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【追悼】つかこうへい〜同性愛者への熱い共感を表現した劇作家


 『蒲田行進曲』『熱海殺人事件』などで有名な劇作家のつかこうへいさんが7月10日、亡くなりました。

 スポニチニュースの記事にも書かれているように、つかこうへいさんの作品には常に「同性愛者やマイノリティー…差別やいじめを抱え込んで生きていく人々の目線が」ありました。「心正直に生きて傷つく人のために、闘わなくちゃいけない」が口癖だったとも言われています。

 つかこうへいさんが同性愛をモチーフに作った作品と言えば、『いつも心に太陽を』が有名です。
 オリンピックをめざす美しいシゲルに惚れ、どんなに蔑まれても、ひたすら彼のために尽くしていた牛松。青春時代を過ぎ、ゲイバーのマスターとなった牛松は、自分と同じく秘めた「愛」を生きようとする息子に、父親として語りはじめます。喜びと苦渋にみちた、過ぎ去った青春の日々を… 

 『いつも心に太陽を』は1980年、第82回直木賞候補になっています。(お読みになった方も多いと思います)
 後にタイトルを『ロマンス』と改め、北区つかこうへい劇団などで何度となく上演されてきたほか、1999年にテレビドラマ化されました。宮沢りえ、池内博之が主演したほか、風間杜夫、平田満などのつかこうへいに縁の深い役者たちが多数、出演していました。
 たとえばこんなシーンがありました。ゲイバー「シドニー」のママ・若月(平田満)は昔、教師をしていました。が、ある日、生徒達の前で下着一枚になり、「これが私よ、笑いたければ笑いなさい。だけど人を愛する気持ちを忘れないで」と訴えながら、黒板に「いつも心に太陽を」と書き、生徒達の拍手に見送られながら下着姿で校庭を走り、校門を出ていってしまう
 つかこうへいの芝居らしい、熱くて人間くさい表現は、多くの人たちの胸を打ち、目頭を熱くさせてきたはずです。

 多少ステレオタイプだったり侮蔑的だったりするかもしれませんが、70年代~80年代というゲイがまだあからさまに差別されていた時代、『いつも心に太陽を(ロマンス)』が人々に与えた影響(ゲイは「日陰者」で「はみだし者」かもしれないが、この町でいっしょに生きている仲間だという感覚を共有させた意義)は決して少なくない気がします。

 つかこうへいさんが「差別やいじめを抱え込んで生きていく人々」に対するまなざしを持ち続けた背景には、彼自身が在日韓国人二世だったということがあります。
 生前、そのことを隠しもせず、声高にも語りませんでしたが、『娘に語る祖国』(光文社、1990)というエッセイでは、在日韓国人であるがゆえのつらい体験と、祖国に対する複雑な思いを語っていました。その7年後には、従軍慰安婦に焦点を絞り、「人間とは」「生きることとは」を問うた『娘に語る祖国「満州駅伝」―従軍慰安婦編』を刊行。重いテーマを、あえて軽快な展開で、小さな希望が持てるように描いたといいます。
 その作品の底にある思いは、きっと「傷ついても声を上げられない人に寄り添う、深い共感だった」のでしょう。
 心からご冥福をお祈りしたいと思います。(後藤純一)


ロマンス
つかこうへい
(光文社文庫)

 

つかこうへいさん「僕は闘わなくちゃいけない」(スポニチニュース)
http://www.sponichi.co.jp/entertainment/flash/KFullFlash20100712045.html

つかさん「口立て」けいこで俳優育成(nikkansports.com)
hhttp://www.nikkansports.com/entertainment/news/p-et-tp0-20100713-652772.html

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