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産経新聞で「Xジェンダー」の人たちが紹介されていました

2011年01月07日

 1月1日から産経新聞で【ボーダー その線を越える時】というシリーズ記事が掲載されています。
 人工生命の問題、国境を越えた経済活動、インターネットなど、「ボーダーを越える」というキーワードで様々な問題が扱われていますが、その中に、男/女という性差を越えようとする人たちのことも取り上げられていました。

 1日に掲載された「『中性』として生きていきたい」という記事では、「Xジェンダー」の人たちが紹介されていました。

 東京都内に住む会社経営のモカさん(24)は、中学時代に母親のスカートをはいたり、化粧をしたりしたことがあり、高校に進学すると女性ホルモンを服用しはじめました。モカさんは女性になりたかったのではなく、「女性の持つ外見の美しさを求めていた」だけだといいます。
 ジェンダー・アイデンティティ(性自認)が周囲の人たちと異なっていることはわかっていたため、18歳のとき、性同一性障害の診察を行うクリニックに足を運びました。そこで「心に性別なんてない」と正直な気持ちをぶつけたところ、医師からは期待したような説明が得られませんでした。医師の診断は「性同一性障害ではない」でした。
 モカさんは、男でも女でもない「Xジェンダー」として生きていますが、女性らしい表情や言葉について「習慣で身に付いた癖みたいなもの」と語ります。つきあってきた恋人は男性であったり女性であったりしました。
 モカさんは「多くの人が、社会が求める『男らしさ』『女らしさ』という考えに縛られて生きているだけ」と考えます。

 昨年12月上旬、埼玉医科大かわごえクリニックの塚田攻医師のもとを訪れた20代前半の男子大学生は「僕はMTXだと思います」と訴えました。「『中性』として生きていきたいけど、世の中が受け入れてくれるか不安です」
 身体や服装は男性ですが、自分の存在を周囲に男として意識されたくない、かといって女性になりたいという願望はないそうです。 

 続く6日付の「なぜ僕は父親になれないのか」という記事では、女性から男性に戸籍を変えた前田良さんがAID(非配偶者間人工授精)によって奥さんとの間にもうけた子どもが嫡出子扱いされず、未だに戸籍がない状態であるという不条理を訴えています。
 日本精神神経学会などによると、2007年末現在で性同一性障害と診断された方の数は約7000人に上り、未受診者を含めると1万人以上と推定されるそうです。そのうち、2008年度末までに1711人が戸籍上の性別変更を行ったそうです。埼玉医科大かわごえクリニックの塚田攻医師が小学生に性同一性障害の疑いがあると診断したケースは十数例に及びますが、そのうち数人が学校で望んだ性別として通学しているそうです。全国的にも、鹿児島県内の中学2年の生徒や、兵庫県内の小学6年の生徒が同様の扱いを受けています。
 

 セクシュアリティと同様、ジェンダー・アイデンティティ(性自認)も生まれつきの要素が大きいと思いますが、2004年に性同一性障害特例法が制定され、社会で性同一性障害のことが認知されるようになったおかげで、こうして幅広い年代・地域の方がクリニックで相談したり、男性/女性にとらわれない性のありようを模索できるようになってきました。インドやパキスタン、ネパールでは「第三の性」が法的に認められつつあります。日本でも今後、さらに「Xジェンダー」の自由を求める動きが活発になるのではないでしょうか。
 毎日新聞の「境界を生きる」も素晴らしかったですが、各紙でこうしたセクシュアルマイノリティに光を当てるような記事が掲載されるのは、歓迎すべきこと。より自由な性を生きられる社会へとつながることを、今後も期待しましょう。(編)


【ボーダー その線を越える時 プロローグ(2)】「中性」として生きていきたい(MSN産経ニュース)
http://sankei.jp.msn.com/life/trend/110101/trd1101010039001-n1.htm

【ボーダー その線を越える時】(4)性の境界 「なぜ僕は父親になれないのか」 (MSN産経ニュース)
http://sankei.jp.msn.com/life/body/110105/bdy1101051901002-n1.htm

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