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レポート:第27回レインボー・リール東京

7⽉7⽇(土)~8日(日)に東京ウィメンズプラザで、7月13日(金)〜16⽇(月祝)にスパイラルホールで第27回レインボー・リール東京が開催されました。今年も、この映画祭でしか観られないであろう貴重な作品がたくさん上映され、大勢の方が会場を訪れ、楽しんでいました。

レポート:第27回レインボー・リール東京

第27回レインボー・リール東京が2018年7⽉7⽇(土)~8日(日)に東京ウィメンズプラザで、7月13日(金)〜16⽇(月祝)にスパイラルホールで開催されました。今年も、この映画祭でしか観られないであろう数々の貴重な作品が連日、上映され、大勢の方たちが会場を訪れ、映画やイベントの雰囲気を楽しんでいました。7月13日(金)のスパイラルでのオープニングの模様、スパイラルホールのホワイエの様子、7月16⽇(月祝)のレインボーリールコンペティションの模様を中心に、レポートをお届けします。(後藤純一)


 

東京ウィメンズプラザ

 今年はスパイラルホールでの本祭の前の週に、同じ表参道の東京ウィメンズプラザホールでも映画上映が行われました。
 東京都の施設ですので、スパイラルほどのオシャレ感はありませんが、ホールはなかなか立派ですし、映画鑑賞には十分、適しています。企業ブースなどは出ていませんが、スタッフさんのブース(カウンター)があって、アットホームな感じでした。今年はスタッフのみなさん、テーマカラーの赤のTシャツを着ていました。

 ちなみに、今年も作品の上映前に、協賛企業のCM映像が流れていました。
 ルピシア、TOOT、アルファロメオといった常連企業のほか、初めてかんぽ生命のCMが流れました(若い女性がパイロットになることを夢見るという映像で、ちゃんと意味もある内容でした)。それから、再演されることが決まったミュージカル『プリシラ』や、ブラジルのドラァグクイーンたちを描いた映画『ディヴァイン・ディーバ』、ゲイの男の子が周囲の無理解に苦しむ映画『サタデー・チャーチ(原題)』の予告編も上映されました。

 

オープニング

 7月13日(金)、表参道スパイラルの入り口に恒例のレインボーフラッグが掲げられ、レインボー・リール東京の本祭がスタートしました。
 オープニングは毎年、上映前にちょっとしたセレモニーが開催されます。ワクワク感を感じさせるなか、会場が暗転、おもむろに「ダンシング・クイーン」が流れはじめ、後方のドアからブルボンヌさんが登場、拍手に包まれながら、華麗に入場してきました。そして、映画祭代表の宮沢さんも登場し、お二人でのトークショーがスタートしました。
 「いろんなことがありました」と振り返る宮沢さん。震災もあったし(その年は、初めて秋に延期されました)、お金の問題で苦労したこともありましたが、「ここまでやってこれたのは、サポート企業や団体、そして観客のみなさんのおかげです」と謝辞を述べていました。
 今年の上映作品についてブルボンヌさんが、「LGBTという言葉は、広範囲なセクシュアルマイノリティを一言で表せる使いやす言葉であるが故に、その4文字の合間に広がる世界を見落としてしまいがちです」という宮沢さんの言葉を引用して、「お仕着せの情報ではなく、映画のストーリーとして受け取ることに意義がある」「全部観てください(笑)」と語りました。宮沢さんも、時代を経て、セクシュアルマイノリティの映画も複雑になっている、作品は一つひとつ異なるので、ぜひご覧いただきたい、と語りました。
 最後に、オープニング作品の『ゴッズ・オウン・カントリー』についてのお話となりましたが、宮沢さんが「この映画について一言で言うと?」と聞かれて「羊」と答えたのが面白かったです(たしかに「羊」の映画でした)
 こうして、楽しい雰囲気のなかで、映画祭(本祭)の初日がスタートしました。


 


