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レポート:鰆 個展 “翅 hane”

二丁目のカフェ&レストラン「CoCoLo Cafe」で、ゲイ・アーティスト鰆の個展が開催されています。和のテイストが新年にふさわしく、それでいてたいへんエロティックなゲイ・アート。二丁目にお出かけの際はぜひ「CoCoLo Cafe」に立ち寄ってみてください。

レポート:鰆 個展 “翅 hane”







 二丁目のど真ん中にあるカフェ&レストラン「CoCoLo Cafe」。「ArcH」のすぐ隣にあり、ご飯を食べたり、デートしたり、打ち合わせに利用したり、週末のイベントの合間に友達と休んだりするゲイやレズビアンの方たちでにぎわいます(平日の昼間はOLの方がランチしているそうです)。入り口には二丁目のイベントのフライヤーやHIV予防啓発パンフレットなどが所狭しと並び(無料で置いていただけます)、スタッフにもゲイの方が多く、二丁目の顔の一つとも言えるお店です。「CoCoLo Cafe」では、月替わりでアーティストの(あるいは映画などにからんだ)作品をギャラリー的に展示しています。すべてがゲイやレズビアンのアーティストではありませんが、「二丁目ならではのゲイカルチャーを積極的にご紹介したいと、常に思っています」と、「CoCoLo Cafe」のアート・ディレクター、栗山さんは語ります。栗山さんは、毎月のギャラリー展示だけでなく、店内のBGMにもゲイのミュージシャン(ルーファス・ウェインライトなど)をさりげなく入れてみたり、ゲイカルチャーへのこだわり・情熱を持った方です。また、パレードのファンドレイジング・イベント「ドラァグクイーン・ディナーショウ」にも全面的に協力してくださったり、他のコミュニティ・イベントにも積極的に参加したり、本当に素敵な方なのです。

 そんな「CoCoLo Cafe」の1月のギャラリーでは、kitさん、悠さん、安貴之さんといったゲイのアーティストの作品展示が恒例となっていました。今年の1月は、“翅 hane”と題された鰆さんの個展が開催されています。

 鰆さんは手描きとデジタル技術を組み合わせたスタイルで、フェティッシュかつエロティックな男絵を描いているゲイ・アーティスト。これまでに「RAINBOW ARTS展」や「akta」、「dista」、上野BIGGYM3F「NETY」などで作品が展示されてきました。この「CoCoLo Cafe」が6回目の展覧会となります。今回の個展は、これまでに製作した「ベスト」作品のほか、店内のレイアウトに合わせて屏風や掛軸を模した和風な作品を描き下ろしたり、初めての写真作品なども展示。最新作9点を含む全18点の展示となります。新年にふさわしい和テイストと直球のゲイ・アートをお楽しみいただけます。

鰆 個展 “翅 hane”
会期:〜2月6日(日)
会場:「CoCoLo Cafe」(東京都新宿区新宿2-14-6第1早川屋ビル1F 03-5366-9899)
営業時間:
月〜木 11:00〜24:00
金 11:00〜7:00
土 15:00〜7:00
日祝 15:00〜24:00


 ちなみに、近くのバー「刀」では、一般のお客さんも多い「CoCoLo Cafe」では展示できないようなたいへんエロティックな作品ばかりを集めたギャラリー展示も同時開催中です。栗山さんいわく、「CoCoLo Cafe」がベスト盤+新作だとしたら、「刀」はボーナストラックだそうです。

会場:バー「」(東京都新宿区新宿2-14-3大木ビル201 03-3354-1272)
営業時間:
火〜木 20:00〜3:00
金〜土 20:00〜5:00
日 17:00〜24:00
定休日:月曜

鰆さんのサイト「MUSCLE HEROのボウケン」
http://www.musclehero.com/pc/top.htm

個展特設サイト
http://www.musclehero.com/hane/


鰆さんインタビュー

 展示会場の「CoCoLo Cafe」に来ていただいた鰆さんに、簡単にお話をお聞きしました。
 29歳がっちび系、そして全くスレてない素朴系キャラ…とてもモテそうな方です。

——そもそも鰆さんがこういう絵を書き始めたきっかけは?

鰆:絵自体は2歳か3歳のときから描いてました。男の絵を描きはじめたのは中学のときです。

——その頃に男が好きだと自覚した感じ?

鰆:いえ、小学校4年のときにはありました。でも、その頃描いてたのは漫画のキャラクターみたいな感じでした。思春期、中学生くらいになって、リアルに、現実にいる男のカッコよさを描きはじめました。それから大学でCGを専攻して、卒業してから独学でHPを作って、自分の作品を発表しはじめました。

——最初はネット上で。そこからゲイシーンで作品を展示するようになったわけですが、お誘いがあったんですか?

鰆:はい。以前は岡山に住んでて、友達もあまりいなかったんですが、2004年にmixiをはじめて知り合いが増えました。それで、東京でお店をやってる人から「絵を使ってみたい」と声がかかりまして、そこから仕事で書いたりするようになりました。それから、2006年にRAINBOW ARTSに参加してみたらどうかと誘っていただいて。僕も実際に目の前で作品を観てほしいという思いがあったので、参加することにました。とは言え、岡山からなので、けっこう大変でした。

——でも、とてもいい経験になったのでは?

鰆:そうですね。実際にアートやってる人たちと話せて、刺激になりました。それから2007年に東京に引っ越してくることになって、2008年に上野「BYG GYM」の3Fの「NETY」で個展をやらせていただいて、2009年には「BYG GYM」のほかに「akta」、「dista」、二丁目の「TAION」というゲイバーの計4回、個展をやらせていただきました。「CoCoLo Cafe」は個展としては、6回目になります。

——先ほど解説もしていただきましたが、今回の個展は、昔書いた作品から最新の和物描き下ろし作品、写真の作品まで含めて「鰆ってこんなにいろいろ」的な、でも一貫しているのは男×男のエロティシズムで、鰆さん自身の欲望とかフェチ的な部分が素直に表現されていると思います。何か、こういうものを書こう、というテーマがありますか?

鰆:男のカッコよさ、美しさ、エロスです。まずは、男ありき。男がこういうことしてるとカッコいい、とか、美しい、とか。昔は頭の想像力だけで描いてたんですけど、2年前からモデルさんを頼んで描くようになりました。よりそういうものが伝わるんじゃないかと思います。好きなことを絵にしてるって感じです。

——そういうところがよく表れていると思います。ちょっと視点を変えると、今回の「CoCoLo Cafe」は女性など一般のお客さんも多いわけですが、そういう人からどう見られるか、気になります?

鰆:そういう場所でやるのは初めてで。男の裸だからイヤと思う人もいるだろうけど、できるだけ美しさをメインにした作品をたくさん出しました。いろんな方から意見をいただけるように、特設サイトを作って、すぐアクセスできるようにしています。

——特設サイト、こういう作品が店内のここに展示されています、というところまで細かくわかるようになっていて、スゴイと思いました。たくさんの人に個展を観ていただきたいですね。これからも活躍を期待しています。今日はどうもありがとうございました!
(後藤純一)

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