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「震災にも負けず」がんばるみちのく男児たち――『男魂 in 仙台』レポート
東日本大震災で甚大な被害を受けた東北地方。その中心地・仙台では、「震災に負けるな、がんばろう東北!」を合い言葉にゲイナイト『男魂 -MEN SOUL- 仙台』が開催されました。大変さを乗り越えて元気に盛り上がった東北のゲイシーンの復興の様子をお伝えしたいと思います。
コミュニティセンター「ZEL」にて。
左から「やろっこ」のふとしさん、
「みちのく駐屯地」のコウさん、
「やろっこ」のゲンさん
仙台を中心にHIV予防啓発等の活動を行ってきた団体「やろっこ」。ふとしさん&ゲンさんを中心に、コミュニティセンター「ZEL」を運営し、パンフレットやコンドームを配布し、さまざまなイベントを開催し(ゲイナイト、出会いイベント、DQショー、Living Togetherなど)、夏にはゲイビーチで清掃&コンドーム配布を行い(素晴らしい)、仙台だけでなく他県のバーなども回ったり(隣の岩手だけでも四国以上の広さがあるのですから、本当に大変です)、その精力的な活動には頭が下がります。彼らががんばってる姿を見て、また彼らの人柄に魅了されて、「俺も何かやるよ」とスタッフになってくれた方もいれば、「ZEL」に立ち寄るたびにおみやげを持って来てくれる方、飲みに行くついでに配布を手伝ってくれる方もいるそうです。決して派手ではありませんが、「不言実行」とか「男気」という言葉が似合うような、東北らしく、あったかいコミュニティが生まれているのです。世の中、「自分さえよければいい」「主役でいたい」と思っている人や、すぐに文句を言うような(こらえ性がない)人が多くなってきていると思いますが、やろっこや「ZEL」に集う人たちは、じっと我慢し、仲間のためにがんばる東北人気質を備えた人たちだと感じました。
3月11日、悪夢のような東日本大震災に見舞われ、やろっこの方たち自身も大変だったはずですが、「ZEL」の中もめちゃくちゃになったそうです。それを、みなさんの尽力で1週間後の18日には再開し(素晴らしい)、「ZEL」は東北のゲイたちの希望の灯となってきました(震災以降、ふだんにも増してたくさんの人たちが来場したそうです)。しかし、「ZEL」によく来る方たちの中で未だに連絡が取れない人も何人かいらっしゃるんだそうです(どうかご無事でありますように…)
こうしたフライヤーやWebも
ふとしさんが制作しています。
やろっこでは毎年GWに『男魂 -MEN SOUL- 仙台』を開催してきました。仙台唯一のゲイナイトとして、地元のDJ、DQユニット(やろっこのみなさんが中心になって結成)、GO-GOユニット(やろっこのみなさんが中心になって結成)プラス東京からの応援組が出演し、東北一円からお客さんが集まり、盛り上がりを見せてきました。
今年も2月にはすでに『男魂 -MEN SOUL- 仙台』をいつものようにGWに開催します(今年で5周年、そしてついにFINALです)とアナウンスされていました。しかし、大震災の影響を受け、果たして本当に開催されるのだろうかと心配される中、このイベントは「震災に負けるな、がんばろう東北!」を合い言葉に、予定通り開催されることになりました。彼らの熱い思いに応えるように、圧倒的な人気を誇るエスムラルダや『バディ』誌でもおなじみのアロム奈美江、そして、一度は解散しながらも一夜限りの復活を果たすピンクレゲイーといった豪華キャストが駆けつけてくれることになりました。
そうして迎えた5月4日、奇跡的に全線開通した新幹線(日本のチカラって本当にスゴイ。拍手)に乗って、キャストのみなさんが仙台入りしました。近県の方たちは、車で来られた方が多かったようです。会場の「club SQUALL」は、そうして宮城や福島を中心に約120名ものみちのくボーイズたちで賑わいました。
地元のDJ DD(震災当日、仙台空港にいて大変な思いをしたそうです)、DJあさこのプレイに続き、22:30、MCのジュヌヴィエーヴ&セイコリーが登場し、第一部ショータイムがスタート。HIV陽性者の手記のリーディング(byけそのすけ)に続き、エスムラルダ、アロム奈美江、ジュヌヴィエーヴが、それぞれ徹子の部屋&美輪明宏、加藤ミリヤ、レディ・ガガのショーを披露しました。
続いてGO-GO BOYS(Tomo、Kaito、TOK)とみちのく駐屯地(新人2人が参加。とてもカワイイみちのく男児でした)のみなさんがモデルとなり、Shioのアンダーウェア・ファッションショーがスタート。フロアをSEXYに彩りました。
00:15、第二部ショータイムがスタート。アロム&ジュヌ&TOKによる少女時代、ピンクレゲイーによるピンクレディー5曲メドレー(早変わりで全て違う衣装になったのがスゴイ)、みちのく駐屯地の「Bear Force 1」、エスム&ジュヌ&セイコによるAKB48メドレーが繰り広げられました(フロアのみなさんも「アイウォンチュー」と大合唱)
そして2:00、恒例の「勝負下着コンテスト」が開催されました。過去最高となる7名(20歳~40代のスジ筋からガチムチまで)がエントリーし、みちのく男児の元気&色気をアピールしていました。また、東北を応援しようと駆けつけた二丁目のバー「刀」のマスターがサプライズで登場し、芸術作品が刻まれたボディを披露してくれました。優勝者および準優勝者にはShioのアンダーウェアがプレゼントされたほか、「若褌」(やろっこのふとしさんが運営するサイト)から「初めて六尺セット」がプレゼントされたりして、「勝負下着コンテスト」は大いに盛り上がりました。
最後には出演者みんなでステージに上がり、華麗なフィナーレを迎えました。やろっこのふとしさんは「これで『男魂』はいったん幕を下ろしますが、また仙台で新しいゲイナイトが開催されることを期待しています」と語り、フロアからは大きな拍手が贈られました。思わず泣けてくるような、感動のエンディングでした。
実はこのイベントの会場には、津波で家を流されて避難所生活を送っているという方もいたり(エスムラルダのショーを楽しみに来たそうです)、福島在住で不安な日々を過ごしている方なども来られていました。もちろん、そこには(どんなイベントでもそうですが)HIV陽性者の方もいらしたと思います。地方ゆえのしんどさ(ゲイだからこその悩み)を抱えている方もいらしたことでしょう。それぞれに大変な思いをしてきたのではないかと思いますが、フロアのみなさんは本当にいい顔でナイトを楽しんでいるように見えました。また、5月末に福島の郡山でゲイナイト「Glounge(グランジ)」開催!という明るいニュースもあり、なんだかこちらが元気をもらったような感じでした。
やろっこのみなさん、5年間、本当におつかれさまでした。東北のみなさん、ありがとうございました。(後藤純一)
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