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『GQ JAPAN』の特集「LGBTが世界を動かす。THE POWER OF LGBT」がスゴい
ハイステータスな男性総合誌『GQ』の日本版『GQ JAPAN』。国際的な評価の高い雑誌らしく、現在発売中の4月号では「LGBTが世界を動かす。THE POWER OF LGBT」というゲイマーケット特集をメイン記事に据えて話題を呼んでいます。
『GQ』は、1957年にアメリカで誕生した世界で最初のメンズ・ファッション/ライフスタイル誌。『GQ』とは「Gentlemen's Quarterly」(男性のための季刊誌)という意味。創刊当初は季刊だったんだそうです。ファッションやライフスタイルの記事だけでなく、一流作家や著名なフォトグラファーを起用した『GQ』は、ジャーナリスティックな記事や洗練されやユーモア、目を見張るような写真によってハイステータスな男性総合誌として成長を遂げ、現在では世界17カ国で発行され、国際的評価の高い雑誌として確固たる地位を築いています。日本では2003年4月に『GQ JAPAN』としてコンデナスト・ジャパンから創刊されました。
そんな『GQ JAPAN』4月号(2/24発売)がメイン特集として世に送り出したのが、「LGBTが世界を動かす。THE POWER OF LGBT。」という大々的・本格的なゲイマーケット特集です。
●トム・フォード、レディ・ガガ、リッキー・マーティンをはじめ、政治、経済、スポーツなどの各分野でグローバルな活躍をみせるパワーゲイ33人を一挙に紹介する記事、●リーバイス、ナイキ、マイクロソフト、グーグルといった世界のリーディングカンパニーが、いかに優秀なゲイの人材を確保するために努力しているかという事例を紹介する記事、●すでに成功を収めている欧米企業の動きを分析し、6兆円規模と試算されている日本のゲイマーケット(眠れる市場)を掘り起こすための秘策を語るという本格的なゲイマーケット論、●メジャー企業が放つ世界のLGBT広告、●日本の最新LGBT事情といった記事が約30ページにもわたって展開され、ゲイマーケット特集の決定版とも言える、充実した読み応えのある内容になっています。
それでは、『GQ JAPAN』4月号の特集「LGBTが世界を動かす。THE POWER OF LGBT。」のコンテンツを、ざっと(と言いつつ、けっこう詳しく)ご紹介したいと思います。
p27 GQ EDITOR'S LETTER
編集長代理の竹内大さんが「彼らは本当の自由を知っている」と題し、この特集への序文(あるいは「あとがき」)のような文章を書いています。竹内さんは超保守的な田舎に育ち、性的マイノリティに偏見を持っていましたが、D&Gやトム・フォード、マーク・ジェイコブズといったゲイのデザイナーの美意識の高さに影響を受け、ファッション観を一変させたそうです。そして、「偏見から解放されたときに言いようのない『自由』を感じた。彼らが偏見などもろともせず、美意識の限りを表現して到達した、掛け値なしの『自由』がそこにあるからだろう」と語っています。
トム・フォードやガガ、リッキーのほか、
ドイツの副首相やパリ市長といった政治家
なども紹介されています。
「欧米では、LGBTが不況でも消費が衰えないマーケットとして注目されています。アメリカでは77兆円とも目される市場にメジャーブランドが一斉に飛びつき、LGBTの支持を得られることこそ成功の秘訣だと言われています。一方、日本では6兆円規模と言われながらも依然『眠れる市場』であることに変わりない。不況を嘆く前に、足元を見よう」
p54-59 THE MOST INFLUENTIAL GAY 33「世界をリードするパワーゲイ33人」
「世界にはこんなにも活躍するゲイ(LGBT)がいることをご存じだろうか?」「LGBTがいなければ世界はもはや成立しない」として、トム・フォード、レディ・ガガ、リッキー・マーティンといった超有名人をはじめ、政治、経済、ファッション、カルチャー、スポーツ、いろんなフィールドで活躍する33人のゲイが紹介されています。
リーバイス、ナイキ、マイクロソフト、
グーグル、アメリカン航空などは、ゲイ
をとても大事にしてきた優良企業です。
p60-63 THE WORLD'S LEADING COMPANIES「リーディングカンパニーの成功の秘訣はLGBTにあり」
リーバイス、ナイキ、マイクロソフト、グーグルといった世界のリーディングカンパニーが、いかに優秀なゲイの人材を確保するために努力しているかという事例が紹介されています。
1995年、ニューヨークで初めてゲイビジネス・エキスポが開催されました。観光や酒、ファッションなどに限られていたゲイ向けマーティングは、以後、同性カップルの財形や保険、自動車や家具、不動産などにも拡大したそうです。同時に企業は、優秀な人材を確保するため、LGBTを差別しない職場環境も整備してきました。人権団体ヒューマン・ライツ・キャンペーンが毎年発表する企業のゲイフレンドリー指数(「性的指向に基づく従業員差別を禁止する成分規則があるか」など40項目以上で審査)において満点をとれる企業が、2002年にはたった13社のみでしたが、2011年には337社にまで拡大しました(トヨタやスバルなど日系企業を含む)
