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レポート:GLOW UP! ラガンジャ・エストランジャ東京公演
ラガンジャ・エストランジャやタイ・日本のドラァグクイーン、そしてクリスタル・ケイさんが出演したAiSOTOPE LOUNGEでの夢のようなパーティ「GLOW UP!」のレポートをお届けします
こちらのニュースでお伝えしたように、「GLOW UP!」はドラァグクイーンをこよなく愛する女性がタイのクイーン・エリスタから連絡を受け、ラガンジャ・エストランジャが(アジアツアー「Body Reveals Tour」の一環でタイでの公演が先に決まっていて)訪日を希望していると聞いたことから「日本でショーをしたいというラガンジャの希望を叶えたい! ラガンジャの素晴らしいパフォーマンスを間近で観られる機会を作って多くの人たちに楽しんでほしい!」という思いをつのらせ、友人たちとともに初のイベントオーガナイズを決意し、クラファンを立ち上げ、開催したイベントです。アイソの方も彼女たちの思いや熱意に共感し、Crystal Kayさんの出演も実現し、なんとも豪華な、夢のようなパーティになりました。レポートをお届けします。
(取材・文:Junchan)(撮影:池田花梨)
11月22日(金)、ひさしぶりに朝までAiSOTOPE LOUNGEにいる覚悟でしたので、仮眠をとってから二丁目に向かいました(沖縄っぽいかも)。22時半頃アイソに着いたのですが、何十人もの方が列を作って入場待ちしていました。
中に入ると、フロアはいい具合に混んでいて(踊れないくらいギュウギュウでもなく)、会った友達と乾杯したりしているうちに、最初のショー(ダンサーさんたちのパフォーマンス)が始まり、その後、マラージュさんのMCが入り、日本のクイーンさんたちのショーが始まりました。正直、ほとんど知らない方ばかりだったのですが、スゴいクオリティの高さで、「二丁目の若手クイーンってこんなにスゴいんだ…」と感嘆させられました。
トップバッターはクリトリア・ジョローさんの「ファッションモンスター」ショー。きゃりー的なKAWAIIで勝負するのって意外と難しいと思うのですが(本家に負けがちなので)見事にそれをやってのけた感。スタイルのよさも光ってたと思います。
サバージュさんはアギレラの「Reflection(From "Mulan" 1998)」で美しく魅せてました。
マラージュさんはディルドをフル活用(ディルドを取り出して見せたり、顔を叩いたりはよくあるのですが、本当にしゃぶる人はそうそういないと思いました)。若い頃の自分を見ているようで、とても親近感を覚えました。
キラキラさんは定番のヨディスコ(カイリーの「Your Disco Needs You」)。途中のフランス語のしゃべりのところで辞書を引いていたのがウケました(その後の展開も素敵でした)
私が今回最も惹かれたのはギャビーギャビーさんです。シーアの曲でマディ・ジーグラーばりに会場を走り回り、のたうち回り、痙攣し、シーアの世界観の再現に果敢に挑戦してました。拍手。
24時頃、HOMOLANDのみなさんがダンスを披露。曲はみんな大好きILLITの名曲「Magnetic」。フロアから「かわいい!」との声が上がってました。
続いてタイのクイーンさんが登場しました。今回のイベントの立役者であるELISTAはゴージャスさの中にも下ネタをまじえたプロっぽいショーで魅了。そして、世界広しといえどもこんな巨体のクイーンはなかなかいないだろうなと思わせるTOO CALDERONEは「Die With a Smile」のMVのレディ・ガガに扮し(個人的に「Die With a Smile」すごい好きだったので、うれしかったです)、迫力のパフォーマンスを披露しました。
そして!いよいよ!本日の主役!ラガンジャ・エストランジャが登場! フロアから黄色い歓声が上がり、チップが飛び交うなか、ラガンジャは少しずつ衣装を脱いでいき、最終的に乳首と局部を隠しただけの姿になりました。MCでは、トランジションには不安があったし怖かったけど(アメリカは今トランスジェンダーへの差別やヘイトがすごいので)、手術を終えて念願の女性の体を取り戻せて、そのことを誇りに思うし、こうしてこの場に来ることができて本当にうれしいです、みんなありがとう!と語り、フロアからあたたかな拍手が送られました。
NAWOTOさん、TAIGAさん、YUHEIさん、 SHOICHIさんによるセクシーなGOGOショーもありました。ドラァグショーを観に来たレズビアンの友人が、生まれて初めてGOGOを観たそうで「どうしたらあんなにムキムキになれるの?」って聞かれました。新鮮だったようです。
1時からは、スペシャルゲストのクリスタル・ケイさんが登場。ライムグリーンの衣装が美しく。でも「クリ姐さん!」のかけ声にフレンドリーに応えてました。大ヒット曲「恋におちたら」「Kiss」を披露し、そして「Boyfriend -part II-」を歌ってくれて、もう本当に、感激でした。泣きました。最後にMVがリリースされたばかりの新曲「Love Myself」を歌ってくれました。12/21にZepp Yokohamaで25周年記念ライブがあるそうです。
熱気冷めやらぬなか、再びタイのクイーンのショーが始まりました。ELISTAとTOO CALDERONEに加え、『グレイテスト・ショーマン』のヒゲの女性が月影千草に扮したようないでたちの巨体のクイーン・Thammachad(TikTokですごく人気だそう)も登場し、ドラァグ界のクラシック「Ain't No Mountain High Enough」や「It's Raining Men」「Hot Stuff」「Lady Marmalade」をメドレーで披露。次々テンポよく切り替わって飽きさせないショータイム。プロフェッショナルを感じさせました(ちなみに「It's Raining Men」はウェザー・ガールズという巨体の女性2人組の曲なので、彼女らがそれをやるとオチになるというわけです)
