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COLUMN

杉田議員問題(5)TOKYO LOVE PARADE

2018年10月8日(月祝)、新宿の街でTOKYO LOVE PARADEが開催されました。杉田議員の「生産性がない」発言に対して、LGBTだけでなく障がいを持つ方なども一緒に参加した、ピースフルなパレードでした。

杉田議員問題(5)TOKYO LOVE PARADE

2018年10月8日(月祝)、新宿の街でTOKYO LOVE PARADEが開催されました。杉田議員の「生産性がない」発言に対して、LGBTだけでなく障がいを持つ方なども一緒に参加した、ピースフルなパレードでした。7月27日前後に全国で行われた抗議集会や、8月5日にハチ公前で行われた集会に続き、杉田議員問題はまだ終わっていない、と、すべての命が平等に存在する社会を求め、「LOVE」という言葉にいろんな思いを込めて歩いたパレードでした。レポートをお届けします。(後藤純一)

 
 今年の夏は、杉田議員の「生産性がない」発言に端を発した様々な動き(過去の動画上でのひどい振る舞いも含めてネット上で拡散され、当事者による大規模な抗議集会が行われ、メディアも大々的にこれを取り上げ、海外にも伝わり、ロバート・キャンベルさんがカムアウトして声を上げ、『新潮45』が杉田議員を擁護する特集であまりにもひどい差別発言を野放しにし、批判を浴び、休刊へと至る…など)が世間の注目を集めました。杉田議員と同じ党の谷川とむ議員からも「同性婚や夫婦別姓は趣味みたいなもの。それを別に法律化する必要はない」という発言があったことへの批判の声も上がっています。しかし、こうした議員の方たちは結局、発言の撤回や謝罪などはしておらず、処分されることもなく、問題がウヤムヤにされようとしています。
 
 そんななか、東京レインボープライドの呼びかけで「TOKYO LOVE PARADE」が急遽、開催されました。
「『TOKYO LOVE PARADE』の「LOVE」には、「愛」や「慈しみ」「敬い」だけでなく、「怒り」や「プライド」「危機感」といった、さまざまな思いが込められています。
「LGBTのカップルは生産性がない」「同性愛は趣味だ」といった国会議員の発言に対したくさんの怒りの声が上がり、それはLGBTQ(性的マイノリティ)当事者だけでなく、連帯する非当事者の仲間たち(ストレート・アライ)にも共鳴しました。また、「生産性」を出産と結びつけた内容には障害者や難病患者らからも強い危惧と抗議の声が上がりました。
 性的マイノリティは、あなたの家族の中にもいるかもしれません。あなたの子どもが障害を持って生まれてくるかもしれません。そう考えると、これは限られた人の話ではなく、誰かを批判する話でもなく、あなた自身の話なのです。
 すべての命が平等に存在する社会でありたい。LGBTQの枠を超え、それぞれの想いを「LOVE=愛」という言葉に託して、私たちは新宿の街を行進します。」(公式サイトより)



 三連休連休最後の日となる10月8日(月祝)15時、新宿中央公園には参加者の方々が集まってきていました。前日は東京もかなり暑かったようですが、この日は曇っていて、涼しく、歩くにはちょうどよかったです。
 大阪や札幌のパレードに出かけていて不在だった方もいらしたり、それほど大々的に宣伝されていなかったこともあり、参加者は約500名だったそうです。それでも、東北や東海、沖縄から駆けつけた方などもいらっしゃいましたし、LGBTだけでなくいろんな方々がいらっしゃいましたし、カラフルで、素敵な感じでした。


 
 15時半頃、パレードがスタートしました。結構な数のカメラがスタートの様子を撮っていました。
 本場(ベルリン)のLOVE PARADEにはかなわないかもしれませんが、DJフロートもちゃんと出て、参加者を盛り上げていました。ウォークラリーでもなくデモ行進でもなく、音楽といっしょにイェイイェイ盛り上がりながら歩くというのは、とても大切なことです。
 東ちづるさんが主宰する「Get in touch!」が、素敵な、かなり立派な造りのフロートを出展してました。三ツ矢雄二さんやドラァグクイーンの牛子さんも乗っていました。
 他にフロートを出展していたのは、(以前、表参道にゲイカルチャーカフェを出店していて、現在は同性婚の法制化を目指す活動をしている)gossipの方、それから、LGBTの家族と友人をつなぐ会、ジュエリアスのみなさんでした。



 パレードは、中央公園を出て、青梅街道へと進み、西口の大ガードをくぐり、歌舞伎町から二丁目へと進み、新宿公園で解散となりました。各隊列ごとに、到着したら、解散し、公園を出る、というかたちで、人があふれないように工夫されていました。
 新宿公園が終点になったのは、おそらく1997年のダイクマーチ以来だと思います。感慨深いです。
 二丁目はもちろんですが、特に新宿西口から歌舞伎町にかけては人も多く、たくさん手を振ってくれる方がいました。


