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特集:第28回レインボー・リール東京

第28回レインボー・リール東京が、7⽉5⽇(金)~6日(土)@東京ウィメンズプラザと7月12日(金)〜15⽇(月祝)@スパイラルホールで、2週にわたって2会場で開催されます。今年も、この映画祭でしか観られないであろう貴重な作品が上映されます。 

特集:第28回レインボー・リール東京

今年のレインボー・リール東京(旧:東京国際レズビアン&ゲイ映画祭)のプログラムが発表されました。第28回レインボー・リール東京が、7⽉5⽇(金)~6日(土)@東京ウィメンズプラザと7月12日(金)〜15⽇(月祝)@スパイラルホールで、2週にわたって2会場で開催されます。今年も、この映画祭でしか観られないであろう貴重な作品が色々上映されます。7月13日(土)から海の日までの3連休は、ゲイイベントがいちばん熱く盛り上がる時期でもありますが、地方から東京に遊びに来られた方なども、ぜひ映画祭にも足を運んでみてください。(後藤純一)


第28回レインボー・リール東京 概要

 東京国際レズビアン&ゲイ映画祭は1992年に中野の小さな会議室でスタートし、1996年からは現在の表参道・スパイラルホールで開催されるようになりました。毎年多くのファンの方に愛され、観客動員数はのべ10万人を突破し、LGBTだけでなく一般の映画ファンなどからも高い支持を集めています。今年もめでたく第28回が開催され、LGBTコミュニティイベントの最長記録を更新します。
 
 今年も、7月の海の日を含む3連休を中心に、大勢のゲイの方、レズビアンの方、いろんな方が集まって、映画をいっしょに観て笑ったり泣いたり(拍手が起こったり)、トークイベントを楽しんだり、ホワイエでブースを見て回ったり、冷たいドリンクを飲んだり(フリーです)、時には出会いもあったりすることでしょう。表参道の、冷房が効いたオシャレな会場で、リラックスした素敵な休日を楽しむことができます。
 
 今年も公式サイトには、映画祭の代表・宮沢英樹さんの素敵なメッセージが掲載されています。

「映画は現実ではない。

 夢のような出来事も、恐怖も、絶望も、希望も、理想も。
 いろんなものがここにはある。

 でも、時に、ふと既視感を覚える
 あの映画で見たシーン。
 なんとなく似ているあの場所。
 胸に突き刺さるような心の痛み。
 溢れる涙が止まらないこの気持ち。

 今年の東京のパレードは、とても多くの人がいきいきと楽しげに歩いていて、一人一人が映画の主人公のようだった。
 スクリーンの中だけだと思っていた、同性婚をめぐる裁判が日本でも始まった。
 近くの台湾では、アジアで初めて同性婚が認められた。まさか。
 既視感。
 現実でないはずの世界が、今目の前に広がっている。
 現実として。
 びっくりだ。

 それでも、100人いれば100の物語があるのだ。
 スクリーンはまだ見ぬ可能性の世界。
 今年もどんな世界を私たちに見せてくれるのだろう。
 レインボー・リール東京。
 今年も始まります。」

 本当にそうだなぁと思います。
 日本でまだほとんどのLGBTがカミングアウトしておらず、本当に好きな人とずっと一緒に暮らすということすらも夢物語だった時代から、とうとう、同性婚ということが現実性を帯びてくるまでになりましたが、この27年間の長きにわたって、映画祭はずっと僕らに寄り添い、夢を見せてくれたり、癒してくれたり、元気や勇気をくれたりしました。時には海外の有名俳優が来て大騒ぎになったり、一般企業が初めて協賛してくれたり、文化庁の支援が決まったり、いろんな「素敵」を現実にしてくれたのも、映画祭でした。
 人間には「夢見るチカラ」というものがあると思います。『赤毛のアン』ではありませんが、つらい現実のなかでも、想像力の翼を広げることで、人は生きていけたりします。映画祭はきっと、世界の可能性を開き、「夢見るチカラ」を与えてくれる機会でもあると、確信しています。
 

第28回 レインボー・リール東京(東京国際レズビアン&ゲイ映画祭)
2019年7⽉5⽇(金)~6日(土)@東京ウィメンズプラザ
2019年7月12日(金)〜15⽇(月祝)@スパイラルホール
チケット:1回券(日時指定)前売1,400円 当日1,700円、スパイラル4回券5,200円(前売のみ)、フェスティバルパス引換券(限定100枚)前売12,000円 当日14,000円
主催:レインボー・リール東京運営委員会、NPO法人レインボー・リール東京



