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レポート:山口レインボープライド2026
5月16日(土)、湯田温泉こんこんパークで第3回山口レインボープライドが開催されました。季節外れの暑さにもかかわらず会場は快適で、参加者のみなさんはエスムラルダさんのショーやブラス演奏、餅まきなども楽しみました

山口レインボープライドは2023年のGW、中国地方では岡山に次いで2例目のプライドとして初開催され、約200名の方たちが山口市のパークロードや商店街などを行進しました(レポートはこちら)。初回は山口青年会議所が主催し、山口市の亀山公園で開催、このときも実行委員長を田中愛生さん(2022年のMR.GAY JAPANでグランプリに選ばれた方)が務めていました。第2回は2024年6月最終週に中央公園で開催され、このときからエスムラルダさんがショーを披露するようになり、参加者は360名に上りました(レポートはこちら)
昨年はお休み(充電)となりましたが、今年、晴れて第3回の山口レインボープライドが5月16日(土)、湯田温泉こんこんパークで開催されました。1回目、2回目ともに雨模様の、しかしパレード中は奇跡的に雨が止むというイベントとなりましたが、今回は見事に晴れて、逆に暑いくらいだったのですが、全天候型の屋内施設で開催されたため、参加者のみなさんも快適に過ごすことができたと思います。レポートをお届けします。
(後藤純一)
5月16日(土)は全国的に5月とは思えない異常な暑さとなりました(山口市でも最高気温30.6度を記録し、真夏日となりました)。そんな炎天下のなか、JR湯田温泉駅からてくてくと、1km近く歩いて会場に向かったのですが、その道すがら、(てっきりこんこんパークは公園だと思っていたので)今日1日外にいたら熱中症で倒れてしまう…と、命の危機すら覚えました。しかし、大きなレインボーフラッグが掲げられた建物が見えてきて、レインボーフラッグにも感動しましたが、こんこんパークが屋内施設であることがわかり、大げさじゃなく「助かった!と思いました。たとえ雨降りでも、今日みたいなかんかん照りの日でも対応できるし、トイレとかもあるし、おまけに足湯につかることもできます。とてもいい会場でした。

入口のところに県内自治体の首長さんからのメッセージや、LGBTQへの理解を深めるためのパネルが展示されていて、場内にはいろんなブースが出ていて、立派なステージがあり、椅子も並べられていました。
11時、今回もフリーアナウンサーの柴田まゆみさんが総合司会を務め、レインボープライドのステージイベントがスタートしました。初めに実行委員長の田中愛生さんがご挨拶し、アライを増やしたい、ここは私の故郷だと思えるようになってほしい、今日は楽しいイベントにしましょう、協力者のみなさんありがとうございます、と語りました。
その後、協賛企業を紹介し、出展ブースも紹介しようということで、柴田さんがブースを回り(スタッフの方が映像をステージ上のスクリーンに中継し)こなれた感じでそれぞれの魅力を紹介していきました(便乗して写真を撮らせていただきました)











11時半からは、防府ウィンドシンフォニーによるブラスのコンサートが行なわれました。「天体観測」「島んちゅぬ宝」などみんなが知ってる名曲を次々に演奏し、温泉地らしく「いい湯だな」で締めるという、とても親しみやすく楽しいコンサートになりました。
こんこんパークにはカフェが併設されていて、会場の様子も見えるし、音楽も聞こえてくるところでお昼ごはんを食べることができました。地元産の食材を使ったわっぱ飯をいただきました。
12時からは「性の多様性ってなんだろう?」という啓発のトークショーが行なわれました。YRPのキャラクターのぷくるん(柴田さん)が先生にお話を聞くという、お子さんなども興味を持ってくれるようなスタイルだったのも面白かったのですが、お話する今田先生が、山口でカミングアウトしているということにも驚きました。なかなか地方でカミングアウトしている方っていらっしゃらないと思うので、スゴいと思います。「自治体や学校の研修でも「当事者に会ったことがない」と毎回言われる、もしかしたら会っていたのではないか、当事者は本当のことをなかなか言えず、ひとりになってしまいやすい」といったお話を、とてもわかりやすく、スゴい説得力をもって話してくださいました。

