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2009年の新規エイズ患者、過去最多だった前年と同数の431人に

2010年06月11日

 厚生労働省のエイズ動向委員会は5月27日、2009年のエイズ発生動向について発表しました。2009年の1年間に国内で新たに報告されたエイズ患者は431人(過去最多だった前年と同数)、新規HIV感染者数は、前年より105人少ない1021人(過去3位)でした。
 
 新規HIV感染者のうち、同性間の性的接触による感染が694人(約68%)で、過去最多となりました。エイズ患者についても同性間の性的接触が全体の約49%(210件)と過去最多でした。エイズ動向委員会の岩本愛吉委員長は「特に同性間性的接触による感染は顕著な増加が続いている」とコメントしています。

 2009年の新規感染者数は前年と同数でしたが、保健所などにおけるHIV抗体検査件数は15万252件で、前年に比べて2万6904件も減少しており(保健所での相談件数も約16%減少)、検査件数が減少したにも関わらず、感染者数が同数だったということは、実質的には増加していると見ることもできます。
 岩本委員長は検査件数の減少の原因について「新型インフルエンザの流行で、エイズ検査に対する関心が薄れた可能性がある」との見方を示しました。
 一方、新規HIV感染者の報告数と検査件数の減少については「一見、同期しているように見えるが、それが本当に同期しているのか、検査が減ったから患者の報告も減ったのかということに関して、まだ結論づけるのは早いというのが動向委員会の委員の考えだ」と述べました。

 また、新規HIV感染者とエイズ患者の合計に占めるエイズ患者の割合は、2008年は27.7%、2009年は29.7%と、2ポイント増加しています。このことについて岩本委員長は、「エイズを発症してから感染が見つかる方の数が増えている。まず、検査機会などを利用して早めに治療してもらうことが非常に大事だと思っている」と強調しました。 

 ゲイはHIVに対する意識が高く、検査を受ける人も多いため、新規感染者に占める割合が高くなる傾向があると言われます。が、エイズ患者についても過去最多というのは、検査を受けずに発症してしまった人も多くなっているわけですから、やはりゲイの間でのHIV感染は深刻な広がりを見せている、決して楽観はできない状況だと言えるのではないでしょうか。
(後藤純一)


新たなエイズ患者431人 過去最多の前年と同数(朝日新聞)
http://www.asahi.com/national/update/0527/TKY201005270544.html

昨年のHIV検査、大幅減=新型インフル影響か-厚労省(時事通信)
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201005/2010052700999

エイズ動向委員会報告(API-Net エイズ予防情報ネット)
http://api-net.jfap.or.jp/status/index.html

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