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レポート:Tokyo Pride 2025(4)2日目のステージ

東京では初のプライドマンスの開催となった「Tokyo Pride 2025」が7日・8日、代々木公園イベント広場で行なわれました。2日間合わせたのべ動員数は過去最高の約273,000人に上り、8日のプライドパレードにはおよそ1万5000人が参加し、「Same Life, Same Rights」のテーマの下、渋谷や原宿の街を行進しました。2日目のレポートをお届けします

レポート:Tokyo Pride 2025(4)2日目のステージ

 8日(日)の天気は曇り。前日のように強い日が差すこともなく、雨も降らず、長時間過ごすにはちょうどいい感じの天候でした(日焼けはお肌の大敵ですよね)。この日はプライドパレードが行なわれるということもあってか、前日よりもさらに早い時間からたくさんの方たちが会場に来られていました。


プライドステージ前半

 11時からプライドステージのイベントがスタートしました。
 MCはご存じベビー・ヴァギーさんと、午前0時のプリンセス(ゼロプリ)のみなさん。元気よくハッピーにご挨拶されたのですが、その後パレードの準備のために出発地点に向かうということで速攻ステージを去り、共同代表のお二人がMCを引き継ぎました。
 そして、各党代表の方の挨拶が行なわれました。(ちなみに、他の演目のときはそういうことがなかったのですが、プレス用の6、7人が乗れるヤグラがいっぱいで、下で撮影しました。それだけ世間のメディアの関心が高かったんですね)

 超党派LGBT議連の事務局次長を務める自民党の牧島かれん議員は、私たち超党派でLGBTQのことを進めてきました、みんなが生きづらさを感じない幸せな社会を目指します、といったお話をされました。
 立憲民主党の辻元清美議員は、「結婚の自由をすべての人に」訴訟、最高裁まであと一歩ですが、立法府が一刻も早く法制化すべきです、立憲民主党は何回も法案を出してきましたが、審議されていません、この後3回目の提出をしたいと考えています。選択的夫婦別姓制度と併せて実現を、幸せになる人の数を増やしましょう、と語りました。
 日本維新の会の金村りゅうな議員は、今回初めて参加しました、当事者の声がしっかり届くようにやっていきたいと思います、と語りました。
 国民民主党の森ようすけ議員は、「結婚の自由をすべての人に」訴訟について、高裁で違憲判決が出ています、最高裁まで待てません、65歳の原告の方もいらっしゃる、これは政治の責任です、と語りました。
 公明党の谷合正明議員(超党派LGBT議連事務局長)は、公明党は、人権を擁護し、誰もが安心して暮らせる社会を目指します、先日、パワハラ防止法案でSOGIハラについての附帯決議が実現しました、地方自治体の取組みとしても、都議会でトランス差別に対抗する動きをしています、明るい社会にしていきましょう、と語りました。
 れいわ新選組のよだかれさんさんは、れいわはこうしてトランスジェンダーを代表にしてくれる唯一無二の政党です、大阪の箕面市ではトランス男性のマキカオル議員も活躍しています、生きてるだけでお互いに讃え合える社会を、LGBTQの子どもたちが生きられる社会を実現していきましょう、多様性はパワーだ!と力強く語りました。
 共産党の吉良佳子議員は、同じ命を持って生まれて平等に生きる権利を、というステートメントに共感しました、この社会に怒りを感じ、声を上げてきた皆さんに敬意を表します、自治体のパートナーシップ制度もこんなに広がってきました、選択的夫婦別姓制度の議論と併せて、同性婚の法制化も、政治で決着をつけようではありませんか、と語りました。 
 社民党の福島みずほ副党首は、いつまで待てばいいのでしょうか、社民党は2004年に同性婚実現を公約に掲げ、法務委員会でも言い続けてきました、ぜひ最高裁判決の前に成立させましょう、生きてる人のために制度を、差別は人を殺します、差別禁止法、学校教育の改善も必要です、全力で頑張ります、パレードは初期の頃から参加してきました、今日もいいパレードにしましょう、と語りました。



 その後、新宿エイサー「新虹」の演舞が行なわれたのですが、後ろ髪ひかれる思いでパレード出発地点へと向かいました。(パレードの模様はこちらをご覧ください)
 


プライドステージ後半

 15時半過ぎにステージに戻ると、真っ赤なドレスに身を包んだKayaさんが『愛の讃歌』を熱唱しているところでした。歌い終わると会場から大きな拍手と歓声が起こり、感動的でした。Kayaさん、所作が完璧にエレガントで、本当に美しかったです。素敵でした。