それから、米国で最も早くから社員の同性パートナーへの福利厚生(保険など)を認めたリーバイス、地元オレゴン州のシビルユニオン法を支持してきたナイキ、社内に「レインボーチーム」を設け、ゲイイベントへの格安航空券などを提供してきたアメリカン航空など、有名なゲイフレンドリー企業が紹介されています。(ほかにもKPMG、グーグル、コンチネンタル航空、シティバンク、マイクロソフト、スバルなど)
p64-65 LGBT ADVERTISEMENT COLLECTION「メジャー企業が放つ世界のLGBT広告!」
これまでにたくさんの企業がゲイに向けた広告を発表してきました。そうした広告は、欧米でゲイムーブメントが盛り上がった80年代後半~90年代に急増したそうです(アブソリュート・ウォッカやアンダーウェア広告などが有名ですね)
ここでは、コカ・コーラやペリエ、ミラー・ライト、デル、東芝、メイシーズ、マスター・カード、ヴァージン・モバイルなどの広告が紹介されています。レインボーカラーがあしらわれていたり、セクシーな男性のモデルを起用したり、男性同士のキスだったり。NYタイムズのように同性婚を支持するものもありました。
コカ・コーラ、ペリエ、ミラー・ライト、
メイシーズ、マスター・カード、デル、
東芝などのゲイ向け広告を紹介。
p66 LGBT COLUMN 01: GAY FRIENDLY CELEB「人気セレブはゲイフレンドリーでなくっちゃね」
SATCのサマンサの「流行の最初はゲイ、その次にティーン、そしたらブレイクよ」という言葉通り、ゲイにアピールして成功したセレブも多いと言われます。特にショービズ界では、ゲイフレンドリーじゃないとむしろ損してしまうくらいだそうです。ここではシンディ・ローパー、ジュリアン・ムーア、ドリュー・バリモア、ジェームズ・フランコ、アン・ハサウェイなど、ストレートだけどゲイフレンドリーなことで知られているセレブが紹介されています。サンフランシスコ・プライドに出演したBoaもチョイスされています。
p67 LGBT COLUMN 02: LGBT DRAMA LOREM「ゲイやビアンが登場しないドラマなんて」
『ブロークバック・マウンテン』や『グリー』など、ゲイやレズビアンが登場する映画やTVドラマが紹介されています。
『Entertainment Weekly』誌では、ドラマや映画に登場するゲイのキャラクターが視聴者に与えた影響を検証する「GAY TEENS ON TV」という特集が組まれているそうです。
p67 LGBT COLUMN 03: IT GETS BETTER「政治家が、企業家が立ち上がった!」
10代のゲイが相次いで自殺し、社会問題ともなったアメリカで、いじめによる自殺防止を呼びかける「It Gets Better」プロジェクトが立ち上がったことが紹介されています。オバマ大統領、ヒラリー・クリントン、グーグルやフェイスブック、アドビの社員などがピックアップされています。
日本においてすでにゲイイベントへの協賛
などを積極的に行ってきたソフトバンクや
ゴールドマンサックスなどの実例を紹介。
p68-71 FABULOUS? LGBT MARKET「LGBTを制する者が不況を制す!」
日本の企業人たちに向けて、すでに成功を収めている欧米企業の動きを分析し、日本での展開の秘訣を語るという、本格的なゲイマーケット論のページ。今回の特集の「肝」とも言うべき記事です。
「日本のLGBTマーケットは6兆円」と試算する本格的なLGBTマーケット調査を行ったことで知られる株式会社パジェンタの箱石さん、電通総研の四元さん、そしてコチ株式会社の東田さんらが登場しています。
前半は、欧米のゲイマーケットがどれだけ大規模か(米国で77兆円、英国で7兆円)、企業がどれだけ熱心にゲイ向けマーケティングを行ってきたか(『フォーチュン』誌のランキング500に入る企業の1/3以上が熱心に取り組んでいる、LGBT向け広告費も10年で2桁の伸び)、ゲイの消費特性(高学歴・高年収の人が多い、可処分所得が高い、新しい商品にも敏感、自分に合ったものは躊躇せずに買う)といったことが概観されます。
一方、日本では、2006年〜2007年にかけて、パジェンタ社が日本のLGBT人口は推定270万人、その市場は6.6兆円規模と試算し、『日経ビジネス』などで「眠れる市場」として大々的に特集が組まれました。にも関わらず、日本ではまだ企業が動き出していないのはなぜか?というテーマに関して分析が試みられます。東田さんは「マーケットが見えにくい。市場データが少ない。マーケティングチャンネルが限られている」といった点を指摘しています。箱石さんは「特定消費マインドが高い、口コミ力が高い、ロイヤリティが高い、女性が追随する」と(ゲイを)評価し、四元さんにいたっては「現代の理想的な人格像のひとつ。イメージリーダー」とほめちぎってくれています。
