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レポート:ピンクドット沖縄2019

9月1日(日)、第7回を数えるピンクドット沖縄2019が、新しい会場・琉球新報社ビルで開催されました。前夜祭「PINKDOT OKINAWA GALA PARTY」の模様と合わせ、レポートをお届けします。

レポート:ピンクドット沖縄2019

2019年8月31日(土)・9月1日(日)、沖縄の那覇でピンクドット沖縄2019が開催されました。今年は関連企画として、日本初のJALのLGBTチャーター便が羽田から那覇まで運航されて話題を呼び、土曜の夜には市内のクラブで前夜祭「PINKDOT OKINAWA GALA PARTY」が開催され、そして日曜のお昼から夕方まで、新会場となる琉球新報社ビル1階でピンクドット沖縄が開催されました。レポートをお届けします。(後藤純一)

 

PINKDOT OKINAWA GALA PARTY

 以前から「LoveBall」という名前で数々のLEGENDなゲイナイトが開催されてきた「Music Bar 100 ONE HUNDRED」で8月31日(土)、ピンクドット沖縄の公式前夜祭パーティである「PINKDOT OKINAWA GALA PARTY」が開催されました。
 
 22時頃、久茂地のヨーロピアンビルに到着すると、入り口に「pinkdot okinawa」と書かれたピンクの風船の飾り付けがあり、ここが会場だなとわかるし、歓迎されてるようにも感じました。
 エレベーターで4Fまで行くと、受付のカウンターがあり、会場に入って螺旋階段を下りるとフロアです(同じ階はVIPエリアになってました。シャンパンを開けて歓声が上がる、景気のいい音が響きわたっていました)



 MCは、沖縄でスタイリスト、デザイナー、タレントとして活躍しているスタイリスト、デザイナー、タレントとして活躍するDELIVAさん。ファッション関係の方だけあってたいへんオシャレ、しゃべりが達者、そしてキャラの濃さがスゴかったです(褒めてます)
 まず、ピンクドットで司会を務める狩俣倫太郎さん、ピンクドット大使の小泉伸太郎さん(OUT JAPAN)からご挨拶があり、早速ショータイムに突入。2階(フロアの上の階)にスポットが当たると、GOGO BOYSやGIRLSが次々に登場し、フロアに降り、バーカウンターやポールも使ってダンス、そして紙吹雪やテープ、風船、お札が大量に降って来るというバブリーな演出で、フロアのみなさん一気にテンションが上がってました。
 続いて、Chesanさんによるポールダンス・ショー。長身を活かしたダイナミックなパフォーマンスで、特にポールのてっぺんから一気に落ちて床ギリギリで止まるという技はスゴイと思いました(ギュッと止める力もスゴイですし、見えてないので感覚だけで距離を測ってるというのもスゴイ)




 それから沖縄が誇るドラァグクイーン、内地からのゲスト・クイーンによるショーが繰り広げられました。リンダさん&グランさんによるダンス・ショー、ドリアン・ロロブリジーダさん、ベビー・ヴァギーさん、そして大御所レスペランザさん(もともと名古屋でお店やパーティを主催されていましたが現在は沖縄で活躍中)という素晴らしくゴージャスなクイーンが次々と…この夜最も贅沢な時間となりました。
 今度は、本格的なエアリアル・シルクのパフォーマンス。吹き抜けになってて天井が高いハコだからこそできる技ですね。初めて見ましたが、これはスゴイなと、手が滑ったら大変…と、手に汗握る演目だなと感じました。
 続いて、Lilikaさんによるポールダンス・ショー。ポールは時々見る機会がありますが、この方は抜群に体が柔らかくてスゴい!と思わず拍手したくなるようなパフォーマンスでした。








 ステージの照明が再び明るくなり、「ボーイズ・コンテスト」がスタートしました。これは、会場からコンテスト出場者をつのり、会場の観客の投票で順位を決め、豪華商品(ホテル宿泊券、お食事券、ドンキホーテのグッズなど)が当たるというもので、出場者はピンクドットの関係者だったり、沖縄で有名なモデルさんだったり(FtMの方が2名、シークレットの方が1名、あとはノンケさん)、シャツを脱いでサービスしてくれるマッチョな方たちもちらほらいて、よく考えるとゲイのためにノンケさんが脱いでくれるってとてもイイことだと思い、拍手してました(次回はぜひガチムチな方もお願いします!)

