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レポート:レインボーフェスタ那智勝浦(2日目)熊野古道パレード

11月16日(日)に和歌山県の那智勝浦町で開催されたレインボーフェスタ那智勝浦の熊野古道パレードのレポートをお届けします。

レポート:レインボーフェスタ那智勝浦(2日目)熊野古道パレード

 11月15日(土)16日(日)に和歌山県那智勝浦町で開催されたレインボーフェスタ那智勝浦。1日目はブルービーチ那智でのレインボーフェスタ、2日目は熊野古道を登り、熊野那智大社にお参りするかたちでのパレードが行なわれました。ここでは2日目の熊野古道パレードのレポートをお届けします。


熊野は日本人の多様性の受容を世界に示す象徴的な場所

 まるさんたちは、地元・那智勝浦でパレードをやるとしたら?と考え、はるか昔から性別や出自などに関係なく全ての人々を受け容れてきた熊野の歴史に敬意を表し、また、世界遺産として那智勝浦の町民の誇りとなっている熊野古道を、私たちが誇りを持ってレインボーを掲げて歩くことこそがふさわしいという思いで、今回のパレードを企画したんだそうです。

 こちらのサイトによると、熊野は1200年以上も昔から、詣でる全ての人を受け入れてきました。昔は女性や病気の人などは「穢れ」だとして特定の場所に入れないことがよくありましたが、熊野は全くその差別がありませんでした。さらに、異なる宗教でさえ認め合い、紀伊という小さな場所に「熊野」「吉野」「高野」「伊勢」という4つの聖地が共存しています。その原点が「熊野」です。熊野は日本人が持つ「ごちゃ混ぜの精神」の原点であり、日本人の多様性の受容を世界に示す象徴的な場所なのです。熊野古道が「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界文化遺産に登録されたのも、そのごちゃ混ぜの精神、つまり「ダイバーシティ&インクルージョン」のスピリットが世界遺産の目指す世界平和の精神と共鳴したからなんだそうです。
 熊野古道は実は京都・吉野・高野山・伊勢の各地から熊野本宮大社・熊野那智大社・熊野速玉大社の三山に向かう巡礼道の総称で、和歌山、三重、奈良、大阪、京都にまたがる全長1,000kmにも及ぶ道です。今回登った熊野古道は、熊野那智大社に参詣するための1km余りの山道でした。

 
熊野古道パレード
 
 16日(日)は朝からよく晴れて、暑いくらいでした。前日も天気がよくてまさかの日焼けをしてしまったのですが、結構高い所の山に登るのだからさすがに寒かろう…と思い、冬物のパーカーを着て、ウィンドブレーカーも持って出かけたのですが、あとで後悔することに…。
 
 朝8時、レインボーフェスタ和歌山のQちゃんと、全国のパレードを取材しているカメラマンの秋山さんと、紀伊勝浦のにぎわい市場でまぐろとかつおの刺身がついた朝定食を食べて(とれたてのお魚は本当に美味しかったです)英気を養い、車で集合場所の大門坂まで連れて行ってもらいました(持つべきものは友達です。感謝)
 大門坂にはすでにたくさんの方たちが集まっていました。日差しが暑かったです。
 まるさんが挨拶した後、公式のガイドさん4人が自己紹介し、4つのグループに分かれて登ることになりました。私はお年寄りも参加しやすそうな最後のグループで歩くことにしました。由緒ある、世界遺産でもある古道を、フラッグを持ったりレインボーカラーを身につけた方たちが登って行きます。





 道すがら、ガイドさんが、源頼朝が熊野詣での際に植えたとされる樹齢約800年の夫婦杉や、九十九王子の最後の一社である多富気王子(神社跡)、那智の滝が見えるスポットに置かれていた石碑などで立ち止まり、解説してくれました。それだけでなく、熊野と言うくらいだから熊が出るんじゃないですかとよく聞かれるけど、和歌山では実際には目撃されていないんですよ、とか、雑談的なお話も交えてくれたり、(主に私の)歩くペースを気遣ったりもしてくれました。万が一、途中でリタイヤを希望する方が現れたときのために(実際、小さなお子さんがそうなってました)、スタッフの方が車で送迎してくれる準備もしてくれてました。私もだんだんバテてきて、杉の森の涼しい場所のはずなのに汗ダラダラでヒーヒー言いながら、他の人に励まされたりしながら、どんじりで歩きました。
 ようやく開けた場所に出て、やっと着いたか、と思ったら、そこからが参道で、さらに階段を登り、また登り…という感じで、気が遠くなりそうでした。しかし、そうやって苦労して辿り着いた熊野那智大社では、特別な体験が待っていました。







