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「石原都知事の同性愛者差別発言に抗議する」デモは、パレードのようにピースフル&レインボーでした

4月16日(土)に行われたデモ「差別発言にNOと言える日本を! 石原都知事の同性愛者差別発言に抗議する」の模様をレポートいたします。レインボーカラーに彩られ、ほとんどパレードのように平和で多様性豊かなものでした。

「石原都知事の同性愛者差別発言に抗議する」デモは、パレードのようにピースフル&レインボーでした

歌川泰司さんもスーツ姿で参加 

カミングアウトしている牧師の
平良愛香さんも登場

昨年、学生のパレードを主宰した
慶太さんが元気に盛り上げました

名古屋から駆けつけたVENさん
とピンクレゲイーの辰さん

渋谷の「アマランス」という
お店のマスターさん

カミングアウトしている弁護士・
永野靖さんもいらっしゃいました

なかよく参加していたイマドキの
カップル。素敵です。

 4月16日(土)は、ちょっとだけ雨がパラついたりもしましたが、暑すぎもせず、歩くにはちょうどいい気候となったと思います。若い人たちがバスケをやってたりする大久保公園(ゲイの方も多いスポーツジム『オアシス』の裏手)には、3時前頃からデモに参加する人たちが集まりはじめました。年齢も体型も格好もさまざまな人たち。ゲイもレズビアンもバイセクシュアルもトランスジェンダーもストレートも、外国人の方も、ろう者の方や車いすの方もいらっしゃいました。中には名古屋からわざわざ駆けつけたゲイの方もいらっしゃいました。アイカタさんと参加しているゲイやレズビアンのカップルも見受けられました。出発までなごやかに友達と談笑したり、まるでピクニックにでも出かけるかのような、平和な雰囲気でした。
 3時半にデモがスタート。先頭で横断幕を持っていた方たちの中には、ウーマンオンリーパーティ「GF」プロデューサーのCHIGAさんの姿もありました。デモの一行は大久保公園を出発し、職安通りで先導車と合流、ドンキの前を通り(たくさん人がいました)、明治通りを右に曲がり、二丁目へと向かいます。先導車では「私たちはゲイ、レズビアン、バイセクシュアル、トランスジェンダー、ヘテロセクシュアルなど、さまざまなセクシュアリティを肯定する仲間と家族の集まりです。私たちは、石原都知事の『ゲイのパレードを見ましたけど、見てて本当に気の毒だと思った。男のペア、女のペア、どこか足りない気がする』といった同性愛者差別発言に抗議します。安心できる社会になってほしい。自分が自分であることに誇りをもっていきたい。そう願っています。私たちが掲げているレインボーは、セクシュアルマイノリティの、そして多様性の象徴です。虹のようにカラフルで、みんなが共に尊重される社会を、私たちは願っています」とアナウンスされていました。また、最後尾には「石原都知事に対して差別発言の撤回を求め、そして謝罪を求めて歩いています」とメガホンでアナウンスしている方もいました。また、昨年3月の学生パレードを主宰した慶太さんが元気よく音頭をとり、参加者の「セクマイばんざい」「差別反対」といったコールを盛り上げていました(おかげで、お通夜のように歩くのではなく、活気のあるデモとなっていました)。中には自前のラジカセを持参して音楽を流す人もいましたし(ゲイ的にウケそうな音楽。ちあきなおみとか)、巨大な人形のようなオブジェを背負って歩くグループもいました。二丁目から新宿通りに入ると、沿道の人も増え、伊勢丹前やアルタ前では多くの人たちにアピールできました。西口大ガードをくぐって都庁の前を通る頃には「石原謝れ」といったコールが(ちょっと強めに)行われました。都庁裏手の中央公園に到着すると、特に集会などは行われず、そのまま流れ解散となりました。そこではジャパンレインボーエイドによる被災地支援募金が行われ、43,880円の義援金が集まったそうです。
 途中から参加した方も含めてだいたい200名くらいが歩いていたのではないかと思います(主催者発表は180人)。もしも予定通り3月12日に開催されていたら、もう少し参加者も多かったのでは?と思います。
 