会場の様子


 今年も、スパイラルホールのホワイエには、冷たいドリンクを提供するカウンターが設けられ(フリーです。今年もフレシネのシャンパンがふるまわれました。かれこれ20年以上、協賛してくださっています)、今回は軽食やスナックも販売されていたので、猛暑のなか、外に出ることなく、椅子席でゆったり座りながら食事をすますこともできました(熱中症予防)
 また、niji-depotのレインボーアクセサリーなどが販売されているキオスク(映画祭公式のブース)や、東京都が運営するHIV情報ラウンジ「ふぉー・てぃー」、世界のお茶「ルピシア」、保険の「ワンズピープル」などのブースも出展されていました。
 ほかにも、ゲストの方が写真を撮れるパネルが設けられていたり、コンドームが無料配布されていたり、先日カミングアウトした勝間和代さんや三ツ矢雄二さんら著名人のコメントが展示されていたり、いろんなフライヤーが置かれていたり。上映までの待ち時間を楽しく過ごすことができました。





 


レインボー・リール・コンペティション


 映画祭最終日、恒例の「レインボー・リール・コンペティション」が開催されました。日本でクィア映画を制作する新たな才能を発掘したり、若手クィア映像作家を育成する目的で、公募作品の中から選ばれた中短編作品が上映され、会場のみなさんの票数で、最優秀作品が決まるというものです。(なお、現在一般公開中の『カランコエの花』は昨年のコンペティションで優勝した作品です。そういうふうに一般上映にいたるケースは稀だそうです)

 今年は『老ナルキソス』『KISS』『HIV x LOVE ?』というゲイを描いた作品、『フリーダム』という女性どうしの恋心を描いた短編、どうしても舞妓さんになりたいと置屋の門を叩く男の子の物語『京』、そして見た目の性別は女性でありながら外性器は男性であるインターセックスの主人公が女優を目指す『ギャルソンヌ −2つの性をもつ女−』という全6本の中短編作品が上映されました。
 そして、クラシック・アンセム『We are family』にのってブルボンヌさんが登場し、映画ライターのよしひろまさみちさんとのダブル司会で、イベントが進行されました。それぞれの作品の監督さんや出演者の方が登場し、お二人から一言ずつ感想が述べられました。
 そのあと、コロンビア大使館の方が登壇し、同性婚が認められているといったお話をしていました(優勝者への副賞として、コロンビアのコーヒーなどが贈られることになりました)。それから、『フリーランサーズ・アノニマス』のソニア・セバスティアン監督から「ソニア賞」が贈られました(『京』が受賞しました)
 そして、グランプリの発表です。ちゃんとドラムロールが流れましたが、厳正な審査の結果、『老ナルキソス』がグランプリに輝きました。監督の東海林さんは、実は第4回のコンペでも審査員特別賞を受賞しており(そのときの副賞のテディベアを持っておられました)、今回、晴れてグランプリに選ばれました。「自分自身もセクシュアリティに関して揺らいでいたときに(いまはバイセクシュアルだと自認しているそうです)、第4回のコンペで賞をもらって、腑に落ちた、今回は、映画という形で戻って来れてうれしい」とコメントしていました。主演の方は「あと10年後に老々ナルキッソスでお会いしたい」とコメントしていました。賞金の10万円と、さまざまな副賞が贈られました(おめでとうございます)
 最後によしひろさんから総評として「今回は、テーマがはっきりしていて、観てわかる、それでいてセリフに頼らない作品が多くて、よかったです」という言葉が贈られました。

 映像としてプロ並みの技術が要求されたりするわけではありませんし(今やiPhoneで映画が撮れる時代です)、当事者だからこその思いが込められているような作品こそ、この賞にふさわしいはずです。我こそはと思う方はぜひこれから、ご応募ください。







 今年はクロージング作品は観なかったのですが(例年に比べて、観た本数が少なかったのですが)、『ゴッズ・オウン・カントリー』という素晴らしい作品を大スクリーンで観ることができて、感無量です。『アフター・ルイ』や、『』もよかったです。毎年、ここでしか観ることができない貴重なクィアムービーの数々を上映してくださって…感謝しかありません。

 ボランティアベースで運営され、毎年続けていくのが本当に大変だと想像される映画祭ですが、運営スタッフの方やボランティアスタッフのみなさんに、おつかれさまでした、ありがとうございましたと申し上げたい気持ちです。

 
  
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