今年のオススメ作品

 レインボー・リール東京は、海外で評判を呼んだり、話題になったりした、LGBTQ(セクシュアルマイノリティ、クィア)をフィーチャーした珠玉のドラマやドキュメンタリー映画、短編などを上映しています。ほとんどが日本初上映で、この映画祭でしか観ることができない名作・感動作にたくさん出会えます。
 今年も全16作品を上映し、そのうち1作品がワールドプレミア(世界初上映)で、10作品がジャパンプレミア(日本初上映)です。 
 今年の上映作品の特徴としては、まず、ひさしぶりにエロスど真ん中な作品(『ソヴァージュ』)があって、セクシーなシーンを含む作品(『クィア・ジャパン』『アスリート』『ジェントルマン・スパ』など)もなかなか多い印象です。また、軍隊におけるLGBTQ(『カナリア』『トランス・ミリタリー』)や、スポーツ界におけるLGBTQ(『マリオ』)など、現在、世界的にホットになっているテーマを扱った作品が目立ちます。
 ぜひレインボー・リール東京で、世界のLGBTQの「今」を感じてください。
 
 以下、オススメ作品をご紹介していきます。
(W:東京ウィメンズプラザホール、S:スパイラルホール)
 

クィア・ジャパン
7/15 19:05〜 S
★世界初上映 ★クロージングイベント ★Q&Aセッション(キャスト、監督、プロデューサーが登壇)

 現代の日本におけるLGBTQ+のカルチャーは万華鏡のようで、様々なジェンダー/セクシュアリティの人々が型にはまらない生き方を選択できる社会になりつつあります。『クィア・ジャパン』は、3年をかけて日本各地で撮影された100本を超えるインタビューを厳選した作品です。
 世界で活躍する写真家のレスリー・キーさん、世界で活躍するゲイ・エロティック・アーティストの田亀源五郎さん、『バディ』『G-men』の創刊に携わった後、HIV陽性者団体「JaNP+」を立ち上げた長谷川博史さん、アーティストであり、コミュニティセンターaktaでの活動にも携わっていたハスラー・アキラさん、大駱駝艦で舞踏家として活躍する松田篤史さん、シモーヌ深雪さんをはじめとするたくさんのドラァグクィーンや、GOGO BOYのみなさん、ほかにも、レズビアンやトランスジェンダーなど実に多様で多彩な方々が、セクシュアルマイノリティとして生きる上で得る喜び、抱える苦しみや葛藤などを、自身の言葉で語っています。 
「多様な当事者が伝えるありのままのストーリーが、クィアな世界を知らない人々への理解を深めることにつながれば幸いです」(プロデューサー談)

クィア・ジャパン
監督:グレアム・コルビーンズ
2019|日本|101分|日本語
(c)2019 QUEER JAPAN
 

アスリート ~俺が彼に溺れた日々~
7/15 14:25- S  ※U22特別優待
★舞台挨拶(MC:よしひろまさみち。キャスト、監督が登壇)

 妻子持ちで元競泳選手の航平は、ある日突然、妻に離婚届を突きつけられる。ショックのあまり、酒に溺れて迷い込んだ二丁目で、ゲイの美少年・悠嵩との運命的な出会いが訪れる。男性相手にチャットボーイをする傍ら、アニメ作家を夢見る悠嵩は、病に倒れた父親にカミングアウトできずに思い詰めていた。それぞれに大きな悩みを抱える二人は、互いを必要とし、支え合うかのように、戸惑いながらも惹かれ合っていく。愛し合いつつも、時に傷つけ合いながら、関係を深めてゆく二人。だが航平は、二丁目に集う様々な人たちとふれあうなかで、「自分の“性”とは、“愛”とは何か」について葛藤しはじめる。一方、悠嵩も元カレのアツシと再会し、最近までストレートだった航平とはどこかで相容れないことに気づいてゆく…。
 航平を演じるのが、台湾や香港、シンガポールなどで国際派俳優として活躍するジョーナカムラさん。また、原宿系モデルのジェンダーレス男子・こんどうようぢさんが悠嵩を演じています。ほかにも、WAHAHA本舗の梅垣義明さんがゲイバーのママの役で出演しています。

アスリート ~俺が彼に溺れた日々~ 
監督:大江崇允
2019|日本|89 分|日本語
(c)映画「アスリート」製作委員会
 

カナリア
7/13 13:30- S
7/14 20:30- S
★日本初上映

 アパルトヘイト下の南アフリカで、18歳のヨハンは徴兵制によって軍の聖歌隊に配属される。新しい仲間と共に過酷な訓練に耐え、ツアーで全国を巡るなか、ヨハンは宗教や軍隊の意義について自問し、自身のセクシュアリティとも向き合うことになる…。
 聖歌隊の美しい歌声と共に、芸術の力と個人の尊厳を描いた感動の青春ミュージカル映画。ほぼワンシーン・ワンショットで撮影されたカメラワークが見事、だそうです。

カナリア
監督:クリスティアン・オルワゲン
2018|南アフリカ|123分|アフリカーンス語、英語


マリオ
7/12 20:00- S
★上映前に、女子サッカー選手・下山田志帆さん登壇によるトークイベント有り

 スイスのジュニアチームで一部リーグへの昇格を目指すサッカー選手のマリオ。ある日、ドイツからストライカーのレオンが移籍してくる。ツートップとして息の合ったコンビネーションを見せる二人は、フィールドの外でも心を通わせ、いつしか恋に落ちていく。しかし噂がチームにも広がり始め、マリオは決断を迫られることになる…。
 プロサッカー界のホモフォビアを鋭く描いた本作は、スイス映画賞2018で主演男優賞・助演賞を受賞しています。

