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プライド

プライド

 世界中で開催されているLGBTQのパレードはしばしばシンプルに「Pride」と呼ばれます。NYであればNYC Pride、サンフランシスコであればSanFrancisco Prideといった具合に。LGBTQのパレードは(優勝祝賀パレードでもエレクトリカルパレードでもなく)LGBTQの「Pride」を示すパレードだからです。

 プライドというと「プライドが高い」とか「傲慢だ」という意味合いもありますが、LGBTQコミュニティにおけるPrideとは、シスジェンダーや異性愛以外の性のありようを “ 恥” であると見なし、スティグマを付与しようとする社会システムや世間の人たちの言動(異性愛規範)に対抗し、自らの性的指向や性自認に誇りを持ち、LGBTQの可視性を高め、権利や自己決定、尊厳、平等を推進しようとする態度のことです。
 
 アメリカでは過去に、赤狩りの急先鋒を務めたロイ・コーン検事やFBI初代長官のJ・E・フーバーらクローゼット・ゲイの公人が保身のために(自身がゲイだとバレないように)率先してゲイを脅したり破滅させたりしてきたという黒歴史があり、そうした卑劣さこそが恥ずべきことだとされています。自分が性的マイノリティ(クィア)であることを恥じることなく受け容れ、堂々とカミングアウトしよう、胸を張って生きていこうとする心意気が「Pride」なのです。
 
 Appleのティム・クックCEOがカムアウトした際に「私はゲイであることを誇りに思っている(I’m proud to be gay)」と述べたように、pride(や形容詞のproud)はLGBTQコミュニティにとっての精神的な支柱のような、合言葉のようなものになっています。

 Prideという言葉がどのようにしてLGBTQコミュニティに広まり、合言葉となったのか?については諸説あるかもしれませんが、Wikipediaではこのように説明されています。
 1970年6月最後の日曜日、ストーンウォール暴動から1年が経つのを記念してNYで「CHRISTOPHER STREET LIBERATION DAY」という大規模なパレードが開催され(シカゴやLA、サンフランシスコでも同様にパレードが開催され)、世界初のプライドパレードとなりました(こちらにその最初のパレードの写真が載っています)
 その後、ミネソタ州のジャック・ベイカーとマイケル・マコンネルというカップルや活動家のトム・ヒギンズによって「Gay Pride」という言葉が創られました。カトリック教会に属していたヒギンズは、教会が同性愛を罪と見なす態度に抗し、あえて「七つの大罪」の一つであるPride(傲慢)とGay※を結びつけたのです。1971年にマコンネルが「Gay Pride」という言葉をシカゴのコミュニティに紹介し、パワフルなムーブメントにつながりました。また、「Gay Liberation Front」に参加していた活動家のブレンダ・ハワードや、バイセクシュアルの活動家ロバート・マーティン(ドニー・ザ・パンク)、ゲイの活動家クレイグ・スクーンメイカーが「Pride」という言葉を広めた人として知られています。
 「Pride Month 2025」(History)によると、クレイグ・スクーンメイカーはこう述べています。「私は最初『Gay Power』を思い浮かべたが、その言葉が好きではなかったので、『Pride』という言葉を使った。この世界に暮らす人々にとってpower(力、権力)を持つチャンスはほとんどない。人々はその頃も今もpowerを持っていないし、私たちもそうだ。しかし、prideなら誰もが持つことができる。自分自身のことを誇りに思えれば、きっとそれ以前よりも幸福を感じることができ、世の中を変えていく力も得られるだろうと思ったのだ」

※当時はLGBTQ(性的マイノリティ、クィア)という意味でGayが用いられていました。ストーンウォール暴動の直後に結成された団体は「Gay Liberation Front(ゲイ解放戦線)」という名称ですが、ゲイだけでなくレズビアンもバイセクシュアルも、シルヴィア・リヴェラのようなトランスジェンダーも参加しています。

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