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ゲイ用語の基礎知識

性別違和

 「性別違和」は、出生時に割り当てられた性別(戸籍上の性別、身体の性別)と自認する(アイデンティティを持つ)性別が一致していないという強く持続的な感覚で、性別違和が強いトランスジェンダーの方は、強い苦痛を覚えたり、日常生活に支障をきたしたりします。
 
 「性別違和」は「Gender Dysphoria」の日本語訳です。2013年にアメリカ精神医学会が発行した「精神障害の診断および統計マニュアル」第5版(DSM‐5)で、精神疾患としての「性同一性障害」が削除され、代わりに「性別違和」と記載されるようになりました(「性別違和」という言葉自体は、1970年代から当事者団体に採用されていました)

 19世紀後半から近代精神医学は、出生時の性別と異なる性表現で生活しようとする人(異性装、トランスヴェスタイト)や、同性を好きになってしまう人(同性愛、ホモセクシュアル)を「性倒錯」という精神の病の一種として扱ってきました。
 1960年代には異性装は、同性愛とは別の病気として区別されるようになりました。
 1970年代には欧米の多くの国で立法や判例によって性別変更が認められるようになりました。
 トランスジェンダーがホルモン治療や性別適合手術を受ける(性別移行を行なう)際の診断名として、アメリカ精神医学会のDSM-3(1980)および世界保健機関(WHO)の「国際疾病分類」第10版(ICD-10, 1990)で「性同一性障害」が採用されました。
 しかし、これまでトランスジェンダーに向けられてきたスティグマや差別の大半は、精神病と見なす医療制度のあり方に由来するもので、トランスジェンダーのメンタルヘルスの悪化をも引き起こしてきた、名前や公的文書上の性別を変更する条件として「性同一性障害」の診断を義務づける政府が多いことは、労働や教育、移動など基本的権利の享受の妨げになってきたとして問題視されるようになりました。(ヒューマン・ライツ・ウォッチ「日本の法律上の性別認定制度におけるトランスジェンダーへの人権侵害」より)
 こうした状況に鑑み、「性同一性障害」に代えて、DSM‐5では「性別違和」が、2022年1月発効予定のICD-11では「Gender Incongruence(訳が定まっていませんが、暫定的に「性別不合」と称されています)」という言葉を用いることで、トランスジェンダーの非病理化が達成されることになりました(ご参考:PRIDE JAPAN「WHOが性同一性障害を「精神障害」の分類から除外しました」)

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