マリオ
監督:マルセル・ギスラー
2018|スイス|119分|スイスドイツ語、ドイツ語


1985
7/6 14:45- W
7/13 21:15- S
★日本初上映

 1985年のクリスマス、広告マンのエイドリアンはニューヨークからテキサスに帰郷する。心に重い秘密を抱えたまま、保守的で信心深い両親、年の離れた弟、高校時代のガールフレンドに再会するが…。
 エイズが流行しつつある時代を背景に、静謐なモノクロ映像で語られる感動の家族ドラマ。TVドラマ『GOTHAM/ゴッサム』のコーリー・マイケル・スミスが主演し、ヴァージニア・マドセン、マイケル・チクリスら実力派俳優が脇を固めています。

1985
監督:イェン・タン
2018|アメリカ|85分|英語


ソヴァージュ
7/6 18:30- W
7/14 15:50- S

 22歳の青年レオは街娼として小銭を稼いでいた。定住する場所もなく、次から次へとやって来る男たちに身体を差し出し、慰めを求める。そんなレオの孤独な人生は、同じ男娼として働く男に恋をしたことで転機を迎える…。
 長編処女作ながらカンヌ国際映画祭批評家週間2018 でプレミア上映された後、各国の映画祭を席巻した問題作。主演のフェリック・マリトー(『BPM ビート・パー・ミニット』)の繊細ながらも生々しい演技に目を奪われる作品。(レビューもご覧ください)

ソヴァージュ
監督:カミーユ・ヴィダル=ナケ
2018|フランス|99分|フランス語


トランスミリタリー
7/6 10:30- W ※U22特別優待
7/13 16:10- S
★日本初上映

 軍務中のトランスジェンダーの存在を長年無視してきたアメリカ軍。2016年、ついに国防長官から公式にトランスジェンダーの入隊受け入れ方針が発表される。その背景には、軍高官や政府機関と粘り強く対話を続けた4人のトランスジェンダー軍人がいた…。
 2017年、トランプ大統領はトランスジェンダーの従軍を禁止すると発言し、軍における当事者の立場は未だ不安定で、平等のための闘いは現在進行中です。そんな今だからこそ必見の一作です。SXSW映画祭2018長編ドキュメンタリー部門観客賞を受賞しています。

トランスミリタリー
監督:ガブリエル・シルヴァーマン、フィオナ・ドーソン
2018|アメリカ|92分|英語


QUEER×APAC 2019 〜アジア・太平洋短編集〜
7/6 16:35- W
7/14 11:30- S
★全作品・日本初上映

 アジア・太平洋地域の新作短編映画を紹介するプログラム。今年は「ビタースイート」をテーマに、ヴェネチア国際映画祭受賞作を含む5作品をセレクト。才能きらめく新進監督たちによる秀作をお楽しみください!

◼︎ブラックリップ
 密漁されたアワビを高値で売りさばく中国系移民ホン。ある日、アワビの供給元のダイバーを訪ねたホンは、そこでダイバーの恋人の男に出会い、二人の壊れかけた関係に気づく…。

監督:エイドリアン・チャレラ
2018|オーストラリア|15分|英語、北京語

◼︎ヒジュラーの恋
 インドでヒジュラー(「第三の性」の人たち)のコミュニティに属するラッジョ。町で見かけた女性にひと目惚れしたラッジョは、コミュニティと社会の両方において許されることのない恋に悩み…。

監督:ヴィシャル・ヴァサント・アヒレ
2017|インド|15分|ヒンディー語

◼︎ジェントルマン・スパ
 ゲイ向けマッサージ店で清掃員として働く青年ハオ。店の客カイと知り合いになったハオは、カイに水泳を教えてもらうことになる。次第にカイへの気持ちを募らせていくハオだったが…。

監督:ユー・ジーハン

2019|台湾|18分|北京語

◼︎最高のプレゼント
 男の子の服を着て男友達とつるむ少女イスフィ。親友ニタの誕生日が近づき、イスフィはニタを喜ばせるプレゼントを考える…。
 ヴェネチア国際映画祭2018オリゾンティ部門短編映画賞を受賞した作品。

監督:アディティア・アフマッド
2018|インドネシア|15分|インドネシア語、マカッサル語

◼︎帰り道
 下校中、見知らぬ男に胸をつかまれた女子高生ムニョンは、いつもの通学路を避けるようになる。親友ウンジェは様子のおかしいムニョンを心配するが、ムニョンは理由を話そうとしない…。

監督:オ・スヨン

2017|韓国|27分|韓国語


 ここで紹介した作品以外にも、様々な作品が上映されます。
 詳しくは、公式サイトをご覧ください。

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