FEATURES
マシュー・ボーン『白鳥の湖』
世界にセンセーションを巻き起こし、何度となく来日公演を成功させてきた鬼才マシュー・ボーン演出による『白鳥の湖』が、再び上演されています。かぎりなくゲイ的な、男性が力強く悩ましく踊る白鳥の衝撃をぜひ、味わってください。
5年ぶりの来日となる「マシュー・ボーンの『白鳥の湖』」。女性やゲイの観客を中心に熱い支持を受け、何度となく再演されている大ヒット・バレエです。
バレエというと、白いタイツやチュチュという古典的なイメージを連想する方も多いかと思います。が、この「マシュー・ボーンの『白鳥』」は全く違います。
イギリスのコンテンポラリーダンス演出・振付家であるマシュー・ボーン(オープンリー・ゲイの方です)は、1995年、バレエの古典中の古典であるチャイコフスキーの『白鳥の湖』を、コンテンポラリーダンスの斬新なアイデアで再解釈&演出しなおし、トニー賞をはじめ、多くの賞を受賞し、興行的にも世界的大ヒットをおさめました。(ニューヨークタイムズが「他に類をみないブロードウェイの奇跡!!」と賞賛しています)
この『白鳥』は、王子とオデット姫ではなく、王子が雄の白鳥のダンスに魅せられるという、見方によってはゲイの恋にも見えるストーリーになっています。バレエではプリマドンナをはじめとする女性たちが優雅に踊る有名なシーンも、男性のダンサーだけで力強くセクシーなダンスが展開するのです。そこが原作と決定的に異なるところであり、「マシュー・ボーンの『白鳥』」を世界に知らしめることとなりました。
王子が夜の公園にさまよって行き、白鳥(半裸の男性ダンサーたち)の雄々しくもセクシーなダンスに魅せられ、ボス格の白鳥(ザ・スワン)と心を通わせる…という第2幕の最終シーンは、たぶんご覧になったゲイの方はみなさんそう感じるだろうと思うのですが、まるでハッテン公園でのゆきずりのセックスのように熱く、悩ましいものです。
また、後半、医師や看護師たちに何かの処置を施され、ベッドに縛りつけられた王子は、すっかり弱り、白鳥たちの幻影を心のよりどころとしていくのですが、その姿を観ていると、「女王(母親)が支配する格式ばった世界/白鳥が舞い踊る夜の世界」という対比が、「異性愛しか許容しない現実世界/ゲイの世界」を象徴しているように思えます。
そうです、この舞台では、白鳥とはゲイの化身なのです。
この「マシュー・ボーンの『白鳥』」でザ・スワンを演じて全世界にセンセーションを巻き起こし、伝説となっているのが、ダンサーのアダム・クーパー(写真右)です。
アダム・クーパーはゲイではないのですが、イギリスの炭坑町でダンサーを夢見る男の子が父親の反対を押し切ってバレエの道へ進んでいくという映画『リトル・ダンサー』のモデルとなり、多くの人々(とりわけゲイ)が共感しました。彼が『白鳥』で高々と宙を舞う姿は映画のラストシーンにも挿入され、感動を呼んでいます。『リトル・ダンサー』は昨年、ブロードウェイ・ミュージカルとして上演され(タイトルは『ビリー・エリオット』)、トニー賞を総なめにしましたが、アダムは大人になったビリー役でこの舞台に出演しています。
15年経った今もなお、「マシュー・ボーンの『白鳥』」は進化し、新たな伝説を生み出しているのです。
<ストーリー>
白鳥のぬいぐるみを抱えて眠る幼き日の王子。力強く踊る一羽の白鳥の夢を見てうなされるが、母の優しい手が差しのべられることはなかった。
年頃に成長し、女王に連れられて公務をこなす王子だが、そんな生活になじむことができず、ストレスがたまっていた。そんな王子にも恋が訪れるが、女王はこの恋に猛反対する。傷ついた王子は、酒におぼれながら、母に愛を求めてすがりつくが、突き放され、さらに深い悲しみに沈む。
ガールフレンドを追って王子はとあるクラブに入っていく。酔っぱらって他の客と諍いを起こした王子は、店の外へ叩き出されたところをパパラッチに激写されてしまう。ガールフレンドの裏切りを知り、いよいよ絶望が深まる王子。その脳裏に浮かぶのは、幼き日の夢、力強く踊る白鳥たちの姿だった。
ふらふらと公園へ足を進める王子。そこに一羽の雄々しい白鳥が現れ、しなやかに美しく、ときに力強く王子に迫る。ほかの白鳥たちも次々と登場し、群れとなって王子を手招きするかのようだ。王子の傷ついた心は癒され、生きる気力を取り戻すのだった…

マシュー・ボーン『白鳥の湖』
日程:~6月27日(日)
会場:青山劇場
料金:S席 12,600円 A席 10,500円(全席指定・税込)
音楽:ピョートル・チャイコフスキー
演出:マシュー・ボーン
出演:ニュー・アドベンチャーズ
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