アンケートを見ても明るい作品が喜ばれる傾向はわかるのですが、もっと幅広い作品を観ていただきたいと思いながら選びました。バランスのいいセレクトになっていると思っています。
——そんな作品の中でも、特にこれは絶対観てほしいというイチオシを教えてください。
『ウィークエンド』は前評判が高いです。2日間の恋の話をリアルに描いたイギリスの映画。海外ではブルーレイも発売されています。すでに、日本語字幕で観るのを楽しみにしてるという声も届いています。予告編を観ていただけたら、きっと観たいと思ってもらえると思います。
——監督さんが来られたりも?
『ベルリン・ラブ・パニック』の主演兼プロデューサーの方が、ドイツからわざわざ来てくださいます。トークショーも2回とも出られます。それから、『VITO/ヴィト』の上映のときに、パトリック・ジョセフ・リネハンさん(大阪・神戸 米国総領事 総領事で)がトークをしてくださることになりました。
——スゴいですね。先ほど、特別なことはやろないとおっしゃってましたが、今回、スパイラルの1階で関連イベントとしてLGBTアート展をやりますよね?
そうですね。それは新しい試みです。
——スパイラルの入口を入って階段で上に行くときに必ず通る場所で、毎年何かアート展をやっていますけど、あれがLGBTに関係のある展示だったらもっと素敵だなと思ってました。
実は1階のLGBTアート展とは別に、ホワイエ内の一角をギャラリーにして、jiroさんのアート展もやる予定なんです。
——素敵!
ホワイエといえば、今年はホワイエの飾り付けに力を入れようと思っておりまして、いつもとはちょっと違った雰囲気をお楽しみいただけると思います。
——そうなんですね? 楽しみです。パンフレットを見ると、今回もいろんな人からメッセージが寄せられていますね。けっこうたくさんの方にお願いをされたんですか?
100まではいかないですけど、みんなで分担して。2週間くらいしかなかったですけど、それでもいただけたのは、ありがたかったです。いろんな人が応援してくださって、うれしいかぎりです。
——それと、去年に引き続き、Softbankさんとか、いろんな企業が協賛していて、素晴らしいですね。この辺りも地道な努力をされてるのではないでしょうか?
去年のつながりがあって、引き続き協力していただけた感じで、新たに開拓できたわけではないので、まだまだ力が足りないなとは思います。海外だととてもフレンドリーな企業でも、問い合わせると拒否反応があったりするんです。
——そうでしたか…。こうした企業の協賛という分野は、映画祭が最も早くから先進的に取り組んできたところですよね。
きっと興味を示してくれるところもあると思うので、来年またがんばりたいと思います。
——ちなみに、以前のようにバルト9を借りて、ということはもう考えていらっしゃらない?
バルト9は二丁目にも近くてとてもいい会場なのですが、映画館としての人気が高くなってきているので、なかなか空かない…借りるのが難しくなっている状況です。
——残念ですね…。ほかに何か、今年の映画祭について、これは言っておきたいということがあれば。
今年は例年よりもスタッフが意欲的に動いています。パレードにブースを出したのもそうですし、チケットを売るのもがんばっていて、新たなスタートを切れてると思います。
——パレードのときのブースにおじゃましましたが、いろんな人が働いていて活気がありましたね。それでは、最後にひとこと、お願いします。
当日になってみないとどうなるかわかりませんが、今年はいい映画祭になるな、という手応えを感じながら準備しています。なので、今までの映画祭をご存じな方も、きっと新しい発見があると思いますし、初めての方もぜひ、ご来場ください。
——今年も楽しみにしています。本当におつかれさまです。どうもありがとうございました!
INDEX
- 『超多様性トークショー!なれそめ』に出演した西村宏堂さん&フアンさんへのインタビュー
- 多摩地域検査・相談室の方にお話を聞きました
- 『老ナルキソス』『変わるまで、生きる』を監督した東海林毅さんに、映画に込めた思いやセクシュアリティのことなどをお聞きしました
- HIV、梅毒、コロナ、サル痘…いま、僕らが検査を受けるべき理由:東京都新宿東口検査・相談室城所室長へのインタビュー
- NYでモデルとして活躍する柳喬之さんへのインタビュー
- 虹色のトラックに込めたゲイとしての思い――世界的な書道家、Maaya Wakasugiさんへのインタビュー
- ぷれいす東京・生島さんへのインタビュー:「COVID-19サバイバーズ・グループ東京」について
- 二丁目で香港ワッフルのお店を営むJeffさんへのインタビュー
- 東京都新宿東口検査・相談室の城所室長へのインタビュー
- 俳優の水越友紀さんへのインタビュー
- 数々のLGBTイベントに出演し、賞賛を集めてきた島谷ひとみさんが今、ゲイの皆さんに贈る愛のメッセージ
- 今こそ私たちの歴史を記録・保存する時−−「LGBTQコミュニティ・アーカイブ」プロジェクト
- LGBT高齢者が共同生活できるシニアハウスの設置を目指す久保わたるさん
- 岩崎宏美さん出演のクラブパーティを開催するkeiZiroさんへのインタビュー
- 英国の「飛び込み王子」トム・デイリーについて、裏磐梯のゲストハウスのオーナー・GENTAさんにお話をお聞きしました
- ニューヨーク在住のフォトグラファー、KAZ SENJUさん
- ジョニー・ウィアーが来日!(映画『氷上の王、ジョン・カリー』公開記念トークイベント)
- 畠山健介さんへのインタビュー
- トークセッション「ダイアモンドは永遠に――日本におけるドラァグクイーン・パーティーの起源」
- RAINBOW FESTA!2018事務局長・桜井秀人さんへのインタビュー