 デモの参加者からは「昨日は、石原都知事の同性愛者差別発言に抗議するデモ@新宿に参加してきた。『マイノリティは気の毒がられる存在ではない。本当の自分を隠さずに、胸を張って生きていきたい』心からそう思う。デモの成功と、多くの出会いに感謝!」「行ってきた。人生初のデモ。行く前はぐちゃぐちゃ考えてびびったりしたけど、行って良かった。色んな人に会えた。少しでもいい、届いていてほしい」「同性愛者の方と楽しく喋れて『楽しかった』って感想かな~。そりゃあ、あの発言はむかついたけど、そのためにデモに参加したわけだけども、でも、楽しかったってゆう感想なんだな~」といった声がTwitterに上がっていました。
 遠方で参加できなかった方などからも「都民ではありませんが、東北の田舎の片隅から応援しております(*´∀`)これからも差別に負けないように頑張りましょう!」「デモの写真見ました。自由を求めるみんなは力強くて、そして笑顔がとても美しいです。わたしも勇気が出てきます。今度あるときは一緒に歩きたいです!」「おつかれさまです、写真から、とてもよい雰囲気が伝わってきました。皆様が街頭で示したことを、きっと沢山のひとが受けとったと思います」といった声が寄せられました。
 また、新宿近辺でこのデモを見た方もたくさんつぶやいていました。「新宿で対石原さんの同性愛者デモなう。がんばて!」「今日は都内でデモがいっぱいあるなあ。こういう雰囲気が良い政治文化を育むと思う」「昨日新宿で、デモやってたけど、陽気で楽しそうだった。石原知事の同性愛者差別発言に抗議をするものらしい。ひっそりと応援したい気持ちになりました」「人生は一度しかないのに同性愛者と言うだけで虐げられるのはちょっとと思います。子供達に『みんな仲良くね』の言うためには大人がお手本を見せないとv」などなど。
 このデモのTwitterアカウントのフォロワーは2000人に達しようとしています。

 ゲイシーンではこれまで、セクシュアルマイノリティの可視化(ビジビリティ)を主眼としたコミュニティの祝祭としてのパレードが開催されてきました。2001年の東京のパレードのスローガン「We are here! We are happy!」がパレードのスピリットを象徴していると思います。パレードには約3000名が参加し、ゲイナイトのフロート、野郎系ゲイのフロート、レズビアンのフロート、学生フロート、Living Togetherフロート、セクシュアルマイノリティの人権を主張する団体系のフロートなどに分かれて歩きます。声高に政治的主張をするというよりも、お祭りを楽しもう!という雰囲気です。
 今回のデモは、パレードではなく、たぶんセクシュアルマイノリティによる初めての純粋な抗議デモでした。たしかに「差別反対」といったコールも行われていましたが、たくさんのレインボーフラッグがはためき、笑顔もこぼれる雰囲気は、とても平和で、かぎりなくパレードに近いものがありました(パレードの中の団体系のフロートが独立したような感じ)。さまざまな人たちがいっしょに歩くミックス感も、ちょっと新鮮でした。
 また、これまでの東京のパレードは、人数の関係で新宿を歩くことができず(3000名規模の集会が許可されている公園は、都内では代々木公園か日比谷公園しかありません)、ある意味「アウェイ」だったのですが、今回は小規模なデモということで、僕らの街・新宿二丁目を通り、伊勢丹前や新宿駅の周辺も歩くことができ、「ホーム」を実感できたと思います。
 
 今回のデモの様子は、発端となった差別発言と同様に(それ以上に)マスメディアに取り上げられることはほとんどないと思います。が、きっと石原都知事の耳には入るでしょうし、デモが行われたという事実が大事なのだと思います。再選された石原都知事が、今後もどんな発言をするのか(そのうち「非国民」呼ばわりするかもしれません)、どんなかたちで僕らを苦しめるのか(さらに二丁目への圧力をかけてくるかもしれません)…そうした時に、マスメディアが代弁してくれない以上(一部の心ある著名人の方は応援してくれましたが)、僕らが何もしないでいるとただなすがままに…一方的につぶされていくだけです。「抗議」というスタンスに異議のある方もいらっしゃるでしょうが、時には声を上げることも必要なのではないでしょうか。
 
 デモ終了後、「石原都知事の同性愛者差別発言に抗議する有志の会」のミーティングが開かれ、デモの感想や運営面での反省点など、次につなげるための情報共有が行われました。そして、会の名前を変更することが正式決定されました。石原都知事の4期目がスタートする4月23日より『レインボー・アクション』と改名し、より幅広くセクシュアルマイノリティとその友人たちとの出会い、対話、交流を促進するための活動を継続することになったそうです。今最もアクチュアルな活動を展開する『レインボー・アクション』に、今後も期待したいと思います。

こちらのフォトアルバムもご覧ください。
こちらには主催者による当日の映像や画像が公開されています。

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