 
 抗議するぞ!という感じでは全くな、政治色も全くなく、今までのパレードと同様、音楽もあってカラフルでピースフルなパレードでした。ドラァグクイーンの方なども参加し、華やかさや楽しさもありつつ、「かけがえのないあなたたちへLOVE」「生まれて来てくれてありがとう」「誰もが自分らしく生きられる社会を」「すべての命に平等を」「『愛の先進国になろう」といったプラカードを掲げる方もいる、という感じでした。



 
 パレードが終わったあと、新宿3丁目のMARUI MEN(昨年からずっと、入り口にレインボーフラッグが掲げられています)の屋上でアフターイベントがありました。屋上って上がれるんだ?というのがまず驚きでした。会場が開くまで少し時間があったのですが、屋上に上がる手前のフロアで、サカシタアスカさんという方のレインボーで多様性でパレードな絵が展示されているのを鑑賞できました。よく見ると、MARUI MENの20周年記念セールのポスターも、サカシタアスカさんのパレードイメージの作品が使われていて、スゴいなぁと思いました。
 屋上がオープンしました。大きな「○|○|」のネオンが目の前に見えるど迫力。参加費500円で、お菓子や飲み物がもらえて、トークやパフォーマンスが楽しめて、あの屋上を体験できるのは、お得です。MARUI様さまです。
 ステージの催しがスタート。まず、東京レインボープライド共同代表の山縣さんがご挨拶しました。自民党本部前での抗議集会の際は、海外から見守っていたそうですが、「あとで『TRPが関わっていたから安心して抗議集会に参加できた』と言ってもらえた」「ストーンウォールのように『あの抗議があったから差別が続かず、よかった』と言われるようになってほしい」と語りました。
 続いて、一緒にパレードに参加してくれた乙武さんが登場。「勝手な妄想に基づいてヘイトを撒き散らす人に対して、怒っています。抗議も大事だけど、傷ついた人たち、涙を流している方たちに声をかけるほうが先かな、と思いました。僕が尊敬しているのは、マンデラさん。黒人というだけで理不尽な扱いを受けてきたけど、白人を倒そう!とは決して言わなかった、共存する虹の国を作ろうと言った方です。奇しくも『レインボー』です。虹は融和のシンボルなんですね。最終的には歩み寄ってひとつになっていくと素晴らしいですね」とスピーチしました。素晴らしかったです。
 それから、フロートを出展したgossipさん、LGBTの家族と友人をつなぐ会、ジュエリアスの方が、スピーチしました。
 東京都で人権条例の設立に尽力した都議会議員の方たちも登場しました。
 遅れて、フロートの撤収をしていた東ちづるさんが登場し、三ツ矢雄二さんもスピーチしました。また、「Get in touch!」のフロートで、いつもバレリーナの格好をしている方が気になっていたのですが、FtM(トランス男性)として男性のみの「トロカデロ・デ・モンテカルロバレエ団」に日本人ダンサーとして初めて入団し、活躍していた名取寛人さんという方だとわかり、ちょっとビックリしました。ジェンダーの奥の深さ…
 それから、LGBT法連合会の増原裕子さんのスピーチ。
 最後に、佐藤ひらりさん、清貴さんがライブ・パフォーマンスを披露し、イベントは終了しました。



 
 

 毎日新聞の記事で、参加者の方が「次の世代のために大人が声をあげないといけない。これまでは我慢してきたが、何も言わないといないことにされてしまう」と語っていたそうですが、今回のパレードに参加した方のなかには、当事者だけでなく、LGBTの家族や友人の方もたくさん参加していたようです。
 実は、私の母親も参加していました。ゲイである息子が「生産性がないから支援は不要」と国会議員に言われたことに対して、黙っていられない、パレードに参加することで差別にNOを表明したい、という気持ちだったそうです。足が悪くて、歩くのがとても遅いのですが、たまたまご近所のお友達の方が一緒について来てくれることになり、参加を決意したそうです(アフターイベントの会場では、「2004年か2005年のレインボー祭りの時にいちばん前で(私の)ショーを見てて、マイクを向けられて「人間ばんざい!」って叫んだお母さんですよね?」と遠い昔のことを憶えていてくださった方もいたり、有名な増原さんとお話できたりもして、すごく喜んでいました。かまってくださった方々、ありがとうございます)
 全員に聞いて回ったわけではありませんが、この休日にわざわざ新宿中央公園まで来てパレードに参加したみなさん一人ひとりにきっと、声をあげなければ、とか、強い気持ちがあったんだと思います(きっとそれが「LOVE」ですよね)
 主催者、協力者のみなさん、参加者のみなさんに、おつかれさまでした、と申し上げたい気持ちです。
 
 

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