 投票後、集計している間にドリアンさんが再び登場し(早朝のチャーター便から寝る間もなく大活躍なドリアンさん)、カフーリゾートなどラグジュアリー・ホテルの宿泊券その他豪華賞品を賭けたじゃんけん大会が行われました。全部で100人くらいいた中で10人くらいの方が豪華賞品をゲットしていましたが(なかなかの確率ですよね)、その中で見事1位で勝ち抜けてホテル宿泊券をゲットしてたのが、渋谷区のダイバーシティ推進課長の永田龍太郎さんでした(おめでとうございます!)

 最後に「ボーイズ・コンテスト」の結果が発表され、Chesanさんが優勝、シャツを脱いでサービスしてくれたマッチョくんがまさかの最下位という、なんとも「?」な結果でした(女性票が左右していたのかもしれません)
 気づけば日付も変わっていて、アトラクションは2時間超に及んでいました。パーティはその後もSaMMieさん(「LUV!」オーナーさん)、cin5さん(「沖縄LEGEND」等に出演)のDJで朝まで盛り上がりました。  
 
 

ピンクドット沖縄2019

 2019年9月1日(日)、よく晴れわたった青空の下、第7回を数えるピンクドット沖縄が開催されました。今回から会場を琉球新報社1階公開空地・エントランスホールに移し(これまでのテンブス前広場は騒音の苦情のためライブ等ができなくなったんだそうです)、昨年は安室奈美恵さんの巨大スクリーンや企画展で話題を呼んだ会場がピンク色に彩られ、21もの企業・団体のブースが所狭しと並び、ピンクのものを身に着けて集った3000名の来場者の方たちは、ステージ上でのパフォーマンスを楽しんだり、ブースを見て回ったり、また、ビル内のエントランスホールで展示された「OUT IN JAPAN」写真展を見たり、思い思いに楽しみました。






 
 11時、司会の狩俣倫太郎さん(琉球放送アナウンサー)とブルボンヌさんが登場し、ピンクドット沖縄2019の開会が告げられました。
 最初に、沖縄県子ども生活福祉部の上間さんが、玉城デニー県知事のメッセージを代読しました。沖縄県は(県の観光コンベンションビューローは初回から後援していたものの県としては)今回初めてピンクドットに後援しました。人間らしく生きることは全ての人に与えられた権利です、沖縄県はこれからも人権啓発に取り組み、性の多様性を尊重し、といったご挨拶でした。いっぺーにーふぇでーびる(本当にありがとう)というウチナーグチで締められ、拍手が起こりました。
 続いて、那覇市の城間市長が登壇しました。7年前、前東京プライド理事で研究者の砂川秀樹さんがピンクドット沖縄を立ち上げた際、当初から那覇市が共催し(後援を取るだけでも大変なのに、自治体がプライドイベントを「共催」するというのは歴史的な出来事でした)、2015年のピンクドットでは城間市長が性の多様性を尊重する「レインボーなは宣言」を行い、翌2016年には、那覇市は全国で5番目という早さで同性パートナーシップ証明制度を実現し、ピンクドットで第1号カップルの同性結婚式が行われ、感動を呼びました。そんな(かつて札幌のパレード参加者を感動させた上田市長のような「アイコン」とも言える)城間市長は、沖縄は暑いところですから、ついつい日陰を探して歩きますよね、でも、人生はぜひ、日の当たるところを歩いてください、という素敵な言葉から始め、同性パートナーシップ証明制度で27組が登録した(本当は30組ですが「離婚」したカップルや市外に転出した方もいらっしゃるとのこと)、那覇市が誰もが暮らしやすい街になることを目指すこと、国内外に性の多様性への理解の輪が広がること、などを語りました。
 それから、共同主催代表であるKPG HOTEL&RESORT(カフーリゾートホテルも運営する会社)の田中社長が登壇し、開口一番「元気があれば何でもできる!」(どこかで聞いたような…)とご挨拶し、協賛企業が昨年は約100社だったのが今年は130社に上ったこと、ノルウェー、デンマーク、カナダ、オランダの大使が祝辞をくださったり後援してくださったこと、ボランティアスタッフも50名以上に増えたことなどを教えてくれました。司会のブルボンヌさんは、昔は企業の協力などなかったけど、変化を肌で感じています、とコメントしていました。



