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レポート:青森レインボーパレード2020

6月7日(日)、第7回を数える青森レインボーパレードがオンライン開催されました。車がパレードコースを「中継」しながら「フロート」が出たり沿道で応援してくれたり、はたまたねぶたの踊り方や県内の観光ガイドがあったりと、たいへん盛りだくさんで楽しいオンラインイベントでした。レポートをお送りします。

レポート:青森レインボーパレード2020

 7年前、たった3人でスタートした青森レインボーパレード。お世辞にもLGBTフレンドリーとは言えなかった土地で、3人は逃げるようにして駅前の商店街を歩いたといいます。しかし年々、参加者がどんどん増えていき、昨年は最多の208人を記録しただけでなく、県内9市町からお祝いメッセージが届くというエポックメイキングなパレードになりました。

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 今年はパレードの日程は早々に決まっていたものの、新型コロナウイルス感染拡大防止への配慮から、4月上旬、オンライン開催へと移行することがアナウンスされていました。
 
 そうして2020年6月7日(日)、第7回を数える青森レインボーパレードがオンライン開催されました。
 青森県知事をはじめ県内14の自治体から応援のメッセージが寄せられ、RAB青森放送のラジオ番組「GO!GO!らじ丸」が中継車を出し、青森市の駅前の商店の方々が応援してくれたり、全国40の団体やお店からフロート(バナー)が集まり、たくさんの方たちのメッセージを読み上げながら、県内の観光スポットをレインボーベアとともに回る映像などを楽しみ、という、盛りだくさんで楽しいパレードになりました。参加者(バーチャル集合写真用の写真を送ってくれた人)は343名にのぼり、視聴者数は1700を超えています。

↓こちらからご覧いただけますので、よかったらご覧ください。
第7回青森レインボーパレード

* * * * * *

 以下、詳しいレポートをお届けします。
 オープニングで、「こんな大変な時にパレードやるの?という声もあったが、大変だからこそパレードが必要なんだ」という葛藤や、「どうしたら楽しんでもらえるか、模索しながら今日を迎えました」という正直な気持ちが綴られ、また、Black Lives Matterへの連帯なども表明されました。
 主催者の翔子さん、おかっちさんからご挨拶がありました(お二人はカップルで、2014年、まだ自治体の同性パートナーシップ証明制度や同性婚裁判なども無かった時代に、青森市役所で婚姻届を提出し、新聞などにも大きく取り上げられ、地元のLGBTへの意識を変えていくきっかけをつくりました。日本の同性婚運動のパイオニアです。なお、翔子さんは現在がんと闘っています)
 そして、おもむろに津軽弁バージョンのラジオ体操が始まりました(「左さ3、4、右のほうさも7、8、体回すべ、鼻水つまってねが〜?」みたいな。最高でした)
 
 それから、県内の自治体の首長さんたちから寄せられたメッセージが読み上げられました。
 最初は三村申吾青森県知事からのメッセージです。
「青森レインボーパレード2020の開催を心からお祝い申し上げます。今年度は、新型コロナウイルスの影響により、例年通りの開催が難しい中、県内外からご尽力されたみなさまに敬意を表します。社会の中で個人の生き方の違いを認め、尊重し合うことにより、性的マイノリティの方々への理解を深めることが重要と考えます。今後とも、マイノリティの方々、困難を抱える方々が安心して暮らせる社会を目指して取り組んでまいります」
 それから弘前市長、八戸市長、五所川原市長、むつ市市長、外ヶ浜町長、藤崎町長、今別町長、大間町長、平内町長、三戸町長、おいらせ町長、鯵ヶ沢町長のメッセージが読み上げられました。決して通り一遍ではない、きっとご自分で考えていらっしゃるのだろうなぁと思われる、素晴らしいメッセージも多々あり、胸が熱くなりました。
 なお、野辺地町は、メッセージがパレードに間に合わなかったのですが、これから啓発の冊子を作ります、パレードを応援しています、との連絡があったそうです。
 青森県全40自治体のうち14自治体から応援があったこと、本当にスゴいことだと思います。
 自分が住む(あるいは出身の)自治体からの応援メッセージに感激した方も、少なからずいらしたことでしょう。
 
 それから、ねぶたで「はねと」という浴衣を着て鈴をつけて跳ねるような踊りをする人たちがいるのですが、この「はねと」のレッスンがあり、昨年のパレードの映像や、青森の浜辺や港、八甲田山でレインボーフラッグを振っている映像が映し出されました。
 「GO!GO!らじ丸」というRABのラジオ番組が(いつも取材してくれているそうです)中継車と称してフロートを出してくれて、青森駅前からパレードコースに沿ってゆっくりと街頭の映像が流れ(映像自体は主催者側で撮ったものだそう)、パレードがスタートしました。
 東京レインボープライドやさっぽろレインボープライドをはじめ全国のたくさんのLGBTの団体やお店が送ってくれた画像をフロートとして映し、また、沿道のお店(お寿司屋さんやカレー屋さん、雑貨屋さんなど)が応援してくれている画像、寄せられたメッセージも紹介されました。途中、寄り道(ワープ)して浅虫温泉や岩木山など県内の観光スポットなども紹介されました(どれもレインボーベアが映っています)




 約1時間の工夫が凝らされた内容盛りだくさんなパレードが終わったあと、さらにメッセージが読み上げられました。
「あずましぐ(津軽弁で「気持ちよく」という意味)生きられますように」
「年取ったけど、オンラインなら参加できる」
「遠くても参加できるのがうれしい。ブカレストから、みんなの幸せを願っています」
「青森のパレードを偶然見て、ぼんやりしていた何かに区切りをつけることができました」
「大切な故郷。応援しています」
「レインボープライドは、問題提起。「社会通念」による暴力をやめよう」
「名古屋地裁の判決に断固抗議します」
「また集まって行進したい」
「世界中で同性婚できるようになったら、世界が素敵なものに生まれ変わると思います」
「乗り越えなければいけない頂は多いけど、一緒に歩いていきましょう」
「開催おめでとうございます。だれもが自分らしく生きられる社会に。楽しく元気に。多様性はパワーです(福島瑞穂さんより)」 
 
 最後に、スタッフの方々が、感想やお礼の言葉を述べました。
 「いつかTRPにねぶたフロートを出したい」と話していて、それは楽しみ!と思いました。
 
 初のオンライン開催ということで、何をしたらよいのだろうと悩んだと思うのですが、何ヶ月もかけて準備してきたんだなぁということが伝わってきて(あらかじめ録りだめた素材がふんだんに使われていました)、手作り感満載で、あったかくて楽しかったです。全国のLGBT団体、そしてたくさんの自治体や企業や町の人たちが応援してくれていたのも、寄せられたメッセージも、胸熱でした。遠方にいながら青森のいろんな景色を見れたのも、きっといい観光ガイドになったと思います(青森出身の方にとっては、懐かしい光景だったことでしょう)
 
 青森のパレードは、地方の、LGBTへの抑圧が強いような街であっても、たった3人からでもパレードを始められるし、毎年続けていけば、参加者がどんどん増えていったり、ここまでスゴイことができるという「小さな奇跡」をリアルに体現し、全国の小さなパレードを勇気づけるものになってきたと思います。「故郷を帰れる街にしよう」というメッセージも、多くの当事者の共感を呼んでいます。来年は、また青森駅前に集まって開催できるようになるといいですね。
 

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