FEATURES
「ラヴズ・ボディ 生と性を巡る表現」展(1)AIDSと共に生きることで導かれた表現
10月2日(土)より東京都写真美術館にて「ラヴズ・ボディ 生と性を巡る表現」展が開催されます。AIDSによって広がった絶望や憤り、悲しみ、希望や愛をぜひ経験していただきたいと思います。


展覧会会場の入り口には、巨大な写真が3点、展示されています。
髭をたっぷりと生やした裸の男性が生まれたばかりの赤ん坊を抱いている写真。その写真の両脇には、裸の男性の体が吊られている写真が展示されていました。
作者のAAブロンソンさんは共に暮らしていたホルヘ・ゾンタルさんとフェリックス・パーツさんと1969年、アーティスト・グループ「ジェネラル・アイディア」を結成しました。「ジェネラル・アイディア」は精力的に活動していましたが、1994年、ホルヘ・ゾンタルさんとフェリックス・バーツさんはAIDSで亡くなってしまいます。
二人の仲間、ホルヘ・ゾンタルさんとフェリックス・バーツさんをうしなったとき、AAブロンソンさんは、「アイデンティティを奪われた」ような状態になったといいます。「何をしたらよいのかさっぱりわからなくなった。『ジェネラル・アイディア』から一人の作家になり、ふと思いついたのが、この『吊られた男』のイメージだった」のだそうです。
AAブロンソンさんは「『吊られた男』シリーズは、タロットカードから連想したものだ」と話します。「吊られた男」というタロットカードの図案は、身動きが取れなくなっている状態を表しているといわれます。「自分の人生をコントロールできない状態にある。水面下で変化が起きている」状態なのだとAAブロンソンさんは続けました。
髭をたっぷりと生やした裸の男性が生まれたばかりの赤ん坊を抱いている写真は、2001年に撮影された写真です。AAブロンソンさんは「ジェネラル・アイディア」の仲間たちをうしなった後、新しい配偶者、マークさんと出会い、二人の女性と協力して、子どもをもうけました。
周囲の人がどんどん亡くなっていく経験をもとに製作された「吊られた男」を見て、これが「水面下で変化が起きている」表現であることを感じることができる人は少ないと思います。しかし、この生まれて10日目のアンナちゃんを抱いたマークさんの姿には、その変化が何だったのかはっきりと現れています。「ニューヨークでは多くのレズビアンやゲイたちが、子どもをもうけている。それはレズビアンやゲイたちが多くの人をうしなった経験を持っているからだと思う」とAAブロンソンさんは話していました。
本展覧会には、亡くなった4名を含む8名の作家の作品が集められています。AIDSによって広がった絶望や憤り、悲しみ、希望や愛までも含んだ地下水脈が、いまを生きるわたしたち自身の奥深いところにも届いていることにきっと気付くはずです。地下水脈が湧き水となるような経験を多くの人に味わっていただきたいと思います。(門戸大輔)
「ラヴズ・ボディ 生と性を巡る表現」
会場: 東京都写真美術館
会期: 2010年10月2日 ( 土 ) ~ 12月5日 ( 日 )
休館日:毎週月曜日(休館日が祝日・振替休日の場合はその翌日)
※11月8日(月)は臨時開館
料金:一般 800(640)円/学生 700(560)円/中高生・65歳以上 600(480)円
関連イベント
アーティスト・トーク *逐次通訳付き
2010年10月2日(土) 15:00~ AA ブロンソン
2010年10月2日(土) 16:00~ スニル・グプタ
2010年10月3日(日) 16:00~ ウィリアム・ヤン
会場:2階企画展示室内※展覧会チケットの半券(当日消印)をお持ちの上、展示室入口にお集まりください。
スペシャル・イベント「Think About AIDS」[公開録音]
2010年11月8日(月) 19:00~20:30
共催=Living Together 計画/TOKYO FM
朗読会(HIV陽性者の手記)+ライブ・パフォーマンス
会場:1階ホール対象:展覧会チケットをお持ちの方
定員:190名
受付:当日10:00より当館1階受付にて整理番号付き入場券を配布します
開場:18:30より、整理番号順入場、自由席
※11月8日(月)は臨時開館日となります。
※豪華ゲストを予定しています。
対談「エイズとアート」
2010年10月16日(土) 15:00~16:30
張由紀夫×溝口彰子(ビジュアル&カルチュラル・スタディーズ)
会場:アトリエⅠ
対象:展覧会チケットをお持ちの方
定員:70名
受付:当日10:00より当館1階受付にて整理番号付き入場券を配布します
開場:14:30より、整理番号順入場、自由席
ラヴズ・ボディ 特別講演会
2010年11月13日(土) 18:30~20:00
堀江敏幸(小説家、フランス文学者)
会場:1階ホール
対象:展覧会チケットをお持ちの方
定員:190名
受付:当日10:00より当館1階受付にて整理番号付き入場券を配布します
開場:18:00より、整理番号順入場、自由席
担当学芸員によるフロア・レクチャー
2010年10月8日(金) 14:00~
2010年10月22日(金) 14:00~
2010年11月12日(金) 14:00~
2010年11月26日(金) 14:00~
※展覧会チケットの半券(当日印)をお持ちの上、会場入り口にお集まりください。
INDEX
- 「ArcH」5周年、『神話 – MYTHLOGY –』をテーマに開催
- 7月8日からアジアンクィア映画祭がスタート!
- レポート:NLGR+2011(3)ナイト編
- レポート:NLGR+2011(2)
- レポート:NLGR+2011(1)
- 震災後初開催の「Glounge」@郡山は、あたたかくもスペシャルなイベントになりました
- レポート:「やっぱ愛ダホ!」in 新宿
- 6月4日は名古屋に集合! 生まれ変わった「NLGR+」
- 「震災にも負けず」がんばるみちのく男児たち――『男魂 in 仙台』レポート
- レポート:PRAY -新宿二丁目から「祈り」を-
- 今こそ『BENT(ベント)』を観るとき——極限状況下での愛のかたち
- レポート:Shangri-La 28 “BLACK BALL”
- レポート:「かくしゲイ大会」@ArcH
- 「石原都知事の同性愛者差別発言に抗議する」デモは、パレードのようにピースフル&レインボーでした
- 写真展『BADI 17th ANNIVERSARY』×『SUPER NUDE issue 1』
- 伝説のアイドルイベント「かくしゲイ大会」が1年ぶりに二丁目に帰って来る!
- 今こそ観たい、ゲイの監督が生んだ名作映画
- 松之木天辺の映画『パブの中』
- 『GQ JAPAN』の特集「LGBTが世界を動かす。THE POWER OF LGBT」がスゴい
- あの伝説の野外フェスティバルを実現したのはゲイの青年でした…『ウッドストックがやってくる』
SCHEDULE
- 01.23LADY GAGA NIGHT