12時半、お待ちかねのエスムラルダさんによるショータイムがスタートしました。ご両親が山口県出身で、夏休みにはおじいちゃんおばあちゃんのいる山口に行っていて、山口を故郷のように感じているというエスムラルダさんが、「故郷に錦を飾る」ならぬ「レインボーフラッグを飾る」で、たっぷりとショーを披露してくれました(金子由香利さんの「再会」をひさしぶりに見れてよかったです。若い方はピンときてなかったかもしれませんが)。最後は「エスムラルダ・デ・マンボ」「あの鐘を鳴らすのはあなた」も歌ってくれました(以前は、なぜプライドで「あの鐘を鳴らすのはあなた」を?と思ったりもしたのですが、今回じっくり聴けて、やっとその意味がわかった気がしました)

13時20分から整列が始まり、みなさんが整列し終わると、ステージで各地のプライドの主催者の方たちがアナウンスしたり、出発式が行なわれたりしました。
出発式で原田副市長は市長のメッセージを代読しました。本日の山口レインボープライドの開催をお慶び申し上げ、山口にお越しくださった皆様を歓迎申し上げます、関係者の皆様におかれましては、平素からLGBTQ、SOGIEのことに着実に取り組んでこられ、心より敬意を表します、本市もパートナーシップ制度を制定し、LGBTQへの理解を促し、性的マイノリティの皆さんの住みにくさの解消に努めているところであります、このパレードが共生社会の実現につながることと思います、皆様の益々のご健勝とご多幸をお祈り申し上げます、といったメッセージでした。
それから山口弁護士会の会長を務める近本佐知子さんがご挨拶し、女性として弁護士会の会長を務めるのは初めてですと自己紹介すると、会場から拍手が送られました。近本さんは第1回から参加しているそうで、理解が広がり、どんなセクシュアリティの方でも暮らしていけるようにという思いで、今日も歩きますと語りました。



14時、防府ウィンドシンフォニーのみなさんが階段のところに並んでファンファーレを演奏してくださって(とても素敵でした)、パレードがスタートしました。
快晴の空の下、エスムラルダさんらを先頭に、思い思いの衣装(全身タイツの方もいらっしゃいました)に身を包み、レインボーフラッグやプラカードを手にしたみなさんが晴れやかに行進を始めました。最後尾には撮影禁止ブロックもあり、地元の当事者の方かどうかはわからないのですが、30名くらいの方がいらっしゃいました。パレードは警察官の方たちに守られながら「汚れっちまった悲しみに……」で知られる中原中也(先日、ノンバイナリーの成清朔さんが中原中也賞を受賞しましたね)の記念館や、湯田温泉の大きなホテル(その中には女将劇場で有名な「西の雅 常盤」も。予想以上に大きなホテルでした)が建ち並ぶ通りを進みました。通りを行く人はまばらでしたが、わざわざ車の中から手を振ってくれたり(長崎ナンバーだったのでパレード参加者の方が「ながさき〜!」って叫んで手を振り返してました)、ホテルやマンションの部屋から手を振ってくれる方もいました。キャスター付きのスピーカーから音楽が流れていて、エスムラルダさん所属の八方不美人の曲などもかかって楽しかったです(流す曲は参加者のみなさんからのリクエストで決めているとのことでした)
こんこんパークに帰着すると、おかえりなさい!と迎えてくれる方たちもいて、あったかかったです。暑いなか歩いた方たちのためにチェリオさんがライフガードを差し入れしてくれて、生き返るような心地がしました。















