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ゲイ・タレント、ホン・ソクチョンさんがパク・ヨンハさんを追悼

2010年07月02日
 6月30日、『冬のソナタ』などで有名な人気韓流スターであるパク・ヨンハさんが自殺し、韓国だけでなく日本でも多くの人たちにショックを与えました。

 韓国では、2008年にトランスジェンダーの俳優チャン・チェウォンさん、ゲイであることをカミングアウトしたモデル兼俳優のキム・ジフさんらが相次いで自殺したほか、この5年間で14人の芸能人の方が自ら死を選んでおり、社会問題となっています。
 
 パク・ヨンハさんが亡くなった日、ゲイであることをカミングアウトしているタレントのホン・ソクチョンさんは、ツイッター上に故人とのエピソード、在りし日の優しいヨンハさんのことを綴りました。
「新人の頃からヨンハはいつもニッコリ笑って『兄さん』と呼び、歓迎してくれました。いわゆる韓流スターになっても、このダメなホン・ソクチョンのことを、ほかのタレントたちが僕を避けていた時も、まったく同じようにふだんと変わらず「兄さん」と大きな声で呼び、飛びついてハグしてくれた優しい弟でした」
「先日、試写会に行き、タクシーに乗ろうと待っていた時、大きなバンが目の前で止まりました。ドアが開くとヨンハが飛び出してきました。僕と一緒にいたのはヨンハが初めて会う人でしたが、『兄さんの友達なら、僕にとっては先輩です』と笑っていました。そうして久しぶりに車の中でおしゃべりをして、梨泰院の店まで乗せてくれました」
 ホン・ソクチョンさんは2000年、韓国芸能界で初めて公に同性愛者であることをカミングアウトした方で、一時は芸能界から追放されていました。多くの人たちが彼を避ける中、パク・ヨンハさんはまったく変わらずいつも通り「兄さん」と呼び、抱きついてくれたというのです。本当に素晴らしい人柄だったヨンハさん…あらためて、その早すぎる死を悼み、心からご冥福をお祈りしたいと思います。

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 ヨンハさんが亡くなる2日前、ホン・ソクチョンさんは、駐韓米国大使館で開かれた同性愛者人権懇談会に招かれ、講演を行っています。
 オバマ大統領が6月をプライド月間だと宣言したことを受け、米国外交官4人による大使館の同性愛者の会(GLIFAA)が懇談会を主催したもので、人権団体と駐韓米国大使館の関係者約100人が出席したそうです。

 2000年にカミングアウトしてから10年間、生き残るために必死だったと、ホン・ソクチョンさんは言います。「韓国で同性愛者が認められるには、異性愛者の10倍頑張らなければならない、同じ生活をしては認めてもらえない」と語り、寝ずに働くことに慣れたため、不眠症やワーカホリック(仕事中毒)の症状もあると明かしました。
 カミングアウト前は自分がゲイということを恥ずかしく思い、隠していたが、あるオランダ人男性との出会いでプライドを取り戻し、自分も美しい人間なのだということに気づき、彼と別れた後にカミングアウトを決意したんだそうです。
 ホン・ソクチョンさんは2000年9月にカミングアウトし、出演中だったすべてのテレビ番組を降ろされ、厳しい時期を過ごしました。不当解雇で訴訟を起こすべきだと弁護士に勧められましたが、韓国でどれほどそれがナーバスな問題かはよくわかっていたし、テレビ局の人々に迷惑をかけたくないと思い、訴訟はあきらめたそうです。その後は実業家として成功を収め、テレビへの復帰も果たし、同時にセクシュアルマイノリティの立場を代弁する社会運動家としても活動しています。

 「なぜカミングアウトを選択したのか?」という質問に対し、ホン・ソクチョンさんは「幸せになりたかったから」と答えました。年齢を尋ねられたときには「10歳だ」と答えるそうです。10年前のカミングアウトで生まれ変わったというのです。
 「1度もカミングアウトを後悔したことはありません。嘘をつく必要がなくなり、幸せでした。数多くの困難を克服する力になったのが、カミングアウトでした。10年前と同じ機会が与えられたら、またカミングアウトするでしょう」

 今後は、韓国のセクシュアルマイノリティの人たちが、当然与えられるべき人権を享受して生きられるよう、力を尽くしたいと、意欲を示しました。韓国でもゲイが登場するドラマが放送されるようになり、国民の見方もオープンになったように思う、と語りました。しかし、政府レベルでの課題は依然多いと言い、職場での同性愛者に対する差別行為の禁止、同性愛者人権団体への政府支援などを呼びかけました。「政治家に心を開いてほしいが、難しいならば自身が政治に飛び込むことも考えている」と明かしました。「バッシングに鍛えられた自分なら耐えられるだろう(笑)」

 もしホン・ソクチョンさんが議員になれば(東アジア初のオープンリーゲイの議員です)、ゲイに厳しい韓国の社会も大きく変わることと思います。これからもホン・ソクチョンさんの活躍に期待しましょう。
 
(後藤純一)


ヘリョンとホン・ソクチョンが語る生前のパク・ヨンハさん(エンタメコリア)
http://www.chosunonline.com/entame/20100701000072

同性愛を公表のホン・ソクチョン「カミングアウトで生まれ変わった」(Yahoo!ニュース)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100629-00000022-wow-ent

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