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レポート:TRP2024(2)土曜のプライドステージ
2024年4月21日まで代々木公園イベント広場で東京レインボープライド(TRP)が開催されました。過去最大規模で盛り上がり、「“性”と“生”の多様性」を祝福する実りの多い豊かな祭典となりました。5回に分けてレポートをお届けします。Part2は20日土曜日のプライドステージです
TRP2024レポートPart2は、4月20日土曜日のプライドステージの模様です。
この日の出演者はほとんど全組、撮影禁止でしたので、主催者から提供していただいた写真が多めです。
(取材・文:後藤純一)
土曜日のプライドステージ
前日の荒れ模様(強風)とは打って変わって20日土曜日は穏やかな快晴。汗ばむ陽気で絶好のイベント日和となりました。
プライドステージ(代々木公園イベント広場の野外ステージ)では、ベビーヴァギーさん(ドラァグクイーン・タレント)と山田なつみさん(TRP共同代表理事)がMCを務め、12時から18時頃までステージパフォーマンスが繰り広げられました。どのパフォーマーさんも素晴らしくて、何度も目がうるんだ瞬間がありました。
司会のお二人が教えてくれて「へええ」と思ったのですが、ステージ上に(ゲートにも)設置されたいろんなかたちの箱は、30個あって、パレードの30年をイメージしたデザイン(インスタレーション)なんだそうです。
12:15から行なわれた「PRIDE CHOIR TOKYO」の合唱。初めに河津さんと北村さんが挨拶。それから(昔からの友人がピアノ伴奏だったのでちょっとびっくりしたのですが)『RENT』の名曲「SEASONS OF LOVE」のイントロが流れ、その瞬間、何度となく代々木公園のステージで『RENT』のキャストが歌ってくれたことや、四谷区民ホールの『VOICE』で歌われたときのこと(私も参加してました)、いろんな思い出が一気に去来して…30年を記念するTRPの最初のパフォーマンスが「SEASONS OF LOVE」だったことの感慨もあり…ジーンときました。メンバーのみなさんは、かしこまって並んで入場してくるのではなく、2人とか3人とか、友達どうし笑いあったりしながら連れ立って入場し(素敵演出)、みなさん揃ったところで歌が始まりました。続いてピンクドット沖縄でも歌われた、心に沁みる森山至貴さんのオリジナル曲。最後に、昨年の金沢レインボープライドでDJ五十嵐ゆりさんがかけていてとても励まされたというエピソードから歌うことになったABBAの「ダンシングクイーン」が披露されました。生まれ持ったセクシュアリティを(紆余曲折や苦労はあったにせよ)恥じることなく肯定し、喜びに変え、生き生きと全身で表現する様が本当に素敵でした。拍手!
続いて、ジェンダークィアだったりミックスルーツだったりプラスサイズだったりなメンバーで構成されZ世代を中心にTikTokやYouTubeで人気沸騰中の午前0時のプリンセス(ゼロプリ)と、ご存じ2すとりーとのみなさんが登場。今年の「変わるまで、あきらめない。」というテーマのもと、東京レインボープライドをともに盛り上げ、次世代へバトンをつなぐ存在として「TRP2024 公式YOUTH PRIDEアンバサダー」に就任しました。ゼロプリのみなさんは昨年もTRPに参加していたそうで、「いつかあのステージに立ちたいね、と話していたので、夢がかなってうれしい。会場にお越しいただいたみなさんには自分がいちばんかっこいい、かわいい、と自信をもって楽しんでほしいです!」と笑顔でコメント。2すとりーとのお二人は「ありのままの自分で輝きながら会場を回ってくださいね!」と参加者に向けてメッセージを送りました。
長かった髪をバッサリ切ってブリーチした素敵なヘアスタイルになった中村中さんが颯爽と登場し、ギターの弾き語りを始めました。永遠の名曲「友達の詩」を(たぶん何千回も歌っていることでしょうが)思いを込めて歌い、一気にオーディエンスの心を掴んだあと、「小豆島に住んでる友人の話です。つきあってるパートナーがいて、いつか結婚式を挙げたいと言っていたのですが、結婚もできないし世間にも認められない、この関係に未来はあるのかと思い悩み、別れてしまった。結婚が認められていたらつなぎとめられたはず…この国が二人の未来を奪っている。夢見る自由を」と語り、そんな友達に捧げる歌を歌ってくれました。八代亜紀さんに提供した「命のブルース」も、沁みた…というより、魂を鷲掴みにされた気がしました。「カントリーロード」でさえ、中さんが歌うと深い味わいのプロテストソングのように響きました。掛け値なしに素晴らしいライブでした。
Shellyさんと小島慶子さんが登場しました。生小島慶子さんは金沢のパレードなどでお会いしたことがありましたが、生Shellyさんは初めて。「Proud Ally」と書かれたTシャツを着てたのも素敵でした。Shellyさんは「頑張らなきゃいけないのは当事者じゃなくてアライのみんななんだよ〜」「ずっと応援することが大事」「選挙に行きましょう。同性婚賛成に人に投票して」「ぜひ自分事にしてほしい」と語りました。小島慶子さんは「30年前、パレードがあったのは知らなかったけど、性的マイノリティのことを知り始めました」「変わるまで。当たり前に生きていけるように。不安なく自己紹介できるように」「いろんな方法がある。半径5mから変えていこう」「同性婚を実現しよう」と語ってくれました。