2時過ぎには再びGOGO BOYSによるショーがスタート。この時間は法被&六尺という衣装で、外国人のゲイの方がとても食いついてました(チップが飛び交ってました)
ラガンジャは日本のファンのために大番振る舞いでショーをたくさんやってくれました。すごいピンヒール履いてるのにとんでもなく足を高く上げてからのディップ(床に倒れこむヴォーグ・フェムの技)とか、本当にラガンジャだからこそのパフォーマンスで、拍手モノでした。
興奮も最高潮に達した頃、全員出演のスペシャルショーが行なわれました。タイの3人のクイーンとラガンジャがコラボして発表した「Don't Kill The Vibe」という曲で、日本のクイーンさんたちもあとで登場し、ちゃんと振付を合わせていてスゴいと思いました。
ショー後のMCでは、あまりにも華やかな舞台の写真撮影タイムも設けられました。主催したみなさんがステージに上げられ、拍手が送られ、ラガンジャやELISTAとハグしたりも…感動的な雰囲気になってました。
そして3時過ぎに日本のクイーンによる最後のショータイムが行なわれました。
サバージュさんは品よく、美しく。マラージュさんは前半とは打って変わったダンスをメインにしたクールなショー。ジェシカさんは綺麗めかと思いきや、なかなかにダイナミックなショーでした。クリトリアさんは異形の者の悲しみを表現した、ファンタジックで芸術的なショーを披露しました。ギャビーギャビーさんの「Applause」ショーは、裸足で登場したあとブーツを履くという斬新さで、でも履くのが間に合わなくて(みんな手拍子で応援)片方だけでランウェイを歩き、舞台から落ちたりという破天荒さが素晴らしかったです。キラキラさんの「Supernatural」ショーは、バックダンサー(トランス男性の山口颯一さんとか。ダンスは初めて観ましたが、キレッキレでした)もカッコよく、見事にショーアップされた、フィナーレにふさわしいショーでした。
MCでマラージュさんも言ってましたが、ドラァグのショータイムの最中に(外国人の方から)チップが飛び交ったのはちょっと新鮮でした。
たくさんの素晴らしいドラァグのショーの数々、GOGOショー、そしてクリスタルケイさんのライブと、あまり間をあけずに次々にショーが観られて、お得感と満足感がありましたし、本当に楽しかった!です。DJもドラァグイベントを意識してたりイマドキだったりオシャレだったりで、とてもよかったです。
ラガンジャも「2回目ができるようにみんなハッシュタグをつけて宣伝してね!」と言ってましたが、2回と言わずぜひこんな素敵なパーティが続いていってほしいと思いました。
主催の方たちの思いが結実した、素晴らしいイベントでした。願い、行動すれば、夢は叶うのです。ラガンジャもMCで「人には優しくしましょう、それはきっとあなたに返ってくるから」と言ってましたが、主催の方たちのドラァグ愛やひたむきさに触れた二丁目ピープルの優しさが、この素晴らしい一夜をかたちづくっていた気がします。お客さんもあたたかったです。
『OPULENCE』に出演してる方たちもそうですが、こんなハイレベルな若手のクイーンさんがたくさんいるということにも驚きを禁じえませんでした。層の厚さをひしひしと感じます(数えるくらいしかクイーンがいなかった90年代に好き勝手やってた人としては、本当に…隔世の感を覚えます)。そのうち海外に進出するんじゃないかと思ったり。というか、ぜひそうなってほしいですね。
MCで「ここに来るの初めての人?」って聞いたら結構たくさん手が挙がってました。ラガンジャをきっかけに二丁目に初めて来られた方もいらしたんですね。あと、見たところビアンの方も結構いらっしゃいましたし(フロアでキスしてる女性二人を見ました)、いろんな方たちが楽しめるハッピー空間だったなぁと。とてもいい夜だったと思います。
朝帰りして、体は疲れてるはずなのに、「ドラァグショーでしか得られない養分」をたっぷり吸収して、幸せの素がたくさんチャージされたように感じました。ありがたいです。このイベントを実現してくれた方たちに感謝です。
INDEX
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- 特集:年越しカウントダウンイベント 2024→2025
- 「結婚の自由をすべての人に」九州訴訟二審・福岡高裁判決の意義
- レポート:ピンクドット沖縄2024
- レポート:GLOW UP! ラガンジャ・エストランジャ東京公演
- レポート:高知にじいろパレード
- レポート:エイズ学会2024(3)
- レポート:エイズ学会2024(2)
- レポート:エイズ学会2024(1)
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- 特集:2024年12月の映画・ドラマ
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- レポート:「トランスジェンダーを含むLGBTQ+差別に反対する映画監督有志の声明」掲出プロジェクトに関する会見
- 特集:新宿の街へ出よう
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- レポート:みやぎにじいろパレード2024
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- 01.17しゃぶしゃぶガールズ
- 01.18令和のぺ祭 -順平 BIRTHDAY PARTY-
- 01.18GLOBAL KISS