そして、具体的にどんな分野でどんな商品を作れば成功するのかという点について、PR会社社長であるサマンサ(SATC)の「最初にゲイ、次にティーン、そうしたらブレイクよ」という名言を引用しつつ、さまざまな提案が行われています。ここで東田さんが「忘れてならないのは、ダイバーシティへの対応なくしてLGBTマーケティングは成立しないということ」と、たいへん重要な発言をしてくれました。「たとえばアメリカン航空は、社内でのLGBTネットワークの設立や同性パートナーへの福利厚生など、ダイバーシティ推進を熱心に行ってきました。こうした地道な活動があったからこそ、LGBTコミュニティに受け入れられた。決して商品(機内食やシート)がゲイにウケたわけではないのです」
p72-75 JAPAN, WHAT'S GOING ON?「日本の最新LGBT事情」
「欧米の企業と違い、"堅い"と思われていた日本企業や行政もようやくLGBTマーケットの重要性に着目しはじめてきた。さて、多数派が慎重な中で、先鞭をつけ一歩先をゆくのは?」ということで、パレードなどのコミュニティイベントにたくさん協賛してきた(家族割も同性カップルに開放した)ソフトバンクモバイル、ゲイナイトや映画祭に協賛してきたベルヴェデール、NPO法人グッドエイジングエールズhttp://www.goodagingyells.net/index.htmlとタッグを組んでパーティを開催したアルファロメオジャパン、社内に公認のLGBTネットワークがあるゴールドマン・サックス、市長も参加するレインボーマーチ札幌などが紹介されていました。
p76 LGBT COLUMN 04: LEGENDARY ICONS「あの巨匠も、スターも! 伝説のLGBTたち」
ジャン・コクトー、マルセル・プルースト、トルーマン・カポーティ、アンディ・ウォーホール、スーザン・ソンタグ、フレディ・マーキュリー、イブ・サンローランなど、「パワーゲイ33」には載らなかった歴史上の有名人や伝説のスターなどが紹介されています。
歴史上の人物や伝説のスターを列挙したり、
世界のプライドイベント、ゲイのお気に入り
アイテムなども紹介されています。
p76 LGBT COLUMN 05: WORLD'S EVENT「世界のゲイイベントの経済効果」
250万人を集め、95億円もの経済効果を上げると言われるサンパウロの「パラダ」をはじめ、レディ・ガガやBoaが登場したサンフランシスコ・プライド、ニューヨークのヘリティジ・オブ・プライド、シドニー のゲイ&レズビアン・マルディグラ(カイリー・ミノーグやオリビア・ニュートン・ジョンも登場)など、世界のプライドイベントが紹介されています。
p76 LGBT COLUMN 06: BORDERLESS FASHION「ACNEが発信するT向けファッション」
スウェーデンのデニムブランドACNEがトランスヴェスタイト、トランスジェンダー向けのコレクションを発表しました。世界初のトランスヴェスタイト向けファッション誌『Candy』とのコラボだそう。
p77 LGBT COLUMN 07: GAY FAVORITES「ゲイのお気に入り厳選12」
マドンナ&カイリー、iPhone、ジム、トミヒル、TOOT、タカノフルーツパーラー、ダウニーなど、ゲイが好きなモノを紹介したコラムです。
p78 Find your identity, Find your true-self
中村中さん、杉山文野さん、スタイリスト&DJのPELIさん(バイセクシュアルの方)、村上裕さん、二丁目のバー「Bridge」のマスターなど、さまざまな人たちが1枚に収められているレスリー・キー撮り下ろしのポートレイトが掲載されています。「多様な個性を包容するアルファ ロメオの『Mito』と気鋭フォトグラファー、レスリー・キーとの夢のプロジェクト始動」ということで、この写真は今後もシリーズ化しそうな予感。次に載るのはあなたかも?
このように、一般男性誌としては破格の一大ゲイ特集になっています。歴史的というと大げさかもしれませんが、まちがいなくゲイの間で長く語り継がれるような、記念碑的なゲイ特集と言えるでしょう。
たまたまなのか意図的なのかわかりませんが、同じ号には、吉川晃司、寺脇康文、岩城滉一、今江敏晃(野球選手)、巻誠一郎(サッカー選手)、菊野克紀(格闘家)、桝田琢治(サーファー)、宮尾俊太郎(ダンサー)といった13人の美しい男たちを荒木経惟が撮り下ろしたモノクログラビア写真も掲載されています。
それから、見逃してはいけないのが、同誌を飾るファッション広告の数々。フランスのブランドMONCLERがあのブルース・ウェーバーを起用して撮り下ろしたプレミアなファッション・フォトや、DIESEL、DOLCE&GABBANAなど、いずれも筋肉質なメンズモデルのSEXYさが際立っています。
まだお読みになっていない方は、ぜひ、書店へ。または、オンラインでご購入ください。
GQ JAPANのサイトにLGBTの文字が踊ります。
今すぐアクセス!
http://www.gqjapan.jp/
INDEX
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