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国際競技大会に参加する性分化疾患の選手について、基本方針の協議が進んでいます

 南アフリカのキャスター・セメンヤ選手は22日、ベルリンでの国際競技会に出場し、1分59秒90で優勝しました。1年前の記録よりはまだ4秒以上遅いながらも、復帰後初の1分台でした。「ここまでの道は簡単ではなかった。過去のことでなく、未来について話したい」と語るセメンヤ選手。その表情には少しずつ明るさが戻っています。 

 24日、朝日新聞に「性別問題、急ピッチで指針づくり 『セメンヤ疑惑』契機」という記事が掲載されました。

 男性/女性という単純な二分法が通用しないとき、どう対処すべきか…「性別疑惑」に揺れた末、約11カ月のブランクを経て競技に復帰した陸上女子のキャスター・セメンヤ選手(19歳。南アフリカ)は、実は古くからあるスポーツ界の性別問題に改めて目を向けさせたといいます。
     
 この1月、国際オリンピック委員会(IOC)と国際陸連(IAAF)は、性分化疾患をテーマに合同で会議を開きました。
 IOCのリュンクビスト医事委員長は「特定のケースは議論しなかった」と述べましたが、セメンヤ選手の件がこうした動きの引き金になったことは間違いないものと見られています。会議では、性別が問題になる選手を扱う専門の医療センターを世界数ヶ所に作ることなどが検討されました。医事委員長は診断や検査だけでなく、ホルモン療法や手術をする可能性を示しました。
 IAAFはIOCとの合同会議以降、7回もの協議を重ね、性分化疾患の選手の扱いに関するルール作りを急いでいるそうです。原案はほぼ完成し、11月の理事会での承認と来年1月からの発効を目指しているそうです。

 日本陸連の医事委員を務める埼玉医大産婦人科の難波聡講師は、今までの情報から推測して、セメンヤも性分化疾患である可能性が高いと考えています。IAAFは検査の詳細を公表していませんが、「人権保護の観点から当然のこと。性分化疾患だとしたら彼女は患者であり、プライバシーを侵害されたという意味では被害者でもある」と語ります。

 性分化疾患のスポーツ選手が競技を続ける場合、問題になるのが男性ホルモンの量です。
 例えば、性分化疾患の一種「アンドロゲン不応症」。体内には卵巣でなく精巣があり、男性ホルモンのアンドロゲンが分泌されますが、アンドロゲン受容体が働いていないためホルモンとして効果を発揮できず、男性化が進まないというものです。 
 まったく受容体が機能しない「完全型」なら特に女性と変わりはありませんが、一部が機能する「部分型」だと、ほかの女性に比べて筋肉増強作用が強く、競技において有利にはたらくことになります。
 過去には精巣を摘出する手術をして競技に復帰した選手もいるそうです。

 セメンヤ選手の場合も、長いブランクの理由として、性別検査のほかにホルモン療法や手術が実施されたのではないかという情報も流れています。しかし、セメンヤ選手もコーチも、その件に関しては一切答えないというスタンスです。 (18歳の女性が、本人も知らないのに突然マスコミに「両性具有」だと報じられ、ショックで自殺予防センターに収容されたのですから、もうマスコミには何も語りたくないというのは当然ですよね…)

 記事によると、過去にも何件か、オリンピックや世界的な大会で、選手の性別に関する事件があったそうです。
 1996年のアトランタ五輪では、女子選手3300人余に性別検査が実施され、8人に男性型のY染色体があることがわかりました。が、性分化疾患と判断されて出場が認められました。結局この検査だけでは出場の可否を決められないということもあり、性別検査は廃止され、現在は問題が起きた時に個別対応しているそうです。
 
 スポーツ競技大会において過去に何度も議論されながらも、抜本的な対策や方針が定められることはなかったこの問題ですが、今回やっと、医療センターが作られたり、性分化疾患の選手の扱いに関するルールが定められることになったのは、歴史的な前進だと思います。
 同時に、ちょっと男性的なところがある選手をあぶりだすような「魔女狩り」を行うのではなく、くれぐれも当事者の方たちの人権に配慮した対策が進められていくことを願います。もう二度とセメンヤ選手のような悲劇が繰り返されることがないように…。
(後藤純一) 


性別問題、急ピッチで指針づくり 「セメンヤ疑惑」契機(朝日新聞)
http://www.asahi.com/sports/spo/TKY201008240094.html

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