 ここで沖縄のタレント・宮城姉妹(浅草サンバカーニバルで2位になったそう)のライブ・パフォーマンスが繰り広げられました。
 また、今年も浦添市の松本市長が登壇し、「あらゆる人がその人らしい幸せを追求できるよう、応援して行く」と語りました。松本市長は何年も前から浦添市民体育館で開催されるゲイのバレーボール大会に足を運んで開会の挨拶をしている、素晴らしくゲイフレンドリーな方です。2017年1月にはLGBT支援宣言を発し、市役所にレインボーフラッグを掲げ、現在、同性パートナーシップ証明制度導入に向けて動いています。
 そして、ピンクドット第1回開催当時から後援についてくれている一般財団法人沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB)の下地会長が、同団体の公式キャラクター・マハエちゃんの人形を持って登壇し(ブルボンヌさんの「腹話術かと思いました」というコメントに即座に「今日は調子が悪くてしゃべれないよ」と返していて、柔軟な方だなぁと思いました)、沖縄は誰にでも楽しんでもらえる観光地、IGLTA(国際ゲイ&レズビアン観光協会)にも加盟し、世界水準を目指します、と語りました。
 行政の方や政治家の方のお話ってどうしてもカタくなりがちですが、ピンクドットの場合は必ずしもそうではなく、飽きずに楽しく聞けます。まだまだご挨拶が続きます。
 パレードや映画祭をはじめ「日本で初めて」をいくつも実現してきたレジェンド・南定四郎さん、JTAの方、JAL沖縄支店長の方、中沢初絵さん(山咲トオルさんのお姉さん)、OUT JAPANの小泉さん、東ちづるさん、リンダさん、琉球大学の方、松中権さん、レスリー・キーさん、永田龍太郎さん、沖縄の医療法人の方など「ピンクドット大使」のみなさんがご挨拶しました。




 
 その後12時過ぎからは、Nanaironoteの方々のライブが行われました。透明感のある爽やかな歌に、会場のお客さんもすっかり癒されたかと思います。
 そしてゲスト・クイーン、ドリアン・ロロブリジーダさんが全身ピンクの衣装で登場し、「お祭りマンボ」などを生歌で披露し、会場のみなさんを釘付けにしていました。ライブ後は、地元のお花屋さん提供のピンク色のカーネーションを会場に配ったり、お客さんと一緒に写真に写ったり、大活躍でした。(今回は沖縄のドラァグクイーンのみなさんのショーがなかったので、寂しかったです)
 ここで清貴さんが、バックコーラスの方たちの中に飛行機の関係で帰らなければいけない方がいるということで、急遽、リハーサルライブを行いました。
 それから協賛企業インタビューが行われ、LGBT総合研究所の森永さんやOUT JAPANの小泉さん、それから、今回、沖縄県香港事務所が招聘した香港のゲイのインフルエンサーのお話などもありました。
 14時からは、「同性婚の実現について」と題したシンポジウムが行われ、台湾での同性婚実現に貢献した活動家の呂欣潔(ジェニファー・ルー)さんや「Marriage for All Japan(同性婚訴訟)」の弁護団の一人である寺原弁護士や原告のゲイカップルの方たちなども登場し、台湾の成功例を聞きつつ、なぜ同性婚が必要なのか、日本で同性婚が認められるようになるためにはどうしたらよいか、といったことが話し合われました。




