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インターセックスと報じられたセメンヤ選手、陸上競技会に復帰

2010年07月12日

昨年の世界陸上女子800メートルで優勝しながらインターセックス(性分化疾患)であると報道され、競技会への参加を見合わせていた南アフリカのキャスター・セメンヤ選手の女性としての競技復帰が認められました。76日、国際陸上競技連盟(International Association of Athletics FederationsIAAF)が発表したもので、連盟は性別に関する調査を終了し、医学的な専門家グループが下した「彼女はすぐに競技会に参加できる」という判断を受け入れた形です。

 キャスター・セメンヤ選手は昨年8月、ベルリンで行われた第12回世界陸上女子800メートルで今季世界最高記録で優勝しました。が、驚異的な記録と筋肉質な体格、低い声などから「男性ではないか」と言われ、性別検査を受けることになりました。ところが、その結果が医師から本人に伝えられるより前にマスコミに漏れ、「セメンヤは両性具有だ」と世界中に報道され、本人はひどくショックを受け、一時は自殺予防センターに入所していました。このひどい事件に対し、南アフリカ国民と政府はIAAFを非難していました。
 その後、南アフリカ陸上連盟が、実はセメンヤ選手の性別について把握しており、大会前に性別検査を実施していたことが明らかになりました。さらに、セメンヤ選手に性別検査だと伝えていなかったことも明らかになりました。そのため、南ア陸連に非難が殺到し、政府与党からも批判を受けていました。
 115日、南ア陸連は、キャスター・セメンヤ選手とその両親、国民に対し、同選手の性別検査を実施した過程とその後の対応について公式に謝罪しました。そして、オリンピック委員会は、南アフリカ陸上連盟の会長や理事を資格停止処分にすると発表しました。
 1119日、南アフリカのスポーツ省は、セメンヤ選手の金メダルが保持され、性別検査の結果は公表されないと発表しました。セメンヤ選手の弁護士、南ア政府、IAAFの三者がこの件で協議し、「完全合意」に達したとのことです。「キャスターはいかなる不正も犯していないことが判明したので、金メダル、世界陸上800メートルでのタイトル、ならびに賞金を保持することになる」。また、三者は、報道によって世界中に知れ渡った性別の科学鑑定結果を機密事項として扱うことで合意しました。「科学鑑定がIAAFの規則にのっとって実施されたにせよ、結果は当事者間の機密事項として扱うことで合意した。なので検査結果が公表されることはない」

 そしてこのたび、セメンヤ選手は晴れて、女性として競技に復帰することが認められたのです。彼女は「再び競技に戻ることに興奮している。私に対するすべての議論と闘っていきたい」と語っています。南ア陸連も「彼女が望む大会に出場できるように全力を尽くしてサポートする」とコメントしました。

 セメンヤ選手の顧問弁護士は「IAAFとの交渉が10カ月も続いた」と難航した舞台裏を振り返ります。南アのストフィーレ・スポーツ相は「彼女の忍耐と回復力に感謝する」と語りました。 

 

 

性別疑惑のセメンヤ 女性として競技復帰(AFP
http://www.afpbb.com/article/sports/sports-others/athletics/2739691/5945621 

セメンヤ、女性として1年ぶり復帰 陸連など根拠示さず(朝日新聞)
http://www.asahi.com/sports/spo/TKY201007070529.html

女子選手で復帰 性別問題のセメンヤ(東京新聞)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/sports/news/CK2010070802000048.html

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