星屑スキャットのみなさんが今年も歌ってくれました。カラフルで本当にオシャレな衣装に身を包んだ御三方の、貫禄のライブです。振付も素敵な「ご乱心」からスタートし、MCをはさんで「星屑スキャットのテーマ」「青い珊瑚礁」をメドレーで披露し、オーディエンスを魅了しました。
昨年もステージを大いに盛り上げてくれたENVii GABRIELLA(エンガブ)のみなさんはゴールド+ブラックのゴージャスな衣装で登場し、オネエのプライド(意地)をラップでアグレッシブに表現した「PAY ME」、高揚感あるEDMな「High Heels」、「生まれついたこのセクシャリティ」という歌詞がジーンとくる「Finally Found You」などを披露。MCでタカシさんは「ホント、ゲイでよかったと思ってる。わたしがゲイじゃなかったらENVii GABRIELLAを作れてないし、みんなとこうやって楽しめてないからです」と語りました。そして最後に有名曲「豪華ネェサン」で盛り上がりました。
みんな大好き清水ミチコさんのライブが始まると会場が超満員に。「イマジン」に乗せて桃井かおりさんや井上陽水さん、森山良子さん、美輪様、清志郎さんと次々にモノマネを披露したり、どんな悪事もいいメロディに乗せると感動的になる!?と言って中島みゆきさんの名曲「ヘッドライト・テールライト」をモノマネしながら裏金問題を風刺したりして会場は爆笑の渦に包まれました。そんなみっちゃんは最後に、「TRPには以前も出演させていただきましたが、その時よりもずいぶん大きくなりましたよね。それはやっぱりスタッフの方たちの努力のおかげだと思うんです。そんなスタッフのみなさんに捧げます」と言って、ユーミンの名曲「NO SIDE」を歌ってくれて…思わず感動させられました(モノマネなのに)。心からの拍手を送りました。毎年出てほしいです。
東ちづるさんは、オランダに行ったときに現地の方に誘われて同性結婚式に参加する機会があって、式に参加した行政の方が「テーブルは、それぞれ違う形の脚で天板を支えている」と話していたのが素敵だった、同性婚への反対の運動も予想されたが、何もなく、ただ幸せな人が増えただけだった、これは人権だよね、と思った、というお話をしました。そして、『私はワタシ ~over the rainbow~』に続いて映画を撮った、これだけ世の中がLGBTQフレンドリーになっているのになぜ芸能界は変わらないのかというテーマのコメディだと教えてくれました。6月16日に映画の上映+講演のイベントがあるそうです。
そして今回、大トリとして大黒摩季さんがTRPに初登場(以前公式クラブイベントには出てくれたことがありました)。たぶんレインボープライドのために特別に作ったのでしょう、レインボーカラーをあしらった衣装+ヒールで(お客さんに「ほら」って靴を見せてたので、きっとそうだと思います)、「あなただけ見つめてる」をはじめ次々にヒット曲を歌ってくれました。そして「今が私の人生でいちばんカラフルだよ」「宝物を持ってない人なんていないんだよ」「もしいじめられたらマキ姐に言いつけて。あたしタイマンは強いから」「今じゃもう差別してるほうがマイノリティになってきたよね。でもね、彼らのことも許してあげてください」といったマキ姐らしいMCで盛り上げ、「ら・ら・ら」を全員で手を振りながら合唱し、最後にドラァグクイーンやキャストのみなさんもステージに登場し、(「ちょっと待って、お水飲むから」と言ってバビ江さんにマイクを渡すという無茶ぶりもしつつ)「IT'S ALL RIGHT」を歌い、最高に楽しかった一日を締めくくってくれました。
ライブの最中、曲の間で少し静かになったときに、Campy!barのクイーンさんの「ハッピープライド!」と叫ぶ声や、9monstersのブースの鐘が聞こえてきたりしたのもTRPらしい風情で、思い出になりました。
大黒摩季さんのライブがちょうどサンセットの時間で、だんだん日が暮れてきて、ステージのライトが輝いて、結構暑い日だったけど、ちょっと涼しくもなってきて。そんななかで、全員で手を振りながら「らら〜らら〜ら〜らら〜ら〜やっぱり〜今日も明日もあなたに〜逢いたい〜」って合唱した、あの一体感と多幸感あふれる光景を一生忘れない、って思いました。本当に幸せな一日でした。
こんな素晴らしいライブやトークを無料で一日中楽しめるなんて、最高ですよね。主催のみなさん、ボランティアスタッフのみなさん、そして快く出演してくださったみなさんや、協賛してくださったみなさん…TRPに関わるすべてのみなさんに感謝したい気持ちになりました。
INDEX
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- 特集:新宿の街へ出よう
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- レポート:「work with Pride 2024」カンファレンス
- レポート:やまがたカラフルパレード
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- レポート:レインボーフェスタ!2024(2)
- レポート:レインボーフェスタ!2024(1)
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- 特集:2024年11月の映画・ドラマ
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