 45分、Marriage For All Japanフロートを歩いた約50組・100名の戸籍上同性のカップルが、ステージに上がりました。その際、松中権さんが、一人ひとりのお名前をご紹介していたのがとてもよかったです(名前を呼ぶのはとても大切なことだと思います)。上がった方たちのなかには、元同僚の顔を見えましたし、同性婚実現のために本気のキャンペーンを展開しているLUSHの小山さんなど、それぞれの持ち場で頑張っている方たちがたくさんいて、胸が熱くなる思いでした。最前列は「結婚の自由をすべての人に」訴訟の原告のみなさん、そしてカラフルブランケッツのお二人(ひとじゅんさん)や、藤岡奈穂子さん&高橋藍さんの姿もありました。
 そんな100名が、一斉にプラカードを掲げ「私たちを結婚させてください」と訴え、会場のたくさんの方たちが大きな拍手を送り…感動的な瞬間でした。
 MFAJの寺原共同代表によると、来年早ければ春か夏に最高裁で違憲判決が出る見込みです。でも、判決が出たらすぐに結婚できるわけではなく、国会で立法してくれないと同性婚は実現しません。そういう意味でも、マリフォー国会メーターを参考に、今夏の参院選で同性婚に賛成する議員を当選させましょう、と呼びかけられました。





 壇上のみなさんが退場した後、2月の婚姻平等訴訟応援イベント「二丁目で、しゃべろう同性婚」でお披露目されたミュージックビデオがスクリーンに流れました。プライドのあのステージで観ると、また違った印象を受けますね。

 そのビデオにも出演していたAya Satoさんがステージに登場しました。マドンナのバックダンサーとしてワールドツアーに同行したのをはじめ、椎名林檎さんのバックダンサーとして紅白に出演したり(MIKIKOさんと共同で振付をしたそうです)、米国、韓国、日本の多数のアーティストの振付師/ダンサーとして活躍してきたオープンリー・レズビアンの方です。以前からオファーしていたのですが、今回ようやく都合が合い、LAから来てくれることになったんだそう。本当にカッコよかったです。本物の凄さを感じました。ダンサーのみなさんとともに、独自の世界観で魅了してくれました。



 この頃にはもうステージ前のエリアは満杯で、入場制限がかかってました(柵の外から見てる方たちもいらっしゃいました)。そんななか、フィナーレとして、二丁目が誇るドラァグクイーンのみなさんによるショーが行なわれました。
 トップバッターはサーシャさん、アロムさん、テマンダさん、タティアナさん、Usakさん、Ricoさん、Shoichiさん、TAIGAさんによるゴージャスなショー。「Mysterious Ways」「Abrakadabra」という絶妙にアガる選曲もさることながら、男性のダンサーさんも対等に振付も踊っていたり、『ボーイフレンド』出演で世間でも有名になったUsakさんをフィーチャーし、シャツを破る演出で盛り上げたり、実によくできたショーでした。


 続いてスクリーンにオリジナルの映像が流れ(「昔々(約10分前)」「ついに彼女がやって来た、Tokyo Prideへ」みたいな)、『OPULENCE』でも活躍しているセラ・トニンさんが登場。超ゴージャス系なイメージだったのですが、素敵なトランス・カラーのガウンを脱ぎ捨てると、レディ・ガガの「Marry the night」や「Enigma」に乗ってステージ上を駆け回り、前転したり、ステージから降りたり、めっちゃ動き回って盛り上げてくれました。


 身長日本一のドラァグクイーンとして知られるセレスティア・グロウンさんが登場。曲はアナ雪2の「みせて、あなたを」。衣装もエルサのイメージで、とてもきれいでした(AIじゃないかって思うくらいの人間離れした美しさ)。お客さんもウットリしながら観てたと思います。

 続いて、最近ラビアナ・ジョローからラビアナ・ラベージャに改名したというラビアナさん。やはり『OPULENCE』等でも活躍している方ですが、今回はビヨンセの「Run the World (Girls)」に乗って女性とBALL ROOMカルチャーにオマージュを捧げるショーで盛り上げてくれました。


 今秋、映画『ブルーボーイ事件』で「女優」デビューを果たすイズミ・セクシーさん。イケメンダンサーを従え、NAYEONの「ABCD」でカッコよく踊ってみせたあと、ダンサーさん2人がイズミさんを持ち上げようとして重くて崩れてしまい、イズミさんが激怒(笑)、次は3人で…というくだりを繰り返し、最後は4人で見事に持ち上げ、喝采が沸き起こるという、海外の方などにも通じるようなエンタメ・ショーでした。さすがです。


