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レポート:いわてレインボーマーチ2026

4月18日(土)に盛岡市で開催されたいわてレインボーマーチ2026のレポートをお届けします。桜の美しさとともに、若いスタッフの方たちのひたむきな思いが伝わってくるような、「希望」を感じさせるようなあたたかいパレードでした

レポート:いわてレインボーマーチ2026

 いわてレインボーマーチ(IRM)は2018年に初開催されました。東北では青森に次いで2番目のパレードで、地元の若い女性たちが中心となって立ち上げ、レディ・ガガの「BORN THIS WAY」をもじった「MARCH THIS WAY」というキャッチコピーやおしゃれなビジュアルイメージをデザインし、さわやかでナチュラルなイメージを打ち出して、初回にして160人もの方たちが参加しました。
 翌2019年には過去最高クラスと見られる大型の台風19号の接近に伴い、やむなく中止となり(なんと不運な…)、2020年はコロナ禍の影響で延期となり、2021年はオンライン開催となり、2022年にようやく、念願叶ってリアル開催できることになりました。2023年には初めて2days開催され、東北六県のプライド団体の代表が一堂に会したトークイベントなども行なわれました。

レポート:いわてレインボーマーチ2018
https://gladxx.jp/features/2018/scene/5455.html

レポート:いわてレインボーマーチ2022
https://gladxx.jp/features/2022/scene/7825.html

レポート:いわてレインボーマーチ2023
https://gladxx.jp/features/2023/scene/8641.html

 2024年はNLGR+と、2025年は初めてパレードも開催された神戸レインボーフェスタと重なったこともあり、お伺いしなかったのですが、今年は(京都レインボープライドと重なってはいたのですが、そちらはVENさんにお任せして)3年ぶりにお伺いすることにしました。
(後藤純一)


オープニングイベント

 4月半ばの盛岡は、だいぶ散ってしまってはいたものの、桜がまだ咲いていて、盛岡城跡公園の辺りでもいろんな種類の桜を見ることができました。


 以前は集合場所が盛岡歴史文化館前だったのですが、今年は盛岡城跡公園内の多目的広場でした。行ってみると、同じ場所で「盛岡さくらまつり」が開催されていて、たくさんの屋台やステージ(猿回しなどが行なわれていました)もあり、大勢の人でにぎわっていました。
 その日の天気予報は曇りだったのですが、11時過ぎから小雨がポツポツと…(東屋で雨宿りしていたら、屋台で買ったトルネードポテトに舌鼓を打つさくらまつりの参加者に混じって、全国各地のプライドに参加している方がプラカードを手書きしたりもしていて、素敵でした)。でも、12時半のオープニングイベントが始まる頃には雨もやみました(パレード直前に雨がやむのはよくあることで、「クィア・パワー」的なジンクスとなっています)


 最初に共同代表のれいさんが参加者のみなさんにお礼を述べて、「今日ここに来れなかった方の思いも胸に、歩きたいと思います」とご挨拶しました。そして「わたしはわたし〜沈黙を破り、声をあげよう〜」というスローガンを紹介し、誰もが胸を張ってって堂々と生きられるように、との思いを語りました。

 続いて、参集したLGBTQ団体の方が一言ずつスピーチしました。
 ろうLGBT東北の方は「今年で12年目を迎えました。今後も活動していきますのでよろしくお願いします」と手話で語りました。

 みやぎにじいろパレードのみなさん。今年は10月24日(土)に開催予定だそうです。

 青森レインボーパレードのみなさん。今年は6月28日(日)に開催。パネル展も予定しているそうです。

 秋田プライドマーチのみなさん。今年は5月23日(土)に開催です。

 TransGenderJapanのみなさん。6月の東京プライドにブースとフロートを出展するほか、11月のトランスジェンダー追悼の日の頃にトランスマーチも開催します。

 道南はこだてレインボープライドのみなさん。今年初開催、北海道で4都市目のパレードは9月5日に決まったそうです。ちょっとわかりづらいですが、たくさんの足がついた「イカ」を模したフラッグが素敵でした。

 それから、盛岡市の内舘茂市長が登壇し、「年齢や性別、障がいの有無などを超えて誰もが生きやすい盛岡になることが夢です。今日はようこそ来てくださいました。一緒にいい街にしましょう」とスピーチしました。