★パレードのフォトアルバムはこちら
みんなで集合写真を撮って、しばらく休んだあと、「餅まき」が始まりました。昨年のレインボーフェスタ那智勝浦でも最後に「もちほり」をやっていましたが、西日本では、上棟式などおめでたい席の神事としてお餅やお菓子を撒くことで、地域の人々に福をお裾分けするという文化があるそうで(島根でもやってたよ、とパートナーも言ってました)、とてもいいなと思いました。餅まきは子どもの部と大人の部の二部制で、こんこんパークの2階の「餅まきテラス」から(そんなテラスがあること自体、びっくりしました)、エスムラルダさんや、クラウドファンディングで餅まき権を獲得した方が(餅まきの役ってすごく重大だし、栄誉なことなんだろうと想像しますが、「全力で撒きます!」と意気込みを語っていらして、熱いものを感じました。こういう協賛のかたちもあるということが素敵だと思いました)、用意された1000個ほどもあるお餅やお菓子を景気よく、下の芝生エリアに待機していた子どもたちに向かって撒きました(私は足湯につかってパレードの疲れを癒しながらその様子を見ていました)。その後、大人たちがわーっと集まってきて、再び餅まきが行なわれ、結局子どもたちもそのままいて餅をもらったり、参加者の大人たちがそんな子どもにお裾分けしたりとかもしてて、微笑ましかったです。あったかくて楽しいフィナーレとなりました。


主催の方の、アライを増やしたいという思いがとても反映されていると思うのですが、子どもからお年寄りまで楽しめるイベントでした。わかりやすく、楽しく、明るく、という姿勢が貫かれていました。餅をもらいに来た子たちも多かったのでは?
山口市や県だけでなくたくさんの自治体から後援やメッセージをいただいていました。メディアもめっちゃ多かったです(地方のイベントとしては、テレビカメラが2つも入っていたのは、スゴいんじゃないかと)
隣のカフェから、Marriage For All Japanのブースで、同性婚を認めてくださいというお手紙を一生懸命書いてる方たちの姿が見えたのですが、その姿にジーンときたりもしました。いろんなところに思いが感じられたし、あたたかさがあふれていました。
余談ですが、司会の柴田さんが「しあわせます」(幸いです、という意味)と何度も言ってて、「これがケンミンSHOWでやってた「しあわせます」かぁ〜リアルで初めて聞いた!」と思ってました。
イベントの最後に事務局長の鈴木さんがご挨拶し、「3回目で完全独立した」とおっしゃっていました。初めは地元の青年会議所の協力があって開催が実現し、地元のお祭りと同じ場所で同時開催、というかたちだったのが、今回から単独で開催できるようになったということだと思います。保守的と言われる山口の地でLGBTQのプライドイベントを(しかも中国地方で2番目の早さで)開催するためには、本当にさまざまな苦労があったでしょうし、山口市でも山口県でも2024年から「パートナーシップ宣誓制度」が実現していて、スゴいと思います。田中愛生さんを中心に、だと思いますが、これまで尽力してきた方に心から敬意を表します。当日走り回っていたスタッフのみなさんも、本当におつかれさまでした。
とても楽しい、体力のないおじさんにも参加しやすいパレードでしたので、また機会があれば参加したいと思いました。
余談というか蛇足というか、なのですが、実は学生時代につきあってた方(最初におつきあいした方)と中国地方一周旅行をしたことがあって、出雲大社の境内に入る直前で突然、雹が降ってきて、同性愛者は歓迎されないんだな…とショックを受けたのですが、湯田温泉に泊まったとき、大浴場の中に金閣寺があってそこから赤提灯がさがっていて思わず笑ってしまい、気を取り直して旅を続けることができたということがありました。(実は2番目につきあった人が山口出身なのですが)山口の人っておおらかで自由で独自の感性を持ってる方が多い印象です。好感が持てます。
そんな山口の地で、これからもプライドイベントやLGBTQのいろいろが盛り上がっていくといいな、と思います。
INDEX
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- 特集:2026年2月の映画・ドラマ
- レポート:Queer Space Tokyo
SCHEDULE
- 05.22SR東京19th スーツナイト-4着目-
- 05.23秋田プライドマーチ
- 05.23プライドクルーズ大阪
- 05.23NINE FABRIK Vol.11
- 05.23SURFBLADE -競パンシャワーナイト-







