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韓国のゲイ事情〜ゲーム業界、同性愛関連用語の使用禁止を解除

 国としては交流が盛んになっているお隣の韓国。言葉の壁もあり、韓国のゲイ事情の詳細はなかなか伝わってきませんが、韓国の情報を配信する『東亜日報』が「ゲーム業界、同性愛関連の「禁則語」を解除」というニュースを掲載していたので、ご紹介いたします。

 韓国では10年前にタレントのホン・ソクチョンさんがカミングアウトしましたが、「今も同性愛者への拒否感が残っているのが厳然たる現実」だそうです。が、「少なくともオンライン上ではゲイ差別は大幅に改善された」というものです。 

 韓国コンテンツ振興院がまとめて配布する「ゲーム言語の健全化をめぐる指針」から、ゲイなどの同性愛関連の差別を生みかねない言葉が、禁則語(使用禁止用語)のリストから削除されたそうです。 
 振興院は、ゲームの主な利用層である青少年への教育の見地から、国立国語院と共同でゲーム言語の健全化を目指して手引書をまとめ、毎年初頭、ゲーム業界に配布しています。ゲームの中のチャットや検索を行う際、禁則語を使用すると入力自体ができなかったり、禁則語だけ自動に削除されて入力されるそうです。
 昨年1月、初めて配布された手引書は、悪口や卑俗語、性的交渉に関連する単語などとともに、ゲイやレスビアンなど同性愛者を指す言葉も盛り込まれていました。これに対し、同性愛者の人権関連団体は「ゲイやレスビアンは同性愛者を卑下する表現ではないのに、ゲームでこれを使えないように定めるのは性的少数者への差別だ」と主張していました。
 振興院はこの指摘を受け入れ、昨年末、禁則語選定基準を補完し、ゲイ、レスビアン、ホモセクシュアルなどを含めた820項目を削除。「禁則語リストを再検討した結果、同性愛関連の言葉は、それ自体は否定的な価値を内包していない価値中立的な表現だと判断し、すべてを削除した」とコメントしました。

 同性愛をめぐる話題は、ネイバーなど韓国の主要ポータルサイトでも自由に検索することができます。ネイバーの関係者は「同姓愛に関連して深刻な社会問題が提起されない限り、禁則語には設定しない方針だ」とコメント。「ただ、レズビアンやゲイなどの言葉をアダルトキーワードと一緒に検索する場合、制限を受けかねない」と説明しました。
 現在、検索が可能な代表的なゲイサイトは10数個あります。一部のサイトは、会員数が35000人余りに上るそうです。サイトにアクセスすれば、各地域のゲイたちと自由にチャットができ、ゲイが集まる休憩室(ハッテン場?)やDVDセンター(ビデオショップ?)、飲み屋など、「二般店」を地図の形で共有できるそうです(「二般」とはゲイが自分たちのことを指す隠語。「一般じゃない」という意味だそうです)
 しかし、一部のサイトはアクセス年齢の制限をしないまま刺激的なイメージを掲載しており、サイトの初期画面に性的交渉を思わせる写真が掲載されている例や、数度のクリックだけで男性性器の写真や男同士の性行為のシーンなどを見つけることもできるということで、この記事では問題視されています。
 最近カミングアウトをした金某さん(28)は、「最近は同性愛関連情報は、検索さえすれば簡単に見つけることができる。が、一部のサイトは性的写真や動画が多く、同性愛をめぐる間違った情報や反感を与えかねないような気がする」と語ったそうです。

 オンライン上ではずいぶん自由に情報を得たり、交流したりできるようになっているようですが、現実の社会(オフライン)では、同性愛を見る目は依然として冷やかだそうです。
 1997年、同性愛を描いたウォン・カーウァイ監督の映画『ブエノスアイレス』の輸入許可が降りず、1年後に再編集してようやく公開が認められたそうですが、昨年、同様にゲイの若者同士の恋を描いた韓国映画『友人同士』が映像物等級委員会(映倫)で「有害性あり」の判定を受け、紆余曲折を経てやっと公開にこぎつけたといいます。
 また、今年5月~6月頃に視聴率NO.1の人気を誇っていたSBSの週末ドラマ『人生は美しい』にゲイカップルが登場したことも、韓国協会言論会などの保守的キリスト教団体による視聴拒否運動を引き起こしたそうです。(韓国の国民の約3割はクリスチャンで、アジア第2のキリスト教国家です)
 記事は「同性愛をめぐる見方は依然として変わっていないことを意味する」と結論づけています。

 

 ここからは編集部サイドの記事になります。
 韓国では、2005年の『王の男』が社会現象的大ヒットを記録し、2006年には初めて今のゲイの生き様を正面から描いた『後悔なんてしない』(イソン・ヒイルが映画監督として初めてカミングアウト)が発表され、それ以降も同性愛を描く作品がたくさん製作されてきました(『アンティーク 西洋骨董洋菓子店』『霜花店』『友人同士』『人生は美しい』など)。社会の同性愛に対する関心が急速に高まり、いわば、90年代の日本のような「ゲイブーム」とも呼べる現象が起こっているのではないでしょうか。
 この記事が伝えるように、公の機関や保守派の間では同性愛嫌悪が根強く残っており、たしかに対社会的には「依然として厳しい面」もあるでしょう。が、インターネットによってゲイどうしの交流も盛んになり、次第にゲイコミュニティが成熟してきているのでは?とも思います。今回ゲイ団体が振興院の同性愛関連用語の使用禁止をやめさせたこと(1991年、アカーの働きかけにより『広辞苑』の「同性愛」の記述から「異常」という言葉が消えた、ということを思い起こさせます)も、まさにコミュニティのパワーの表れでしょう。
 そういう意味では、10年前、ホン・ソクチョンさんがカミングアウトしてくれたことをきっかけに、ゲイを取り巻く社会状況は着実に変わってきた、と言えるのではないでしょうか? 台湾や香港・中国だけでなく、韓国もきっと前に進んでいる、まだ見ぬ仲間たちがたくさんいる。そんな気がします。

(後藤純一)

 

ゲーム業界、同性愛関連の「禁則語」を解除(東亜日報)
http://japan.donga.com/srv/service.php3?bicode=040000&biid=2010083177698

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