 今回は前に出てご挨拶はしませんでしたが、ふくしまレインボーマーチの方たちも来られていて、今年は開催したいと語っていました。続報を楽しみに待ちましょう。
 
 
パレード
 
 12時50分頃に整列が始まり、13時にパレードがスタートしました。
 公園を出て左手に進み、ピンク色の枝垂れ桜が美しい櫻山神社を左手に見ながら、メインストリートである盛岡大通商店街へと進みました。アーケードの商店街は行き交う人も多く、(以前はネガティブな反応も見られたものの)手を振ってくれる方もいらしたりして、温かさを感じました。
 今回もフロートはなかったのですが、(秋田の方たちが応援してくれているキャスター付きのスピーカーを使って)J-ROCKを中心としたBGMが流れ、また、このパレードのためにいろんな方が寄せてくれたメッセージや手記も読まれました。本当は参加したいけど参加できない方の思いだったり、友達にカミングアウトを受けた方のストーリーが音楽に合わせて流れたりして、ジーンときました。










 パレードは大通商店街を抜けて左折し、菜園通りという大きな通りに入り、パルクアベニュー・カワトクのデパートを右手に見ながら、公園の方へと戻るようなかたちで進んで行きました。
 公園の石垣のところまで来ると、そのまま左に曲がって以前と同じコースで広場に戻るのかと思いきや、右手に進み、公園の西側〜南側をぐるっと周るようにして進んで行き、中津川沿いの遊歩道から公園に入って行く(もうちょっと早かったら川沿いの桜がきれいだっただろうなと思われる)コースで多目的広場へゴールしました。さくらまつりのおかげで(以前は誰もいなかったのですが)広場にも市民の方たちがたくさんいたので、最後まで手を振ったり笑顔でパレードできたと思います。






 パレードには、各地のプライドやいろんな団体・サークルの方たちだけでなく、毎年アライとして参加してくださっている僧侶の方や、Marriage For All Japanのプラカードを持って歩いているLUSHの店員さんや、もしかしたら勇気を出して今年初めて参加したのかもしれない地元のゲイと思しき方など、本当にいろんな方がいらっしゃいました。
 やや個人的な話ですが、パレードを歩いているときに、同郷で、以前からその存在は知っていたもののお会いする機会がなかった「スクランブルエッグ」のソウさんにお会いして(「スクランブルエッグ」ののぼりを掲げていたのでわかりました)お話することができました。諸事情あって顔出しはできないものの、今回はサングラスをかけて初めていわてレインボーマーチに参加したんだそう。とてもパワフルで気さくで人好きのする方でした。お会いできてよかったです。

☆パレードのフォトアルバムはこちら


クロージングイベント

 広場に帰着する頃には日が差してきて(というか急に日差しが強くなり)、みなさん目を細めたり顔に手をかざしたり「暑いね」と言い合ったりしていました。みんなで集合写真を撮ったあと、程なくしてクロージングイベントが始まりました。
 
 初めにボランティアスタッフの方たちが前に出て、拍手が送られました。秋田や宮城のパレード主催団体の方などもボランティアスタッフをしていたことがわかり、岩手の若い方たちの思いを、こうして近県の方たちが支えているんだな…とちょっと胸が熱くなったりしました。

 それから、実行委員を務めたみなさんが、一人ずつご挨拶しました。
 共同代表のれいさんは、平和に歩けてよかった、沿道の方も手を振ってくれたりして、知ってもらえるいい機会になったと思います、来年もよろしくです、と語りました。
 りょうこさんは、たくさんの方に参加いただいてうれしいです、ニュースで暗い気持ちになる日々ですが、そんななかでもみんなと歩けたことが心強いです、と語りました。
 まげきさんは、初めてスタッフしました、ありがとう、国内外から暗いニュースが聞こえてきますが岩手でこんなふうに団結して声を上げて力を合わせて、自分らしく生きられるようにパレードできてよかったです、と語りました。
 さやさんは、高校2年からやってきて今は大学4年です(拍手が起こりました)、それで変わったかと言われるとわからないけど、こんな思いは私たちの代で終わりにしたいです、と語りました。
 りつさんは、2018年にボランティアで参加して、今回で9年目です、社会はなかなか思うようにはいかない、パレード自体準備が大変で少ないメンバーでやってるのでしんどいですが、こうやって集まって歩くとまたやろうと思えます、パレードに参加してくれる人も、嗤う人もいるけど、闘う人に対して共に声を上げ、自分の街を歩くことの勇気を見てほしい、様々事情があって歩けない人もいる、私たちが歩き続けることが大切、と語りました。
 最後に閉会の言葉としてもう一度、りつさんがご挨拶しました。15時半から交流会があることと、18時から駅前で反戦のスタンディングがあることなどもアナウンスされました。