 
 ピンクドットもいよいよ後半(終盤)です。
 改めて清貴さんのライブが行われ、「WE ARE ONE」や平昌五輪応援ソング「MY VICTORY」、そしてOUT IN JAPANの映像で使用されて感動を呼んだ「虹の向こうへ」が披露され、通りすがりのファミリーなども含め、大勢の方たちが聴き入り、楽しんでいました。
 再び協賛企業インタビューの時間。今度は、ゲイであることをカミングアウトしているエクスペディア日本法人代表のマイケル・ダイクスさんや、シティバンクの方、丸井沖縄事務所の方などがご挨拶しました。
 そしてそして、今回のメインゲスト、沖縄が誇るブロードウェイのスター、高良結香さんの登場です。高良結香さんは2001年からブロードウェイの『Mamma Mia』『太平洋序曲』『コーラスライン』『RENT』などに出演してきた方で、映画『ブロードウェイ♪ブロードウェイ コーラスラインにかける夢』にも出演しています。『コーラスライン』をご覧になったことがある方は、ブロードウェイ・ミュージカルに出演することがどれだけ過酷でスゴいことか(しかもアジア人で)ご存じだと思いますが、その世界最高峰のステージで活躍してきたレジェンド・高良結香さんが、このピンクドットのためにNYから帰国し、歌ってくれたというだけでも素晴らしいのに、ステージから降りて会場のお客さんたちの真ん中で歌ったり、「今日はみんなに愛と光を与えられたらと思ってライブに臨んだけど、そうじゃない、みんなの存在が愛と光なんだって気づいた」という素晴らしすぎるコメントをくださったりして…そんな高良さんの姿に心を動かされたのでしょう、通りすがりのおばぁがステージに近づいて来て高良さんにチップをくれたのですが(1000円札2枚も。1枚じゃないところに気持ちが表れてる気がします)、それを見て、ずっとステージの真ん前にいた(おそらく知的障がいをお持ちの)方がカバンからアメを取り出して高良さんにあげるという場面もあって、いろいろ感動させられました(心で泣きました)
 最後に、今年もブースを出していた協賛企業の瑞泉さんの発案で、今年初の試みとして、泡盛を1年間熟成させ、来年のピンクドットで振る舞い酒にするために、5人の方が一升瓶を持って泡盛を甕に注ぐという「酒合わせの儀」が行われました。最初に主催者の荒井さん(カフーリゾート)と高倉さん(パームロイヤルNAHA)が注ぎ、その後、ジェニファー・ルーさん、リンダさん、高良結香さんが注ぎ、南定四郎さんが甕にフタをしました。来年ピンクドットに参加する方はぜひ、この「酒合わせの儀」で作られた特別なお酒をもらってくださいね。
 最後に、記念の集合写真を撮った後(以前のように高い所から「ピンクの点」になるような写真は撮れなくなってしまったのですが)、みんなで一斉にピンクや白のバルーン(環境配慮型風船)を空に放ち、フィナーレを迎えました。







 
 なお、琉球新報社のエントランスホールでは、「OUT IN JAPAN」写真展が開催されていたほか、渋谷区のダイバーシティ推進課の永田さんが、行政の方向けに講演を行ったりもしていました。
 テンブス前広場は直射日光が容赦なく降り注ぐ場所でしたが、今回の会場は屋根があり、カンカン照りでも雨が降っても(実際、今回も雨がザーッと降る瞬間があったのですが)大丈夫、というところがいいなぁと思いました。
 イベントが終わって、空を見上げると、なんと、雨上がりの空に虹がかかっていて、感動しました…(沖縄には20年近く通っていますが、虹を見たのは初めてかも。神様の祝福を感じました)




★ピンクドット沖縄2019とPINKDOT OKINAWA GALA PARTYのフォトアルバムはこちら

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