 続いて、ブルボンヌさん&WAKUWAKU♡サセコさんによる「二丁目の伝統芸能」的なピンク・レディー・ショー(もう20年以上やってる)。私は笑いが止まらなかったのですが、今の若い方たちはもしかしたらピンク・レディーを知らないのでは…とちょっと心配になったりも。昨年まで総合司会としてカッコよくステージに上がっていたブルボンヌさんがあのようなコミカルなショーをやる人だと知って驚いた方もいらしたかもしれないですね。


 そして今回初登場の釈麗子さん。「モノマネクイーンです」と紹介されて登場したのに、歌ったのが坂本スミ子さんの「エル・クンバンチェロ」というほとんど誰も知らない歌(日本語でもないし)っていうのが面白かったです。それにしても、釈さんがあのステージで歌唱力の凄さを世間に知らしめたことが素敵で、我がことのよううれしく思いました。

 そして、このステージになくてはならない存在であるベテラン(いまは金融評論家の)肉之小路ニクヨさん。柴田はつみさんの「南十字星」という名曲を熱演。私ももともと知らなかったのですがニクヨさんのショーですっかり憶えてしまい、一緒に口ずさんだり。本当にいい歌。そしてニクヨさんの表情と演技の素晴らしさ。泣けました。

 大トリを飾ったのは、今年も枝豆順子さん。出だしは女王蜂の「」という名曲(衣装も紫でした)。ニコル組のみなさんが美しく花を添えました。それから曲がトドリック・ホールのプライドソング「RAINBOW REIGN」に代わり、ODOOJIなどたくさんのダンサーのみなさんがステージを盛り上げました。最後に「This Is Me」が流れた瞬間、鳥肌が立った方も多いと思います。順子さんは「これが私よ」とさらけ出すかのように衣装も脱いで、ウィッグも取って、思いの丈をぶつけるかのようなパフォーマンスを見せ、会場から万雷の拍手が送られました。控えめに言って最高に素晴らしかったです。




 二丁目のクイーンの底力を見せつけ、「生き様」や「PRIDE」を表現した素晴らしいショータイムでした(ちょっと違うかもしれませんが、江戸城を去るときに大奥の女性たちがありったけの着物を広げて「格の違い」や「生き様」を見せつけたというエピソードを思い出しました)。プロデュースしたバビ江さんにも心からの拍手を贈ります。
 
 最後に、MCのヴァギーさんとゼロプリのみなさんに花束が贈られ、一言ずつコメントを語り、熱気冷めやらぬなか、2日間にわたる「Tokyo Pride 2025」が大盛況、大成功のうちに幕を閉じました。



2日間の「Tokyo Pride 2025」を振り返って
 
 新たに生まれ変わり、東京では初のプライドマンスの開催となった「Tokyo Pride 2025」。性の多様性を祝うお祭り、LGBTQが安心して自分らしくいられる場所、友達との再会を喜んだり(毎年、生き延びて、ここで再会できることの喜びを噛みしめたり)見知らぬ人にも「ハッピープライド(よいプライドを過ごせますように)」と言い合える空間、圧倒的な祝福感をシャワーのように浴びれるイベントというのは今まで通りで、今回はさらに、結婚の平等について鮮やかなメッセージを打ち出したり、当事者アーティストによる素晴らしいパフォーマンスが繰り広げられたり、ブースでも数々の意義ある企画が行なわれたりもしました。とてもいいプライドでした。何度か泣きそうになる瞬間がありました。笑顔があふれてました。
 今年は(例えばあゆとかの)超ビッグでメジャーなゲストは出演していませんでしたが、変わらずたくさんの方が来場してイベントを楽しんでましたし、おまけに天気にも恵まれて、最高だったんじゃないでしょうか。
 以前は「商業的すぎる」とか「問題のある企業が参加してる」と批判してたような方たちからも素直に「よくなったね」という声が聞かれました。
 さらっと書いてますが、これだけの規模のイベントを問題なく開催するって本当にスゴいことで(27万人も集まったら、何かしら不測の事態も起こるでしょうし、批判や文句を言う人も多くなりがちですのに…)「離れ業」と言っても過言ではないと思います。運営スタッフのみなさん、たくさんのボランティアスタッフのみなさん、協賛したり協力したりした全てのみなさんに拍手!です。
 
 ユースプライドはこの週末で終わってしまいましたが、クィアアートエキシビションは18日水曜まで開催中です(最終日は19:00までですのでご注意ください)。22日日曜にはヒューマンライツカンファレンスが開催されます。そうしたイベントもひっくるめて「Tokyo Pride 2025」ですので、ぜひご参加ください。

(取材・文・写真:後藤純一)

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