 
 パレードが終わった後の、実行委員の方たちが思いを語るこの時間、参加者のみなさんもリスペクトの気持ちや、共感や、ねぎらいの気持ちをもって、お話に静かに耳を傾けている、その「静かな熱さ」とも言うべき時間、その時間にこそ、連帯や、癒しや、生きる勇気のようなものが感じられる気がしました。IRMは若い方たちがやっているので、ひたむきさや純真さ、清冽さすらも感じられました。
 盛岡市は、IRM創立者の加藤まいさんが市議に上位当選したり、早くから同性パートナーシップ証明制度も実現したりして、東北の中では最もLGBTQに理解のある先進的な街だという印象がありましたが、それでも、まだまだ生きづらさを感じるLGBTQの方たちは少なくないし、課題もたくさんある、という様子もうかがえました。ですから、パレードを続けていくことには決して小さくない意義があるのだと思います。続けていくなかで、きっと、勇気を出して歩き始める方も増えていくと思いますし、同じ北東北出身者として、それがどれほど勇気が要ることか…と想像できますし、その勇気を応援したい気持ちです。
 国内外から暗澹たる思いがするようなニュースが連日のように届けられる日々ですが、みなさんおっしゃっていたように、パレードは多様な性の祝福であり、同じ場所に集まってひさしぶりの再会を祝ったりしながらみんなで街を歩くという温かなコミュニティイベントでもあって、生きづらさや不安を抱えるみんなにとっての「希望」なんだということも感じました。空に虹がかかるのを待つのではなく、IRMのみなさんがパレードという虹をかけてくれたおかげでみんなの心に「希望」が生まれたんだと思います。
 
交流会

 盛岡城跡公園を櫻川神社の方に抜けて中央通りを渡り、石割桜のある盛岡地裁や県庁の並びにある岩手県公会堂へと向かいます。15時半から公会堂の一室で交流会が開催されました。
 真ん中に長机と椅子が並べられ、お菓子も置かれ、参加者の方たちが自由に座ってお話したりできるようになっていました。
 その周りに、東北のいろんな団体などのブースが並んでいました。県内の自治体の首長からのメッセージや、パネル展示などもありました。会場の一角ではTGJPのとまとさんがPRIDEの歴史についてお話していました。
 盛岡にはコミュニティセンターもないので、ふだんこういうセーフスペース(LGBTQが安心して過ごせる居場所)を利用できない方にとっては貴重な集まりになったと思いますし、東北各地の方たちが(パレード中もそうでしたが)ひさしぶりに会ってお話したり交流を深めたりできるという意味でも、とても実りある会になったんじゃないかな、と思いました。









 
来年はみなさんもぜひ、盛岡へ

 そんな感じで、今回の4月の桜の時期のIRM開催、とてもよかったです。
  『ニューヨーク・タイムズ』紙でも「歩いて回れる宝石的スポット」と賞賛されている風光明媚な盛岡の街や、岩手県のたくさんの魅力的な観光地(「あまちゃん」でもフィーチャーされた三陸のいろいろとか、遠野とか、龍泉洞とか、猊鼻渓とか、中尊寺金色堂とか)を旅行するついでにでも、ぜひIRMにご参加ください(ちなみに盛岡には2年前にオープンした「Bull Box」(仙台「Tank Dump」の姉妹店)をはじめ「幸六堂」「KenKen」など数軒のゲイバーがあります)。じゃじゃ麺とか冷麺とかわんこそばとか、食べ物も美味しいですよ!
 
 我田引水めいているかもしれませんが(私の生まれ故郷なので)盛岡からバスで2時間で行ける弘前では4月半ばのこの時期、日本一の呼び声高い桜が見れます。IRMが来年も同じ時期に開催されるかどうかはわかりませんが、もしそうだったら、盛岡からちょっと足を伸ばして弘前の桜を見て帰るというコースもおすすめします。

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