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コンバージョン・セラピー

コンバージョン・セラピー(転向療法)は、同性愛者やトランスジェンダーに対して"矯正"、"治療"と称して、悪魔祓い、認知療法、ショック療法、拷問(虐待)のような様々な手段を使って、自らの性的指向/性自認を憎悪するよう仕向ける(ホモフォビア/トランスフォビアを植え付ける)行為のことを言います。
映画『ある少年の告白』でリアルに描かれていたように、典型的には、非常にホモフォビアが強い福音派などのキリスト教原理主義の家庭に育った子どもたちが、同性愛者だとわかるとコンバージョン・セラピーの施設に送りこまれ、非人道的な"治療"プログラムを数週間にわたって施されるというものです。
コンバージョン・セラピーによって"治療"が成功することはなく(成功したと称する人や"治療"に当たっていた人が、のちに謝罪するケースもたくさんあります)、逆に、深刻な健康被害をもたらし、自殺する人も多いことがわかっています。
アメリカ精神医学会をはじめ主要な精神医学専門団体はコンバージョン・セラピーをまともな治療行為と認めておらず、これに反対しています。
また、"治療"に当たる人の多くは免許を持っていません。
にもかかわらず、コンバージョン・セラピーは今でも(福音派が多数を占めるような保守的な州の多くで)取り締まりを受けることなく、続けられています。
アメリカでコンバージョン・セラピーが禁止されているのは東部や西海岸の20州+ワシントンD.C.です。
世界で見ると、マルタ、ドイツ、スペインの一部、カナダの一部、アルゼンチン、ブラジル、ウルグアイ、エクアドル、オーストラリアの一部、フィジー、サモア、台湾で法的にコンバージョン・セラピーが禁止されています。スイスとアルバニアでは事実上、禁止されています。アイルランド、チリ、イスラエルなどでは現在、禁止に向けて議会で検討が進んでいます。
参考記事:
「ゲイを治す悪魔祓い」やセラピーを受けてきた元牧師が、自らの遍歴を語る(BuzzFeed)
https://www.buzzfeed.com/jp/patrickstrudwick/this-is-what-its-like-to-have-exorcisms-performed-on-you-1
同性愛の"矯正"治療「コンバージョン・セラピー」経験者が語る トランプ政権で起こりうるクィア迫害とは(HUFFPOST)
https://www.huffingtonpost.jp/2016/11/28/conversion-therapy_n_13280312.html
「同性愛直す」セラピスト 自分も客も偽り続けた28年(朝日新聞)
https://www.asahi.com/articles/ASNDP3GQCND8UHBI002.html
INDEX
- 白鳥健治連作小説『同じ色の膚』第十一回「廃墟の中から立ち上がる人々」
- 白鳥健治連作小説『同じ色の膚』第十回「さよなら、満州」
- 白鳥健治連作小説『同じ色の膚』第九回「引き揚げ」
- 白鳥健治連作小説『同じ色の膚』第八回「再会と別離」
- 白鳥健治連作小説『同じ色の膚』第七回「闇に沈む毒薬」
- 白鳥健治連作小説『同じ色の膚』第六回「生死の彷徨い」
- 白鳥健治連作小説『同じ色の膚』第五回「選別」
- 白鳥健治連作小説『同じ色の膚』第四回「エセ国家」
- 白鳥健治連作小説『同じ色の膚』第三回「破られた国境」
- 白鳥健治連作小説『同じ色の膚』第二回「日本鬼子(ルーベンクイズ)」
- 白鳥健治連作小説『同じ色の膚』第1回「天安門広場からスターリン公園へ」
- レインボー・フラッグ
- オーバー・ザ・レインボー
- フレンズ・オブ・ドロシー
- ピンク
- プライドマンス(プライド月間)
- パレード
- ストーンウォール事件
- 性分化疾患
- インターセックス
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