 しばらく休憩した後、熊野那智大社でご祈祷を受けるために、整列し、静々と厳かに社へと歩を進め(ある意味、パレードし)ました。社に入り、並んで椅子に腰掛けていると、神主さんが「パレードの奏上」と言って、宮司さんが祝詞をあげてくださいました。その後、巫女さんが現れ、雅な舞も披露してくれました。それから、被布のようなものを被った代表のまるさんが玉串を捧げ、順番に盃で御神酒をいただき、外に出ました。
 すると、社の裏手に通じる柵状の扉が開放されていて、ふだんは閉じられていて入ることができないエリアに入れてもらえました。そこで神主さんが、ここには主祭の熊野夫須美大神(イザナミノミコト)のほか天照大神など5つの御神体が祀られています、とか、神の使いとして神武天皇が熊野から大和へ向かう際に道案内をした八咫烏(やたがらす)が役目を終えて熊野に戻って来て石になったと言われていますがその石がこれです、などと解説してくださって(サラッとおっしゃってましたが、凄い話です)、それぞれの御神体に参拝したり、八咫烏の石をしげしげと眺めたり、実に趣深い体験をしました。






 最後に集合写真を撮って、ご祈祷の授与品(延命箸や御神饌など)がみんなに配られて、あとは各々、隣のお寺や滝を見物したり、自由にお過ごしくださいという感じでお開きとなりました。
 
 帰り道、ここでしか売ってないという那智黒ソフトを食べたり(美味しかったです)、滝の近くまで行ったりもしました(また山道を降りるはめに…膝が心配でしたが、大丈夫でした)。滝の近くにあるバス停からバスに乗って大門坂の駐車場まで降りて、そこから少し行ったところのレストランでお昼ごはんを食べたのですが(名産の「めはり寿司」というのもいただきました)、えもいわれぬ美味しさでした。疲れた体に沁みわたりました。
 
 
 山々を見下ろせたり、那智の滝の絶景も拝めたりしましたし、通常の参拝客は入ることができない特別な場所での拝観もできて、登山の疲れも癒やされ、汚れまくった心身が少しだけ清められたような気になりました。由緒ある熊野那智大社がLGBTQを受け容れ、パレードのための奏上を述べてくださったりしたこともありがたかったですし、いろんな人たちと一緒に古道を(励まされたりしながら)登り、一緒にご祈祷を受けたり参拝したりというかたちのパレードの体験ができたのも、一生忘れられない思い出です。ふつうの参拝ではこういう「楽しさ」や「特別感」は味わえないと思いますし、こんなに霊験あらたかで清々しいレインボーパレードもないと思います(古道を登っているとき、どなたかが「日本一険しいパレード」とおっしゃってましたが、言い得て妙、と思いました)。体験できて本当によかったです。
 
 今回でこのようなかたちのレインボーフェスタは最後、とのことでしたが、来年以降、また新たなかたちで始まるそうですので、みなさんもぜひ、那智勝浦へ。他の町では味わえないような特別な出来事が待っていると思います。
 
(後藤純一)



レインボーフェスタ和歌山2025のご案内

 最後に、11月29・30日に和歌山市で開催されるレインボーフェスタ和歌山2025のご案内を差し上げます。
 9回目を迎える今年は、1日目がイオンモール和歌山でのポップアップイベント(「わたしたちだって"いいふうふ"になりたい展」も開催)、2日目が和歌山城砂の丸広場を会場とするフェスタと和歌山城を一周するかたちのパレードです。恒例のすみれちゃんも登場しますし、お菓子撒きもあるそうです。
 
レインボーフェスタ和歌山2025
【Day1】ポップアップイベント
日時:11月29日(土)10:00~20:00(予定) 
会場:イオンモール和歌山 1階 インフォメーション前
【Day2】フェスタとパレード
日時:11月30日(日)11:30~16:00(予定) 
会場:和歌山城 砂の丸広場

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